第Ⅱ分冊に引き続き、 Riemann 面、Riemann 面の構造、閉 Riemann 面上の解析関数について述べるとともに、 第Ⅰ分冊、 第Ⅱ分冊と本分冊の計3冊を合わせた問題を付す。
巻末の問題から引用する。p.421 である。
1 等式 `z_1^2 + z_2^2 + z_3^3 = z_2z_3 + z_3z_1 + z_1z_2` は複素平面上の 3 点 `z_1, z_2, z_3` が正三角形の頂点となるための必要にして十分な条件を与えることを証明せよ (Ahlfors: Complex Analysis, p.15).
このアールフォルスの参考文献には脚注があり、
Lars V. Ahlfors: Complex Analysis, 2nd edition, McGraw-Hill © 1966.
とある。
この問題は、現在の高校数学で解ける。等式に関しては、`z_1, z_2, z_3` の代わりに `alpha, beta, gamma` を使い、等式も覚えやすい `(alpha - beta)^2 + (beta - gamma)^2 + (gamma - alpha)^2 = 0` の形でインターネットで見ることができる。まず、正三角形→等式 を示す。 `z_1, z_2, z_3` が正三角形をなすのであれば、点 `z_2-z_1` と点 `z_3 - z_1` はいずれも大きさがひとしく、 かつ一方は他方を角度 `pi/3` 左回りあるいは右回りに回転した点である。したがって、`omega = 1+-sqrt(3)i` とすると、 `z_2 - z_1 = omega (z_3 - z_1)` である。この等式を3乗して、 `(z_2 - z_1)^3 = - (z_3 - z_1)^3` を得る。すなわち、
この問題は、インターネットで解法が出ていなかったら、私は解けなかったと思う。`a^3 + b^3` が因数分解できる、 というのを私はすっかり忘れてしまって、`(z_2 - z_1)^3 + (z_3 - z_1)^3` をすぐに展開した挙句にあきらめたと思う。
このページの数式は MathJax で記述している。
書 名 | 複素解析Ⅲ |
著 者 | 小平 邦彦 |
発行日 | 1973 年 2 月 1 日 |
発行元 | 岩波書店 |
定 価 | |
サイズ | A5版 124 ページ |
ISBN | |
その他 | 岩波講座 基礎数学 草加市立図書館にて借りて読む |