ミクと娘の帰京

2007.04.05

とうとうミクとのりこが八王子に戻ってしまいました。のりこのお友達も子供を連れて広島に滞在していて、帰りの新幹線を一緒にしてくれたので、二人は賑やかな雰囲気の中で東京に向かってくれたぶん、私の気持ちも楽でしたが、家に帰ってからの空虚感はとても簡単に解消するものではありません。2週間の密度の濃い時間が途方もなく貴重なものだったことをしみじみ実感しています。

帰る2日前の夜、朝から下痢をしたり吐き気を催していたミクだったのですが、急にのりこのそばにいることを狂ったように求めました。私にミクを預けて入浴していたのりこの名前を呼び続け、のりこのそばにいなければ気持ちが静まらないのでした。私は大変なショックを受けましたが、のりこもさすがに動揺しきりだったらしく、昨晩ミクが寝付いた後、二人で何となく話しているときにも、このときのことが話題になりました。ミクにとってはのりこの存在が絶対であること、しかし、ミクの将来を考えるとき、ミクが何とかのりこから自立できるようにしていかなければミク自身が大変なことになること、そんなことをのりこと私は期せずして考えていたことが分かりました。のりこも確実に年をとります。いつまでもミクの全存在を受け入れていくことはできないでしょう。そのときはいつか確実に来るのです。

ミクは、私にわがまま放題でしたが、帰る日の2,3日前には、何となく私の雰囲気か何かで気がついたのでしょうか、わがままを言うこともなく、優しくなりました。そんなミクもすごいと思いました。私の気持ちが伝わっているのだとしか思えません。そんなミクはやはり8歳の女の子なのです。この2週間、私がミクを抱いているときに、何度となく、「この子かわいいね、お人形さんみたいだね。何ヶ月?」と善意いっぱいの気持ちで問いかけてくれる人々に出会いました。私はそのたびに、「この子には特別な障がいがあって、8歳なのですが、大きくなれないのですよ」と答えていました。そんな私の答えにたじろぐ人の表情にも複雑な気持ちを味わう私でしたが、そんなときにじっとしているミクの表情に、私はもっと切ない気持ちにおそわれました。「障がい」という言葉がいつも出てくることに、ミクはおそらく何かを感じ取っているのではないか、と思いました。これからは、説明抜きで「8歳です」と言い切るべきだと自分に言い聞かせています。わざわざ他人の疑問に説明を加える必要はないのですから。それより私が大事にしなくてはいけないのは、ミクの気持ち、感情のはずです。

長かったようですが、本当に「あっという間」の2週間でした。のりこは、夏休みになったらまた広島に来たい、と言っています。私も本当に待ち遠しい思いです。それまでまた仕事に打ち込んで、二人が来たら、精一杯休みを取って二人と一緒の時間を過ごしたいと思います。