予感
誰もが
求めている
ヒトも、けものも、鳥も、花も、木も
みんなが求めている
その思いを
風に乗せて、ミツバチを使者に仕立てて
鮮やかな色彩を身にまとい
華やかに羽根を広げて
声高らかに大空に歌い上げて、
軽やかに綿毛が飛んで行くのを
見たことがありますか
明るいブナの森で小鳥たちが囀るのを
聞いたことがありますか
清流に銀鱗が煌くアマゴの腹に表れる
美しい模様を婚姻色と呼ぶのを
知っていますか。
みんなみんな
求めているのです
なにもかも、そのために用意された
仕掛けなのです。
この地上で目に触れる多くの事象は
良き伴侶を求めて
生きとし生きるもの全てが
力を振り絞っている姿なのです。
写真を見てください
これが釣り書です
背丈はこれほど········
いつ、どこで、会って
それからどのように········
周囲の条件には問題ないのだから
後は、本人まかせで·········
ああ、こんなことを
繰り返して、いくたびも
ああでもない、こうでもない、そうでもない
たくさんの人に出会っても
目指す人には、まだ会えない········
そして
月日が過ぎて、過ぎて
ついにある日
それをなんと呼ぶのだろう
不思議な予感が訪れて
すぐに判った
この人を探していたのだと。
それからの長い長い歳月は
その予感の正しさの
確認の日々。
紛れも無く二人して今日あり。
出会いを求める若者に贈る言葉、
きっと判るもの
この人だ、ということは
1990.8.25
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