メルちゃん人形

2007.04.16

13日に1泊のあわただしい上京でした。でも、しっかりミクと会ってきました。

いろいろなことがあったのですが、帰りの新幹線で雑誌『みんなのねがい』に連載用原稿として書いたものを載せておこうと思います。

ミクと一緒に時間を過ごしている間、私の気持ちはミクのことでいっぱいになります。ミクを中心とした何ともいえない、ゆったりとした無邪気な空間の中で、私はミクの一挙手一投足にミクの生の躍動を感じます。日増しにおませちゃんになるミクが時に発する、信じられないような大人びた発言(周りの大人たちの会話に接する中で身につけたに違いありません)に驚き、それが確かな成長・発達の証であることに喜びを新たにするのです。

4月の上京の際にメルちゃん人形のお風呂セットをおみやげにしました。大気に入りしてくれたミク(もともとお風呂大好き)の、お風呂の中でのメルちゃんに対するかいがいしい世話ぶりは、娘が日頃ミクにしていることをそのままメルちゃんにしてあげる感じで、よくぞここまで親のすることを事細かに観察しているものだ、と私は感じ入りました。

しかし、ミクと別れた後の寂しさの中で、ミクのことを考えると、私は正直とても暗い気持ちに襲われます。ミクをいとおしく思えば思うほど、そのミクがこれからの人生をどのように過ごすことになるのか、この国の貧弱を極める福祉政策には甘い期待を持てません。とくに障害者自立支援法が強行され、福祉の分野にまで市場原理が我が物顔に横行するこの過酷な事態を前提にすると、他の多くの傷がい者・児の場合と同じように、ミクの将来についてやり場のない不安を覚えるのです。とくにミクの傷がいはとてもケースが少ないものなので、どうしてもお役所的・行政的対応の仕組みから外れてしまうことが頻繁に出てくる、という問題が加わります。

娘は、何か福祉にかかわることを前向きに考えるようになっています。今年66歳になる私も、ミクの将来のことで暗い気持ちに流されてへこんでしまうのではなく、少しでもミクを含む傷がい者・児の方たちの人権保障・回復につながる活動にかかわる可能性がないかと、真剣に考え始めています。

* ミクとのりこが春休みに広島で過ごしたときの写真をいくつか選んで、ミクのページのトップにアップしましたので、見ていただけたらうれしいです。