家相も風水も、中国の長い歴史が生んだ学問である事に変わりはありません。この家相風水という学問は、老子が唱えた道教から派生したものです。兄弟のような関係と言えるかもしれません。
しかし、その目的と成立が違っています。
どちらも根幹にあるのは仙道五術という道教の経典です。この経典の最終目的は、「仙人」になることでした。仏教が「仏様」になることを目的としているのと同じです。
仙道五術に書かれた内容は以下のようなものです。
<仙道五術> これは山医命卜相の5つを指しています [山] 山で修行する術。少林拳等の武道、禅僧の瞑想、性愛の房中術等 [医] 針灸、漢方、方済、引導、霊治等の医術 [命] 四柱推命や天文等の宿命をみる学問 [卜] 易・五行節・気學・遁甲方術等の運命の変化をみる学問 [相] 手相・人相・家相・墓相・地相等から物事の真理を見つけようと言う学問 |
上記によると、風水は [卜] の中の [遁甲方術と風水地理学] が元になっており、家相は [相] の中の [家相] が元になっています。 古代中国では、住環境に対し高い意識を持っていて、人の暮らしには水利
・ 地利 ・ 天利 ・ 人利が伴っている事が大切であるとされてきました。
水利は用水、地利は地形・土地柄、天利は日照 ・ 気候、人利は人が集まる場所と言う意味です。 それらを踏まえて土地選び、家作りについて研究されてきたのが
[家相] と [風水] です。 これが家相・風水のもともとの出典の違いです。次は目的の違いについてです。
風水の基本は、土地選びのための学問です。用水や風向きを考えて土地を選び、そこに住む人々の運勢から、集落としての運気の流れ、各部屋の方位の違いによる使い方
・その部屋への 家具の置き方 ・使って良い 小物 ・運気が上がる 植栽 ・その植える 向き等を考えます。 風水のめざすものは、大きな意味で住環境を整えることです。
家相は、風水で選んだ土地に、どんな家を建てれば幸運を呼べるのかを考えた学問です。具体的な家の形 ・ 間取り・ 窓の位置 ・ 出入り口の位置 ・
水回りの場所 ・ 不浄の方位などから考えます。 家相のめざすものとは、狭義での住環境、即ち我が家の作り方を考えることです。
さて、この家相と風水。最終目標は仙人になるための住環境づくりです。つまり、仙人になるためによい修行ができる環境を作るためのものでした。しかし、長い歴史の流れの中で、いつしか本来の目的は薄れ、「お金持ちになりたい」とか「成功者になりたい」といった、現代人の願いを叶える手段に変わっていきました。
仙人になるための学問なのだから、普通の幸福者ぐらいにはなれるよね?という希望的な占いへと変質していったのです。
村上 瑞祥
初出掲載日:2001年6月30日
最終更新日:2014年12月24日
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(リーバンホームブック)