アメリカのポンペイオ国務長官は8月23日、記者会見を行って「私たちの目標(北朝鮮非核化)に向かうより多くの外交的進展を成し遂げるため、来週北朝鮮を訪問する」(8月25日付ハンギョレ日本語版WS)と発表しました。ところが翌日(8月24日)にトランプ大統領はツイッターで、「私はポンペイオ氏に訪朝しないように要請した。なぜなら現段階では、朝鮮半島の非核化に重要な進展が見られないからだ」として、その訪朝中止を明らかにしました。またトランプは、「アメリカが貿易問題で中国に強硬な姿勢を示しているため、中国は(北朝鮮の)非核化プロセスを支援しないだろう」と指摘し、ポンペイオの訪朝は、「貿易問題が解決した後が、きわめて可能性が高い」と記しました(トランプ発言は8月26日付朝日新聞に基づく)。

ポンペイオが訪朝計画を発表した翌日にトランプがそれを打ち消すという前代未聞(?)の出来事は、トランプ政権内部の意思疎通メカニズムが如何に機能していないかをさらけ出すもので、政権の危うさを浮き彫りにしています。また、ポンペイオ・国務省とボルトン・ホワイトハウスとの間の主導権争いの存在を垣間のぞかせるものでもあります。

それにも増して私が唖然としたのは、トランプが米朝交渉停滞の原因を中国の不協力のせいという認識を示したことです。商売人的発想でしか物事を見られないトランプは、米中貿易戦争で対立している今、中国は朝鮮半島問題でアメリカの足を引っ張ろうとしており、そのために米朝交渉の進展は見込めないとしているのです。このことは図らずも、これまでの米朝交渉の進展に中国が大きな役割を果たしてきたことをトランプ自身が認めたことと同義であり、それはそれとして意味のあることです。

しかし、私がコラムで紹介してきたように、中国の「米中貿易戦争」に臨む基本姿勢は、①中国としては決してこの戦争を望んでいない、しかし②アメリカが仕掛けてくる理不尽な闘いにはとことんお付き合いする、ただし③この問題を米中関係の他の分野に波及させることは中国側からは絶対にしない、という3点に尽きます。ましてや、朝鮮半島の平和と安定の実現は中国の安全保障上の根本的利益に合致するものであり、中国が米朝交渉の進展を妨害するという発想は出てきようがないことは、ほんの少しの基本的知識を弁えているものであれば、直ちに分かることです。トランプが上記の認識を明らかにしたことは、彼(及びボルトン・ホワイトハウス)が如何に外交問題、中国問題の素人であるかということをさらけ出すもの以外の何ものでもありません。

中国が直ちに厳しい批判を行ったことは当然です。以下に、8月25日の中国外交部の定例記者会見における陸慷報道官の発言と翌8月26日付の環球時報社説「アメリカ 荒唐無稽な理由を探して半島責任を言い逃れ」を紹介しておきます。