旅日記vol.40
一日だけの夏休みはすごく強行軍
 2003.8.21


会社の規定では夏季休暇は3日あるはずだけど、毎年1日あればいいほう。そのたった1日限りの夏休みは取れたが、なにしろ「レイル・ストーリー7」のリリースはおろか執筆さえ思うように進まない状況に自分ながら情けなく思っていたところ。企画当初は東京地区と大阪地区の両方からの話題を考えていたけど、前作から1年以上のブランクはいくらなんでも…。ここは既に取材済みの話題と大阪地区の話題でまとめることにして、残る大阪地区取材に出かけようと決めた。

でも日帰りは仕方ないとしても、これは強行軍になりそうだ。

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 ●勘違いに始まった一日限りの夏休み

ご存知のように今年は冷夏。現地取材は結構歩かなくてはならないコトも多いが、8月も下旬なら炎天下とまではいかないだろう…というのは結果から先に言うと、かなり甘かったとは…しかもキップを買った時の勘違いは到着してから気がつく始末。

まずは金沢を7:02に発つ『サンダーバード6号』で京都へ。クルマは時計駐車場、朝ゴハンは駅構内のHeart-inでサンドイッチはもうボクの定番だけど、いつもだったら485系クラシックの『雷鳥』自由席じゃないか。それに今日は指定席だ。
まあこれは旧盆の後ということもあってそうしたのだけど、実は京都で近鉄特急に乗り換える時間の都合があった…いや、あったと思ったから(笑)。

金沢駅で次に大阪へ向け出発する485系クラシック『雷鳥8号』の姿も見えたが、金沢寄りの先頭車は、いまや最後の活躍のボンネット型だった。

最期の活躍 485クラシックのボンネット先頭車
後続『雷鳥8号』はボンネット型だった

予報では曇り時々晴れと言っていたが、かなり雲が多い。
この『サンダーバード6号』は京都まで加賀温泉、福井にしか停まらない速達タイプ。買い込んだ朝ゴハンを食べ、ウオークマン聞きながら文庫本読んで、それに最高速130km/hの高速走行は快適…だったが、福井で隣の席に座ったオッサンは、清潔感を欠くスーツに安物の整髪料の臭い…オヤジくさー。どのみち少し眠かったので寝てガマンすることにした。なんで指定席っていつもこうなるんだろう(泣)。

目が覚めると電車は湖西線を快走中。雲の間から少し陽が射すようになってきた。どうやら暑くなりそうだ。今日の取材の段取りを考えていたら、ふと自分の歯が思いの他ザラザラなのに気がついた。しまったー、せっかく早起きして容易万端のつもりだったけど、歯を磨き忘れていた!なんか気持ちわるーい。
京都で近鉄への乗換えだけど、えーと…橿原神宮前行き特急は9:45発だから7分の待ち合わせはちょっとタイトだけどなんとかなる…ありゃ?京都は9:12着じゃないか!9:38はこの電車の大阪到着時刻。しまった時刻表を見誤った〜(爆)。9:30発の特急は奈良行きだから西大寺で乗換えか…メリットないな…だったら京都駅のコンビニで歯ブラシセット買って、ゆっくり歯を磨けばスッキリするじゃないか(笑)。そうしよう。あー勘違い!だったら『雷鳥8号』自由席で良かったのか…そうすればあのオッサンの横に座らなくて済んだのに。

長等トンネルを抜けて山科で東海道線と立体交差すると、右手に京阪京津線の電車が見えてそろそろ京都に着く実感が沸く。「次の東山トンネルを出ますと、まもなく京都に到着いたします。お降りのかたはご仕度の上、お待ち下さい」というアナウンスは『サンダーバード』『雷鳥』ではもう当たり前になったが、なかなか的確な案内で好感が持てる。

京都駅では一旦八条口に出てコンビニを探して歯ブラシセットを購入。駅の洗面所で歯を磨くのはちと気が引けたが、今日一日気持ち悪いのには替えられない。

 ●近鉄特急ビスタカーの旅

まずは最初の目的地の橿原神宮前へ。以前特急並みに停車駅が少ない快速急行があったけど、今は急行に統一されてしまっている。結局予定どおり(?)特急で行くことにして、窓口で特急券を購入。ホームへ行くと電車はビスタEX(30000系)だった。この電車は三代目ビスタカーを近年リニューアルしたもので、何より近鉄伝統の2階建て車連結というのが魅力だ。指定された席は1階席だったが、平日の近鉄京都線特急はガラガラ。迷わず2階席へ向かった。やっぱり視点が高いのはいいねえ〜。でも車内は冷房が効き過ぎて寒いくらいだった。

