撤収 その2


群馬隊C1に食料・燃料をデポする仕立隊員

10月14日 晴れのち雪 起床6:30  C1→BC

昨夜は、仕立君の登頂を祝って「赤飯」を作り、8時過ぎまで3人で、
今回の山やこれからのそれぞれの山を語り合った。

3人ともよく眠れたようだ。
暖かかったし、僕も二人の間に挟まれて、ぺらぺらシュラフでも、寒くはなかった。
カツ丼の朝食後、永くお世話になった、キャンプ1を撤収し、
あとは東壁にアタックしている、群馬の星野さん達3人の、留守テントのみとなった。

そのテントに、仕立君が「カツ丼」など少し差し入れする。

テントの撤収を終わり、ぱんぱんにふくれたザックをお尻に、
昨日アンプーリが上げてくれた“リンゴ”をかじりながら、
僕が昨日見た群馬の3人のルートを、説明していると、
双眼鏡を覗いていた山田君が「居る、居る!」と、さけぶ。

昨日よりは、上に行っているが、そう上がっていない。
それに、左に寄りすぎている感じである。
3人の健闘を祈るしかない。
なんとか山田・仕立が残してきた、キャンプ3に入ってくれ、と祈る。

10時、後ろ髪を引かれる思いで、下降を開始する。
僕ら3人ともザックは25kg程で、僕はバテバテで、大きく遅れる。
アイスフォールは、雪崩のためかなりルートは変わっていたが、
12時15分リレーキャンプに着き、大休止。
ベースのダワと連絡を取る。

ヘルメットをかぶり、アイスフォールの左岸、アイガー岩壁の下をトラバースして、
大岩からの150mほどの懸垂下降を終え、ホッとする。

そこにダワが、ホットジュースを持って迎えに来てくれていた。 
ポーターも1人来て「ザックは、吾々が担ぐ」と言う。
お言葉に甘え、3人とも空身になって、氷河の上を歩く。

僕らと群馬だけとなった、少し寂しさの漂うベースに、14時半に帰着。
チョルテンの前で、“オンマニペメフン”と、無事故のお礼と、
仕立君登頂を報告し、3人で“ご苦労さん”と、握手を交わす。

ダワと、ニマが、おつゆのとりわけおいしい「卵うどん」を作ってくれ、キッチンテントで、2杯もいただく。

エスパース(3人用)の個人テントに入り、8日ぶりに下着を裏返しし、
暖かいシュラフに入り、雪の降る音に聞き入りながら、これを書く。

17時45分、夕食/ご飯・ポテトカレー・野菜の(なす・あおとうなど)天ぷら・マカロニ炒め・クリームスープ。
そして、でてきた!「サミットケーキ」が。
ダワの手製でチョコレート仕立てである。
もちろん、サミッターの仕立君がケーキカットし、3人でおいしくいただく。

食後、群馬のテントの名塚さんを訪問する。
星野さんら3人の様子など、僕らの見た状況など詳しく話す。

夜中2時、トイレにでる。
バリバリ・・・ボコボコ・・・と、氷河の氷の割れる音が激しい。
オリオンが北東コルの上空に輝く。
いつもより、クッキリと・・・・。

宮川 記

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