モーモー通信 > おとなのためのインターネットチェロ講座 > 前のLesson > 次のLesson

Lesson6 音の出る仕組み


われわれが楽器を手にするとき、
まず、はじめに正しく理解しておきたいことがある。

それは、どうして、チェロが鳴るのかということである。

基本的に、チェロという楽器は、
弾こうとする人間の魂と共鳴して音が出る。

などと書いてしまうと、
また、神秘主義だの、
精神論者だのといわれてしまいかねないので、
少しまともなことを書こう。

物理的な現象としては、
馬の毛でできた弓の毛と、
金属製の弦の表面が、
松ヤニのベトベト感を借りて、
摩擦によって振動し、
その振動が、木の胴体によって増幅されて音が出る。
んだと思う。

じゃあ、弾いてる弦だけが鳴っているのかというと、
実はそうではない。

例えば一番太い弦C線の開放(左手を押さえない状態)で思いっきり弾くと、
となりのG線も震えるのがわかる。
(ただし、チューニングが合ってることが前提)

震えてるっていうことは、
鳴っているということである。
はず。

G線で第1ポジションの「ド」のところ押さえて弾いたら、
C線の開放が共鳴して振動するのはなんとなくわかるじゃないですか。
オクターブ違うとはいえ、
同じ「ド」なんだから。

でも、この現象は、
「ド」弾いてるのに、
「ソ」も鳴ってるんですよ!!!

なんでかな?なんでかな? 

自慢じゃないが、
中学時代、物理で教わったことは、
きれいさっぱり忘れてしまったので、
振動が共鳴する理屈は何もわからないが、
たぶん、チェロという楽器は、
「ド」の音が鳴っているときには、
じつは、「ド」だけでなく「ソ」の音とか、
ほかにもいろいろ鳴っているのではないかなと思うんですよ。
(たぶん倍音とかいう制度)

つまり、この論法で、
イマジネーションを膨らましていけば、
「ド」で、「ソ」が鳴って、
「ソ」の次は「レ」も鳴って、
「レ」のついでに「ラ」も鳴って……
ほとんどの音が鳴ってるっていう寸法ですよ。

あくまでも「ド」しか聞こえないわけですが、
この現象をアタマのどこかに置いておいても損はしないと思います。

A線で気持ちよくメロディを奏でていても、
その音のどこかでは、C線をはじめとする地味キャラが、
うっすら共鳴して、協力してくれていることを忘れないでください。

ほんと、C線はいいヤツです。

それと、もう一つ大事なこと。

C線を弾く時は1オクターブ下の音も出せ。
(イメージ)

いろいろ理由はあるんだけど、
大きな理由としては、
弦楽器って、理論上、
高い方には無限に音が出るんですよ。(管楽器もそうかな?)

でも、低い音の限界は決まっていて、
チューニングを変えない限り、
C線の開放より低い音って、
物理的に出せないわけ。
出せないなら、出してるつもりになれ。
それが、もとき流。

ほら、ほかの弦は上も下も共鳴する可能性を秘めてるのに、
C線だけは、上はともかく下は誰も共鳴してくれないわけでしょ。
おまけに、C線弾く時って、
ちょうど左手がほかの弦を覆いかぶすような感じになっちゃって、
ちょっと当たったりするとせっかくの上の弦も共鳴できなくなっちゃうし。
だったら、せめて心の中だけでもC線に協力してあげようよ。

ねぇ、お願いだからさ。

モーモー通信 > おとなのためのインターネットチェロ講座 > 前のLesson > 次のLesson