映画「ロック」を観たミク

2011.08.16

 15日に映画「ロック わんこの島」をミクと立川の映画館で観てきました。封切り後そんなに経っていないのに、上映館も少ないし、上映時間も一日に2回など、ミクの起床時間などにあった映画館を探すのにも一苦労しましたが、のりこが立川に所用があったこともあり、立川まで出かけた次第です。上映回数が限られているということはそれだけ観客が少ないということだろうと高をくくっていたのですが、上映開始時間の20分前に切符を買おうとしたら、「満員で最前列の席しかありません」と言われ、びっくり(あとでのりこから、「天皇、皇后が最近この映画を観たということで、観客が増えたのではない?」という解説を聞かされました)。それでも最前列でいいから、ととにかく二人の席を確保しました。私でもかなり苦しい思いで画面を見ていたので、ミクはもっと辛かったんではないか、と思うのですが、ミクはじっと見入っていました。そして、私にとって何度も信じられないことが起こったのです。
 ストーリー自身は2000年の三宅島噴火で全島避難となった際の一家の子どもと彼が育てたゴールデンリトリバーであるロックの愛情の軌跡を描いたもの(子どもはもちろん、夫婦役で出た佐藤隆太と麻生久美子もすばらしかった。特に麻生久美子は、「夕凪の街 桜の国」でとてもすばらしい女優さんだなと思っていたのですが、今回の作品ではからっとした気象の母親役で、それがとってもすばらしかった)なのですが、島を避難することを余儀なくされた子どもが乗せられた乗用車をロックがいつまでも追いかけ、子どもがロックに声を限りに呼びかける本当に切ない描写が映し出されている間、ミクは私に頭からもたれかかってきたのです。ミクは、子どもの切なさ、ロックのいじらしいひたむきさに耐えられなくなって、思わず私に身を寄せてきたのに違いありません。
 また、全島避難になってペットも東京に移されることになるのですが、ロックは不完全に施錠されていた檻を抜け出してしまい、数年間毒ガスの充満する島でなんとか生きのび、奇跡的に発見、収容されて子どもと再会できるものの、ペット収容所での生活でストレスがたまり、そのままでは生命の危険もあるということで、他人に引き取られることになる(名前も変わってしまう)のですが、避難解除で島に戻ることになって、子どもと再会するクライマックス(数年間も経てば、過去の記憶がなくなるのが普通のケースなので、ロックが子どもを認識するかどうかがロックを連れ戻すことができるかどうかのカギとなるわけです)のシーンで、ロックが子どもの呼びかけに反応して走り出し、走り寄った子どもとロックが一つになる場面がありました。私もじーんと来たのですが、ふとミクを見たら、なんとミクがしきりに涙をぬぐっているのです(映画が終わったあと、のりこにすぐ話したのですが、のりこも「そんなことは初めてじゃない?」と言って驚いていました)。ミクはそのクライマックスにいたるストーリー全体を理解しているからこそ、このクライマックスシーンに感動したのに違いありません。私はミクの豊かな感受性と理解力にしばし映画のことも忘れてしまうほどの、何とも形容しがたい新鮮で、感動的なショックを味わいました。「なんか最高!」という気持ちでした。そして、ミクがこれまで以上に無上に愛しく思えました。映画館の中でなかったら、思い切り抱きしめてしまったことだろうと思います。  そう言えば、映画の場面場面ではユーモラスなエピソードや情景もはさまれているのですが、その都度ミクは声を立てて笑うのです。その笑い声を聞くたびに「エッ」と感じてミクの顔をのぞき込んだりしていましたが、上記二つの場面でのミクの感情豊かな反応に接して、ミクが映画全部を理解していることをとことん納得できました。ミク最高!!

 立川駅近くの沖縄料理を食べて(ミクがまたよく食べてくれたのです)いるとき、ミクが織田裕二扮する外交官・黒田康作の「アンダルシア」を観たがっていることを聞き、早速「イエイエとの次のデートで行こうね」と約束しました。このシリーズで描かれる「外交官」像は荒唐無稽の極みなのですが、前作「アマルフィ」での風景描写はすばらしく、今回もアンダルシアを舞台とすることで、期待は持てそうだと思っていたのですが、ミクと一緒に行けるなんて予想もしていませんでした。「アンダルシア」ではどんな反応をミクが見せるのか、今からわくわくします。

 夏休みに入っても毎日毎日忙しく過ごしているミクとのりこです(最近きょうされんの学習会でのお話しに伺った際に、大阪・岸和田市における障がい児子育てに係わる家族のホンネ・思いを記録した『聞いちゃって』という本をいただいたのですが、そこに描かれているのはまさにのりことミクの今そのままです)が、夏休みが終わるまでに「ミクと「アンダルシア」を観に行けたらな、と希望が膨らんでいます。