終業式とはさみ

2010.12.26

なんだかとても久しぶりに会う感じのミクでしたが、またまた大きな成長を実感させてもらうことが立て続けに起こりました。その中でも衝撃だったことが終業式のこととはさみのこととでした。
25日にクリスマス・パーティを開くということで、24日午前に人と会う約束をし、午後にのりこ、ミクと待ち合わせたのですが、その日に2学期の終業式だったというミクが、なんとひばり学級(特別支援学級)の代表として、全校生徒の前で挨拶したというのです。6年生なのでそういう役回りが来る、ということ自体は考えてみればありうることですが、しかしミクとは私は想像したこともなかったので、それだけでもすごいことでした。ところが、のりこに促されて、私にその挨拶を繰り返してくれたのですが、それはそれは長いもので、私としては信じられない中身だったのです。もちろん、その文章は紙になっていて、ミクはその紙を見ながら読み上げる形を取ったそうですが、私に繰り返してくれたときにはその紙はなく、ミクはほぼ暗記していて、時々つっかえてのりこの助けは借りましたが、それはそれは大きな声で再演してくれたのです。もう私はウルウルでした。
のりこによれば、そのためにのりこのミクに対する連日の特訓(?)が続いたとのこと。苛酷すぎるとも思いましたが、ミクがその特訓に負けないでやり遂げたことの方が私には到底信じられないことでした。のりこによれば、担任の先生も感激して涙を流していたとか。「お母さんがよほどミクちゃんに教えられたんですね」と言ったそうです。私には、母親ののりこもすごいと思いましたし、ミクにそういう役割を与える決断をしたその担任の先生のミクの可能性を引き出そうとしたその姿勢もすばらしいと思いました。そして、繰り返しになりますが、二人の期待にしっかりと応えたミクには文句なしの百点満点の花丸でした。私には忘れられないクリスマス・プレゼントになりました。
もう一つのはさみとはこういうことです。牛肉(特にタン)大好きのミク、のりこ、次男の彼女(次男自身は仕事で遅くなり、最後の方で駆け込みジョイン)の4人でいつもの焼き肉屋に行ったときのことでした。ミクが食べやすいようにするためにタンを細かくはさみで切るのは私の役割になっているのですが、そのはさみを使い終えてのりこに渡したときのことでした。ミクが「ダメだよ」と言うのです。面食らう私に、のりこが解説。つまり、私は何気なく刃の方をのりこに向けて(つまり、私にとって持ちやすい柄の方を持って)渡そうとしたのですが、それは危ないので、相手に渡すときは自分が刃の方を持って(相手が柄を受け取れるように)渡す心がけを忘れないように、とのりこは常々ミクに教えているのだそうです。そこでミクの「ダメだよ」発言になったというわけでした。のりこがミクに常に相手(他者)の立場に立って考えるように細かいところまで考えて接していることも嬉しいことですし、ミクがそんなのりこの発想を我がものにしていることにも、他者感覚の重要性を日頃から説いてやまない私としては大満足。というより、ミクが一人の人間として確実に成長していることを改めて確認できる幸せを感じたのでした。
今日のお昼はラーメンを一緒に食べてから別れたのですが、別れる前に私がミクに、「帰ったらトイ・ストーリー3(私のクリスマス・プレゼント)を見てね」となにげに言うと、ミクが動揺した表情をしたのです。その表情をめざとく見つけたのりこが、「DVDは一日一回と決まっているの。それは夕方なの」と、私の軽率な発言に鋭く一声。ミクも、「そうなんだよ」と自分を納得させるようにつぶやきました。つまり、私の心ない発言でミクの見たい気持ちに火がつきかけたのですが、のりこの発言がミクの気持ちの揺れを元に戻すことになったという次第です。
のりことミクが正に「人」という漢字そのもので、互いに支え合って人間として一緒に成長を続けていることを強く実感した今回の上京でした。私が広島で生活してきたこの6年間、小学生として6年間を過ごしてきたミクの期間とちょうど重なります。仕事人生が来年3月末で終わる私としては、中学生、高校生となるミクの成長を見守ることがこれからの生き甲斐になりそうです。