本分冊では 熱方程式とラプラス方程式、波動方程式について述べる。 他の方程式は続きの数理物理に現われる偏微分方程式Ⅱで取り上げられる。
本書は「岩波講座 基礎数学」全 24 巻( 79 分冊) のうちの第 16 回配本のうちの 1 冊である。
私には難しすぎてわからない。せめて、これから引用する次の問題を解きたいと思う。pp.25-26 にある。
4 周期性の境界条件のもとでの熱方程式の初期値・境界値問題
`{(u_t = u_(x x) quad (t gt 0, 0 lt x lt 2pi) ), (u(t, 0) = u(t, 2pi) quad u_x(t, 0) = u_x(t, 2pi)),(u(0,x) = sin^3x) :}`を,Fourier の方法を用いて解け.
注 これは物理的には,長さ `2pi` の針金を輪形に閉じたときの熱伝導の問題である.
フーリエの方法によれば、次の級数和の解が考えられる:
ところが、三角関数の公式 `sin 3theta = sin2theta cos theta + cos2theta sin theta = 2sintheta(1-sin^2 theta)+sintheta(1-2sin^2 theta) = 3sintheta - 4 sin^3 theta`から、 初期値は次のとおりかける。
これと `u(t,x)` の式を見比べて、すべての自然数 `i` で `a_i = 0` かつ `b_1 = 3/4, b_3 = -1/4`, 1 と 3を除くすべての自然数 `i` で `b_i= 0` であることがわかる。 つまり、与えられた初期値・境界値をもつ解は、次の通り表わされる:
初期値の温度分布が `sin^n x` の形であれば、フーリエ級数の項は有限で抑えられるのがうれしい。 なお、`u(t,x)` を天下りで書いたが、これは本書をはじめ、 とくに本講座の「解析入門Ⅴ」の p.8 の記述を参考にしている。
このページの数式は MathJax で記述している。
書 名 | 数理物理に現われる偏微分方程式Ⅰ |
著 者 | 藤田宏, 池部晃生, 犬井鉄郎, 高見穎郎 |
発行日 | 1977 年 1 月 22 日(第1刷) |
発行元 | 岩波書店 |
定 価 | |
サイズ | A5版 1 ページ から 160 ページ |
ISBN | |
その他 | 岩波講座 基礎数学 草加市立図書館にて借りて読む |
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