京都を発車してしばらくすると京阪との接続駅の丹波橋に停車。今は両社のホームは離れているけど、かつては京阪の丹波橋駅に近鉄が乗り入れていた。まあなんでそうなっていたのかという話はこちらで
京阪特急も2階建て車連結で有名だけど、この駅の付近では2階建て特急の競演!ってコトになる。ただし京阪特急は特急券なんか要らないのが魅力だな。

しかし車内は思いの外ガラガラ。4両編成のこの電車がなんだか不経済に思えてくる。そういえば今やゆるぎない地位を誇る近鉄『アーバンライナー』の名阪ノンストップ特急(なつかしい響きだ)だけど、二代目ビスタカーの好評も新幹線開業後はサッパリで、昭和50年頃にはあまりの利用率低迷に「名阪ノンストップ特急は1両編成で良いのでは」という話が囁かれていたという。そこに当時の国鉄が赤字続きで運賃値上げを繰り返した結果、少し時間は余計に掛かっても、安くて快適な近鉄特急がええやないか!となって人気が復活、後に『アーバンライナー』が投入され今に至っているという。

今日は空いていた特急も、休日は満席の盛況ぶりらしい。ちょっと安心した。でも近鉄のような大私鉄でも最近は傘下だったOSKの解散など、明るい話題が少ないのは気になるが…

ビスタEX

これが2階建て車

ビスタEX(30000系)

ボクが乗った2階建て車

西大寺で奈良線と交差、電車はさらに南を目指し、約1時間で橿原神宮前に到着。

 ●炎天下の徒歩取材

ここからは歩いて取材。すっかり車内で冷やされたボクの身体だったが、もう涼しくなっているかもという予想とは裏腹に、この日の大阪の最高気温は34.8℃。しかもかなり陽も射してジリジリと暑くてたまらない。汗がタラタラ流れるが、そんな中ひたすらテクテク歩いて写真撮りなどを済ませる。

取材だと思うと、ここが大和路だというのをすっかり忘れていた。日本の歴史のルーツ的なところじゃないか。畝傍山の優雅な姿に、しばし暑さを忘れ太古の日本を思ってみたり。

優美な姿の畝傍山
畝傍山

結局大和八木駅まで2時間あまり歩いて1コ目の取材完了。今度は近鉄大阪線の上本町行き急行。さっきまでの晴天がウソのように途中から雲行きが怪しくなり、とうとう大粒の雨が降ってきた。奈良線と合流する布施あたりでも雨が降っていたが、鶴橋で奈良線からの電車に乗換える頃には雨が上がり、薄日が射してきた。難波まで近鉄に乗って、地下鉄御堂筋線に乗換えて動物園前へ。

ここからまた歩き。しかも場所が場所だけにヘンな緊張感がある。見たことがない宿泊所や異臭にも耐えながらひたすら取材…この1時間弱はちょっと厳しかったが、とても#2など連れて来れるトコではなかった。早く天下茶屋駅に辿りつきたかった。

今日最後は京阪電車取材。地下鉄堺筋線を北浜まで乗ったが、電車は阪急の乗り入れ車だった。今回乗る予定がなかった阪急の電車に思いがけず乗れて、ちょっとニッコリ。でも京阪電車は2日前に踏切で脱線衝突事故があったばっかり。取材に重ならなくてホント良かったなと胸をなでおろしたが、なにより事故に遭遇された方々の回復を祈るところ。
ホントに暑い日だったが、折り返した萱島駅のホームは風が通って凌ぎやすかったのは幸い。
ようやく取材が終わり、淀屋橋行きの準急を待っていると…たまたまやってきた淀屋橋発萱島止まりの普通電車は、今年春に京阪電車の淀屋橋延長40周年を記念して、今は交野線や宇治線の普通電車に余生を送っている先々代の特急電車1900系を特急時代の塗装に復元した編成だった。これは1編成しかなくって、しかも1年間の期間限定なのだそうだ。これはラッキー!

