日本、中国、パキスタン等に分布するが、原産地は中国とされ、日本に渡来したのは弥生時代とされる。
中国では強壮効果等が古くから認められ、長命のシンボルとされ、1500年代に書かれた中国の最も重要な薬学書 「本草綱目」 には薬効、効能等が詳しく記載されており、又、 ニラの種子は漢方で 「韮子」 と呼び、泌尿系疾患に用いられる等、葉から種まで含めた薬草であった。 カロチン、ビタミンB2、Cが豊富で、栄養価は高く、特有の刺激臭は硫化化合物を含む為で、整腸作用があり、血行を良くし、感冒の予防に効果がある。 江戸時代の書物にも 「陽起草と言って人の栄養を助け、身体を温める性質の良い野菜」 とある。
現在でも餃子、豚韮等の炒め物等、中華料理でよく使われ、日本人にとってもなじみの深い野菜であり、独特の匂いや味で酒も進み、子規に次の一句がある。 「韮切って 酒借りに行く 隣かな」。
このように古くから知られていた植物で、古事記には加美良(カミラ)、万葉集には久々美良(ククミラ)の名で 「・・・岡の久々美良 われ摘めど 籠に満たなふ 背(夫)なと摘まさね・・・・」 の歌がある。 九世紀には栽培もされていたようで、韮崎、韮山等の地名からも分かるように、古くから自生、あるいは栽培されていたのであろう。
ニラの名の由来は万葉時代のカミラ、ククミラのミラ(美良)がなまってニラになったとする説が多いが、ミラの由来は不明である。
又、古来から日本ではラッキョウをオオミラ、ニラをコミラと呼び、ラッキョウとは関係が深い。 10月末から11月初旬にラッキョウの産地に行くと一面の赤紫色の花畑が広がり、ニラの白い花の群生もよいが、ラッキョウの花の群生もなかなか見事である。
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