思いがけない一緒の時間

2010.01.20

19日は研究所の用事で上京。この際、ホーム・ドクターの月1の診察を受け、また、他にも所用をすませようと、一泊しました。泊まるところというと、やはり長年住み慣れた八王子が落ち着けるということになってしまいます(上さんには、「何でわざわざ八王子まで行くの」と呆れられましたが)。でも、その時は、ミクに会えるとは夢にも思っていませんでした(平日で学校があるから、夜会うのはミクの身体の負担になると思っていますので)。ところが、八王子に一泊するということが次男の知るところとなり(彼は風邪上がりだということで、私に移してはいけないといって会うまでにはなりませんでした)、彼から連絡を受けたのりこが「来てるの?」とメールを入れてきたのです。私は、ダメ元で「夕食を一緒にする?」とメールを返したのですが、「夕食ぐらいなら」という返事が返ってきたではありませんか。さあ大変。2月に会うときのDVDのプレゼント(ジブリ作品の「平成狸合戦」)はもちろん持ってきていないですから、たまたま八王子・そごうにいたので、DVD売り場に直行。ジブリ作品でミクの持っていないのをチェック、「耳をすませば」はないとのりこの連絡を受けて買い求めました。ところが、ミクにはもう「狸」のことが頭にインプットされているので、それではないと分かると「もうひとつは?」という催促なのです。納得してもらうのに一苦労。とにかく、思いもかけない事態の展開に、久しぶりになるいつもの焼き肉屋さんに落ち着くまでは私の気持ちはてんやわんやでした。
長い間のりことじっくり話をしていないこともあり、あれやこれやとのりこから話・報告があり、私も一喜一憂だったのですが、ミクは私たちが話し込んでいること自体が気に入らないという表情をはっきりと示しただけでなく、のりこの言うことの一つ一つに口を挟むのです。しかも、その一つ一つが要所を突いているのです。これにはびっくりさせられましたし、「ミクのいる前で迂闊なことは言えないな」とつくづく思わされました。ミクの心・感情の働きは間違いなく11歳の女の子なのです。
しかし、ミクは時折私に抱きついてきて頬ずりをしたり、熱烈キスをしてくれたりと、いつもどおりに接してくれ、私もそのたびにミクを抱き返したことでした。ミクについて驚いたことと言えば、「光の大地」という書き初めをしたということ。のりこが携帯に納めた写真を見せてくれましたが、身体の小さいハンディをまったく感じさせない、ほんとに堂々としたものでした。何でも、小筆を全部おろして書いたのだそうです。早速私の携帯にも移してもらいました。また、いよいよ引き算にも挑戦するということで、のりこが考案した独自の学習器具が完成したとか。
考えてみれば、私が広島にいる6年間にミクは小学校1年から6年までを終えることになります。今年の春休み、夏休みは私の広島最後の年なので、のりこに是非ミクと一緒に広島を訪れて欲しい、と頼んだのでした。それとともに、のりこがこんなにミクを素直な、明るい性格で育ててきたことにも改めて頭が下がりました。ただ、中学校となると、そう簡単ではない、とのりこは気持ちをゆるめていませんでした。障害のある子どもの中には、普通級のある学校に通ってみて落ち込んでしまい、養護に途中で移るケースがままあるのだとか。そういう途中からの転校は様々な問題を起こすこともあるそうで、のりこの苦労の種も尽きることはないようです。
のりこのビールの飲みっぷりの良さに引きずられて、私も久しぶりに痛飲しました(私ものりこに負けないビール党なのですが、大腸の持病持ちになって何度も再発を経験したことで、昨年の8月末以来基本的にはアルコールを控えています)。二人に会えることは考えてもいなかったので、ホテルで仕事をと思って資料などを持ってきたのですが、二人を送ってホテルに戻ったときにはすっかり「できあがった」自分がおり、ミクとの思いもしなかった出会いの余韻を楽しみながらそのまま楽しい眠りにつきました。
2009年は3月末以来体調不良に悩まされ、健康管理に追われて過ごした感じですが、今年は元気を取り戻し、ミクと楽しく過ごせる時間を増やしたいと願いつつ新幹線に乗り込んだ私です。