ツルムラサキとモロヘイヤ

ツルムラサキ

秋も深まる頃、散歩道の途中の山裾や畑の中に変わった形の花を付ける植物が目に付くようになる。  ツルムラサキと呼ばれ、近年すっかり野菜として定着した花である。
元は観葉植物、あるいは、紫色の染料として導入された植物で、江戸時代の書物にもその記述があるが、おりからの健康食ブームに乗って野菜として広く栽培されるようになった。
熱帯アジア原産で、インド、セイロン、中国では古くから野菜として食べられており、ビタミンA、カロチン、鉄分を多量に含む為、セイロンホウレンソウ、インデアンホウレンソウの別名がある。
下の写真の様に紫色の果実を付け、果汁を染料として用いたり、食用色素ともなり、又、蔓性で繁殖力も強く他の植物に巻きついて伸びるのでツルムラサキの名がある。 一方、茎が紫色なのでツルムラサキと呼ぶとの説もあるが、茎は紫のものと緑のものとの両方があり、花もほとんど開花せず、紫色の果実に変わっていくので、果実や果汁の色が名の由来とするほうが説得力がある。
ツルムラサキ科の植物で、この花だけでひとつの科をなしており、この地方では11月を過ぎても花や果実が見られる。

茎が緑のツルムラサキ    茎が紫色のツルムラサキ     ツルムラサキの全体像

健康食ブームに乗って近年栽培され始めた野菜はこの他にモロヘイヤがあり、秋に散歩をしていると、家庭菜園のあちこちに下の写真の様な黄色の可愛い花が目に付く。
エジプトが原産地で、モロヘイヤの名の由来はアラブ語で 「王様の野菜」 を意味する言葉から来ており、 古代エジプトの伝説に 「どんな薬を飲んでも治らなかった王様の難病がモロヘイヤのスープを飲んで治った」 との事である。
エジプトではエジプト文化にも浸透している様で、女性がスマートになると 「モロヘイヤの茎みたい」、目の形が美しいと 「モロヘイヤの葉みたい」 と表現するそうである。
シナノキ科と言う聞き慣れない科の花であるが、カロチン、ビタミンB、ミネラルを豊富に含み、粘膜、血管、結合組織を増強するとされ、成人病に効果が期待されている。

モロヘイヤ

ツルムラサキ、モロヘイヤ等、昔は日本人に見向きもされなかった植物が食べられるようになったのも時代の流れであろうか。

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