お猿のジョージのトランプ

2007.02.18

毎年することにしている胃カメラ検査(今年は大腸検査も)を兼ねて上京しました。大腸検査のためには前日の食事制限もありますので、今回は木曜日から八王子に滞在し、結果的に木曜日と土曜日の2日間ミクとの時間を持つことができました。今回も驚かされることに事欠きませんでした。

最大の事件(?)は、本屋での一件でしょう。お猿のジョージのトランプがあったので、「それにしたら?」と私が言っても、「いらない」とにべもなくいうミクは、何ものかに興味が集中。それはポケモンのシールのコレクションでした。そこまでは何ともないのですが、どうしてもそこから離れないのです。そしていった言葉が、「ハルキにあげる」でした。ハルキとは、ミクのいとこのことです。確かにハルキはポケモン関係のものに夢中で、そのハルキにあげるということなので、私も大いに納得して買ってやろうとしました。するとミクは、二つとってすましているのです。「どうしたの?」と私が聞くと、「ミクも」と言うではありませんか。のりこと私は、思いがけないミクの行動に意表を突かれ、顔を見合わせるばかり。のりこ曰く、「たいした悪知恵だね」。「これが他人の子どもだったら、ちっとも可愛くないだろうね」。そうです。ハルキにかこつけて、自分がほしいものを手に入れようという魂胆だったのです。

私は、どこからこんな高等戦術(?)を思い浮かぶのかということの方に興味津々でした。誰かほかの子がやっているのを見ていて、学習したのではないか、というのが私の感想でしたが、のりこは、「いやいや、ミクが考えついたんだろうね」と断定。真相は分かるはずもありませんが、とにかく、ミクの悪知恵、悪ガキぶりを攻める気持ちはまったくおきませんでした。いや、すばらしい、と感嘆しきりだったのです。こういう悪知恵ってどうやって身につけるんでしょうか?

のりこはミクにひらがなを並べる教育器具をミクに買いましたが、帰宅するとミクは夢中で小1時間もそれに没頭していました(ミクの集中力は本当にたいしたものです)。そして、一つ一つのパズルに書いてあるひらがなを声を出して読み上げるのです。全部正解!!これにも私は驚嘆しきりでしたが、のりこによれば、もうできるようになっているんだとか。いや、でも、感激です。今回もまた、ミクの確実な発達に、障がい児だといって決めつけることは絶対に、絶対にあってはならないということを強く、強く再確認しました。

日曜日には、「障害児の声を国連に届ける 全国集会」という集まりに出席しました。そこで、白石正久先生、池添素さんとお目にかかれたことは大変に幸せなことでした。厚かましくも、「子どもの権利条約と障害児の権利」というタイトルでお話をしたのですが、皆さんが真剣に耳を傾けてくださっていることが実感できて、ありがたいことでした。私のお話について白石先生が、「二つ感想があります」とおっしゃって、一つは、障がい児の権利という問題を考えるときに、子どもの権利条約の第23条(障害児の権利)だけを見るのは正しくなく、条約のほかの条文にも目を向ける必要があることを認識した、もう一つは、障がい児の子どもとしての権利という点にだけ目を向けるのではなく、いずれ子どもも大人になるということを踏まえて、障がい者という視点の中で障がい児の問題を考える必要があることを確認した、と言われたことは、まさに私の皆さんにお伝えしたかったことを正確に捉えてくださったということで、私としては、1ヶ月ほど時間をかけて準備した甲斐があったと、本当にうれしい瞬間でした。

ミクを得て広がりと深まりを実感できる私の人生です。ミクがいなかったら、私の人生体験は本当に薄っぺらなものに終わっていたでしょう。ミクに感謝感謝です。これほどまでに私の内実を変えてくれたミクをこれからますますメロメロに可愛がっていくぞ、と思いを新たにしながら新幹線の時間を過ごしている私です。