突然の1900系

かつての勇姿が蘇った

元特急車1900系

車庫へ引き上げる1900系

実はボクが生まれて初めて乗った京阪特急がこの1900系。格下げされた今でも現役だが、この電車にまつわる話はこちら

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取材が終わり、京橋で環状線内回りに乗換えて大阪へ。久しぶりに焼売太楼でハーフ麺定食だ!と決めていた。遅くなったけどお昼を…と思いホワィティうめだの泉の広場を目指すが、なんと全店月に一度の定休日!ガッカリ。かといって桜橋店まで歩く時間の余裕もなく、阪急三番街のKYKでとんかつを食べることにした。オーダーの時に「7・8分お時間を頂きますが、よろしいでしょうか」と言われたが、結局20分以上かかったゾ。ちなみにメニューには前日に阪神タイガースが勝ったら、その試合の阪神の得点数×100円分割引なんて定食もあったが、前日阪神は負けたのでこれは食べる理由がなかった(笑)。

残り時間が少なくなり、予定していた福島のフィットネスウェアショップZEN行きは諦め。福島から環状線に乗って(1駅だけど)大阪で乗換えて金沢に帰るなんて、いつもとちょっと違った雰囲気を味わおうと思ったんだけどなあ。
急いでOSビルのティップネス梅田のショップへ。BODY BODY WEARのタンクトップを1枚購入。続いて旭屋書店で「鉄」関連の資料を探そうとしたら、売場がフロアごと移動していて、ただでさえ時間がないのにさらにロス(泣)。ようやく本をゲットしたところでそろそろ時間切れ。イーマとHepも諦め。悔しい〜!

 ●急ぎ金沢へ

JR西日本683系

JR大阪駅に戻ると既に発車時刻の10分前を切っている。会社に「たこ焼味ポッキー」などお土産に買い、11番のりばに上がれば16:42発『サンダーバード33号』は既に入線済み。ホームの自販機で缶コーヒーを買って、席についたところでもう電車は動き始めていた。慌ただしかったなあ…。疲れが出るだろうと思ったのと、金沢に帰ったらエアロの上級クラスに直行しなければならないので、せめて帰りの電車だけでものんびりしようとグリーン車を奮発したのさっ(エヘン)。

買ってきた本に目を通したり、撮ってきた写真を見たりなどしていたらもう京都。帰り道って、来た時より時間が短く感じるのは何故だろう。不思議だな。子供の頃の遠足なんかもそうだったな。

でもこの日は平日のグリーン車なら静かに過ごせるだろう…と思っていたのに、夏休みとあってか前の席には幼児連れの家族。案の定その幼児は車内を走りまわり、親はそれをほったらかし、時々車両の隅で「ギャー」と言ったら慌てて迎えにいくだけ。ずっとそれの繰り返し。何のためにグリーン車にしたのやら…ちょっと後悔。

少し寝てしまったら電車はちょうど今庄あたりを走行中。なぜだかいつもこの辺で目覚めてしまう(笑)。

牛ノ谷トンネルを抜け石川県内に戻ったが、大聖寺を通過した辺りで電車はスローダウン。前に広島へ行った時の帰りを思い出したが、しばらくして所定の走りに戻った。でもこれで約3分の遅れとなり、結局金沢まで遅れは回復出来なかった。途中まで先行した普通電車が遅れたようだ。
…そういえば今まで大阪や京都の帰りに乗った『サンダーバード』が、定刻に金沢に着いたためしがない。関西地区のダイヤの乱れは湖西線内で必ず遅れにつながるし、北陸線内でもこれだ。理由の一つはダイヤが非常にタイトなためと聞く。少しの乱れ・遅れは規定いっぱいで走っても回復がままならないほど致命的なようだ。

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金沢駅の改札を出たら、そのままルネサンスへ直行。Mイントラの上級クラスだけど、この日はコリオ全面改正でメタメタ…

それはさておいて、これで一応「レイル・ストーリー7」の現地取材は終了。話題は北陸地区と大阪地区だけになってしまったけど、とにかく書かなきゃ!現在全8話の予定。さあ、がんばろうっと。

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