岡本 良夫:逆問題とその解き方 |
作成日:2011-11-20 最終更新日: |
逆問題を解くうえで必要となる基礎と応用を解説する。 基礎の部は逆問題を解くうえでの線形代数学を概観する。 応用の部は逆問題特有の不安定性について、理論と数値計算により例示する。
個人的に興味を持っているテーマがいくつかある。逆問題もその一つである。 この本も、背表紙を見ただけで即買った。
私が手に入れた本や雑誌の中では、これは本格的である。
著者は、逆問題とは次のような問題を意味する、と定義している。
なんだかよくわからないが逆問題は難しいということだけはわかる。
この本では、第2章の数十ページを線形代数の基礎に充てている。
著者がはしがきで、双対空間の概念を積極的に利用するなど,普通に見かける線形代数の教科書と少し違った構成になっている
と述べている。では、双対空間の概念とはどのようなものだろうか。
p.51 にある双対空間と双対基底のを引き写そう。
ベクトル空間 `V` からベクトル空間 `K_1` への線形写像の集合を `V` の「双対空間」と呼び,`V^**` で表す。 `V` の基底 `{v_n}_(n=1~N)`に対し,
`nu_n^t v_m = delta_(nm)` (*)
によって一意的に決まる `V^**` の基底 `{nu_n^t}_(n=1~N)` を `{v_n}_(n=1~N)` の「双対基底」と呼ぶ.
逆に,`V^**` の基底 `{nu_n^t}_(n=1~N)` を任意に与えたとき,式 (*) を満足する `V` の基底 `{v_n}_(n=1~N)` が一意的に決まる. `{v_n}` と `{nu_n^t}` は互いに他の双対基底なのである.
私はもう少し前のページから始めて、復習するつもりだ。(2017-12-31)
p.115 下から2行目、「容有に」とあるが、正しくは「容易に」である。
誤植とはいいがたいが、参考文献の―<線形代数の標準的な教科書>―に、斉藤正彦:線形代数入門,東京大学出版会(1981) とあるが、厳密には 齋藤正彦:線型代数入門,東京大学出版会(1966)である。
書 名 | 逆問題とその解き方 |
監 修 | 武者 利光 |
著 者 | 岡本 良夫 |
発行日 | 平成 4 年 3 月 25 日 第1版第1刷 |
発行元 | オーム社 |
定 価 | 3398円(本体) |
サイズ | A5判 243ページ |
ISBN | 978-4-274-02222-6 |
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