けなげに頑張ったミク

2010.08.10

「9日は何しようか」となかなか決まらなかったのですが、朝起きた私にひらめいたのが、ミクと私が留守番して、上さんがのりこを倉敷の町並みの見学に案内する、という逆転の(?)発想でした。常に、ミクが何を喜ぶか、ということを出発点にして考えていたのですが、ミクはどこにも興味を示しません。私たちとしても、この暑さの中でミクを連れ回すことの危険さを考えざるを得ないので、なかなか妙案が浮かばなかったのでした。私としては、日頃ミクにかかりっきりののりこが息抜きできる時間を作ってやることも広島滞在の重要な課題という意識はあったのが、こういうアイデアに結びついたのでしょう。ミクも私との留守番をすんなりと受け入れたので、上さんとのりこは早々と出かけました。
 もちろんのりこはどっさりと宿題を置いていったので、ミクと私はそれを片付けることから始めたのはいうまでもありません。一緒にやっていていくつか気づかされたことがありました。算数特に引き算はまだ意味そのものが分かっていないということ。足し算で二桁の数と一桁の数を足したらいくつになるかという問題では、私自身がミクが理解できるような説明の方法が思いつかなかったこと(こういうときに工夫して教えているのりこの努力は大したものです)。音読をしていると、ひらがなの一つ一つは読むのですが、単語としては、ましてや文章としては頭の中に入っていないということなどでした。しかし、1時間半かかってやったのですが、これだけの量の宿題を今や日課として受け入れているミクにも感心しました。
 課題の宿題をクリアしてからは、お目当てのDVDとなったことはもちろんです。前にミク用に録画していた「パイレーツ・オブ・カリビア」が良いというので、それを観ることになりました。昼食は、アンチョビ入りのピザが良いというので電話で注文。午後はディズニー・チャンネルを観たがりましたが、長時間観ると体調がおかしくなることが経験則で分かっているので、時間を限ることを納得させるのに大苦労。結果的には、あまり面白い番組をやっていなかったこともあり、ミクがふて寝する形で中断。しかし、可哀相になってインターネットで番組を検索して、ミクがお気に入りの「スティッチ」をやっていることが分かったので再び観ることになりました。たらこのご飯を食べながら、これまた録画しておいた「トトロ」を観ました。結果的には許容量を大幅にオーバーしてしまいました。
 すでに、午後辺りからミクはのりこを懐かしがるそぶりを見せ始めたのですが、夕食を食べ終わり、私が相手をしたボール遊びにも一段落すると、「ママはまだ帰ってこないの?」「ナイナイはどうしたの?」と言い出し始めました。「ママに会いたい?」と聞くと、素直に「ウン」といういじらしさ。可哀相になってのりこにメールを入れ、ちょうど電話してきた上さんそしてのりこと会話して少し気分が落ち着いたようでした。それでもやはり寂しさが残ったのか、私に自分から「だっこ」を要求し、いつもはないことですが、私に抱かれたまま寝入ってしまいました。上さんとのりこが帰ってくるまで小一時間もそのまま寝ていたでしょうか。
 以上がこの一日のあらましですが、私がつくづく考え込まされたのは、ミクの心、気持の移り変わりということでした。まず、私は、ミクが「どこにも行きたくない」という言葉を重く見る気持と、のりこに気晴らしさせてやりたいという気持とから、上記のアイデアを思いついたのでした。しかし、その結果、ミクがどういう気持を味わわされる結果になるかということまではまったく思いが及びませんでした。しかし、ミクのママへの思いは私が勝手に想定していたよりもはるかに濃いものがあり、ミクに寂しい気持を味わわせてしまったのでした。のりことミクの結びつきは、私などが簡単に考えていたレベルをはるかに超えるものであることを強く感じました。もう一つ感じ入ったのは、ミクのけなげさということです。のりこがいないことに本当に寂しいという表情を顔に出すのですが、泣き出しても不思議はない感じなのに、一所懸命に我慢するのでした。
 私にしがみついた形で寝入ったミクの重くなった体重をずっしりと感じながら、ミクとのりこに幸せな生活がこれからも待っていてくれるように、と願う気持だけで頭がいっぱいになりました。