帰路キャラバン その1


イエティ号 仕立隊員撮影

10月16日 快晴午後ガス 起床4:30 
BC(4500m)〜マルファ(2700m)


朝食と個人装備のパッキングをして、6時マルファに向け出発。
登りは4日で来たところを、ポーターは2日で、僕らは1日で下る。 

ヒドンバレーの草地には、ヨーロッパのトレッキング隊のテントが、10数張りもあった。
二つ目の峠、タパパス(5200m)を、12時に超える
。二人を待つが、なかなか来ないので先に下る(あとで聞くと、イエティ号の残骸を、記念に○○○いたそうである)。

ルートは、冬が近づいているので雪が増え、わかりにくく、ガスもでて寒い。
1人、コンパスで確認しながら黙々と下り、ヤクカルカのコースに入って、ホッとする。
夕闇が迫ってきたが、大岩のあたりで双眼鏡で、
山田・仕立、二人のヤッケ姿を確認でき、安心してどんどん下る。

18時45分、サンライズ・ホテルに着く。約13時間、よく歩いた。
ミルクテイーとムスタンコーヒ(アップルブランデーを、たくさん入れたコーヒ)を、
飲みながら、二人を待つが、9時過ぎても着かない。
サーダーのアンプーリが「カルカで泊まっているのでしょう。
私が、明日早くホットテイーを持って、迎えに行きますから・・・」と、言うので、
ダルバートとロキシーで、独り無事下山を祝い、安く上げるため、シャワーの無い60Rsの部屋に泊まる。

宮川 記

この日は、思い出深い1日になった。
最後の撤収は、ダワに任せ、早々にマルファを目指す。

C3の2泊が利いたのか、足取りが重い。
フレンチパスへの登りでは、宮川さんに置いていかれる。
スカイラインを行く宮川さんは、疲れをみせず、登っていく。

この人は、今後も山を登り続けるだろうな・・・。
そんなことを考え、フレンチパスでダウラを振り返る。
頂上には、雪煙が上がっていた。
群馬隊は、大丈夫だろうか。いろいろな思いがうかぶが、もう涙は出ない。

美しいヒドンバレーからダンブッシュパスを目指す。
僕が到着したのを遠望した宮川さんは、下りだしたようだ。
しばらく、仕立君を待つが、来ない・・・遅い・・・。
なんとイエティ号のかけらを取りにいっていたようだ。
この男は、まったく。

雪の残るカロパニからガスのヤクカルカを過ぎ、大トラバース。
マルファへの明瞭な道を前にして日がくれてしまう。
しばらく、右往左往するが、あきらめて屋根なしカルカでビバーク。
この夜は寒く仕立君と焚き火をして夜を明かした。
星のきれいな夜だった。

帰国後、仕立君が贈ってくれた、イエティ号のプレートは、今はもう楽しい思い出の1つである。

山田 記

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