言葉が相手に伝わらないこと

2006.11.20

今回は17日に上京しました。10月の終わりにミクを見ていて3週間ほどでしたが、相変わらず嬉しそうに私を出迎えてくれるミクにすっかり気持ちが和む私でした。デイ・ケアの施設に週2ぐらいの割合でお世話になっていて、その退け時に合わせて迎えに行くのですが、施設の方たちに「おじいちゃんが来てくれて嬉しいねー」と言われてニコニコ顔のミクは、本当に愛らしいものです。

今回の上京では、ミクに頼まれていた絵本『サンタクロースと小人たち』をおみやげに持っていったのですが、迎えの車に乗るとすぐ「ミクのは?」と何度も問いかけるミクに、わざととぼけて、「なんのこと?」とこちらも何度もじらしてみると、ついに「サンタ!」と言うので、やはり覚えているんだなー、と、それでもミクの成長ぶりを確かめられた気持ちがして、のりこと顔を見合わせながら得心しきりでした。実は、待ち合わせの時間までに少し間があったので、八王子駅前の書店でブラブラしていたときに、『お猿のジョージ』シリーズ第5集の3冊があるのに気がつきました。ミクが消防車にいつも関心を示すことに気がついていて、その消防車のがあったので、これも買い求め、『サンタ』と一緒に渡したのですが、やはり大気に入りしてくれました。

のりこは「久しぶりにお肉が食べたい気持ち」というので、「焼き肉にしようか」と話しかけたのですが、前回は、このときもまた「久しぶりに生ビールが飲みたい」というのりこの気持ちを優先して、「武富ラーメンがいい」と主張するミクに「今度連れてくからね」と納得させた経緯があるだけに、ミクを納得させられるかどうかが勝負でした。果たしてミクは、「武富ラーメン!!」とあくまで主張。結局今回はのりこがあきらめて武富ラーメンに行くことになりました。ラーメンづくりにこだわる武富さんのラーメンは又ひときわおいしさが増していたので、結果的には大満足で帰ってきた3人です。

この日は学校で音楽発表会があったとのことで、少し疲れ気味のミクは、ラーメンを食べに行く車の中でも、私の腕の中で眠ってしまいましたし、一緒にお風呂に入った(土曜日には父母相手の発表会になっているので、9時までには寝かせたいというのりこの言葉に従い、入浴時間は1時間で切り上げました)あと、2冊の本を私に読ませ終わると、そのまままた私の腕の中でスヤスヤと寝息を立てるミクでした。

一つだけ心残りになったのはレインコートのことでした。のりこの日記を見て気がついたのですが、そう言えば、この夜、ミクが盛んに「これレインコート」と言って、大事そうに袋を私に見せようとしていたのです。何も事情を知らなかった私は、大して関心もないままに「ああ、そう」と受け流してしまったのですが、のりこの日記を見て、ことの重要性にやっと気がつきました。私が喜ぶ反応を恐らく期待しながら見せようとしていたミクは、とても物足りない気持ちがしたに違いありません。いつもであればフォローしているのりこもなんのことか説明してくれなかったので(とのりこに責任を押しつける自分にもイヤになります)、ミクと一緒に喜ぶことができず、とてもミクに可哀想なことをしたと、今とても後悔しています。やはり、ミクの言う一言一言を大事にしなければ、と反省しきりです。

のりこも書いているように、ミクは自分の発音障害(未発達?)で言葉が相手に伝わらないことにとても敏感です。聞き間違えたりしても、「なに?」って聞き返すだけでも、ミクは少なくとも微妙な気持ちになっていることがこちらに伝わります。ましてや、自分がとても大切な気持ちを持って何かを伝えようとしているときに、「自分のことをとても大切に思っている」はずのイエイエが間の抜けた反応しかしないのでは、さぞやミクにとっては腑に落ちないことであったに違いありません。本当にとんでもないことをしてしまいました。