最判平成15年10月31日(集民211号325頁(平成14年(行ヒ)第200号))

(原審:東京高判平成14年4月24日(平成11年(行ケ)第398号)

<事案の概要>
 X(原告,上告人)は,発明の名称を「窒化ガリウム系化合物半導体発光素子」とする特許権(特許第2658009号,以下「本件特許」という。)の特許権者である。本件の経緯は,以下のとおりである。

平成 4年 7月23日 出願
平成 9年 6月 6日 設定登録
平成10年3月27日 特許異議の申立て
平成11年10月 1日 異議決定(本件特許の請求項1乃至3に係る特許を取り消す)
平成11年12月 3日 X出訴
平成14年 4月24日 請求棄却判決(東京高判平成14年4月24日(平成11年(行ケ)第398号)
平成14年 4月26日 Xによる訂正審判請求(以下,「第1次訂正審判請求」という。)
平成14年 5月15日 上告,上告受理の申立て
平成14年 7月11日 Xによる訂正審判請求(以下,「第2次訂正審判請求」という。)
平成14年 7月22日 第1次訂正審判請求取下
平成14年 9月 2日 第2次訂正審判請求審決(訂正を認める)
平成14年 9月13日 第2次訂正審判請求審決確定

<判決>
 破棄差戻。
「3 本件のように,特許を取り消すべき旨の決定の取消請求を棄却した原判決に対して上告又は上告受理の申立てがされ,上告審係属中に当該特許について特許出願の願書に添付された明細書を訂正すべき旨の審決が確定し,特許請求の範囲が減縮された場合には,原判決の基礎となった行政処分が後の行政処分により変更されたものとして,原判決には民訴法338条1項8号に規定する再審の事由がある。そして,この場合には,原判決には判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があったものというべきである(最高裁昭和58年(行ツ)第124号同60年5月28日第三小法廷判決・裁判集民事145号73頁参照)。
 そうすると,本件については,原判決を破棄し,更に審理を尽くさせるために事件を原審に差し戻すのが相当である。
 よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。」