解体前はこの様な感じです。この空間を変身させます。
構造体を残して全て取り去りました。
竣工図と現場との整合性を確認し設計の通り進められるか確認します。 梁の出っ張りが想定より大きかったので天井高さと間接照明の梁型など設計変更です。
壁と天井の下地骨組を作ります。
スタッドと呼ばれる鉄製の柱です。 このスタッドをコンクリートに止めつけるのですが
この様なガンタイプの工具を使います。 小さな鋼鉄製の釘をガスの圧力で打ち込みます。 ものすごい音がします。ご近所の皆様ごめんなさい。
給水、給湯、ガス、排水と全ての配管を引き直します。
床はフリーアクセスフロアと呼ばれる二重床にします。
床下10cmほどの隙間ですが階下への音を軽減し 配管スペースとしても使うことができます。
現場は最上階で外壁と屋根からコンクリートを伝って熱が入ってきます。 このマンションは外部に面する部分に断熱材が全く入っていません。 夏場夜のなっても全く涼しくならないのはこのあたりも原因のひとつと考え発泡ウレタンによる断熱を施し天井内の熱くなった空気を強制的に排気する換気扇も設けます。
一番効果があるのは外側で断熱してあげることですがマンションですので仕方がありません。自分の空間の中で工夫します。
設計では20mm厚のウレタンを発泡させながら吹き付ける指示なのですが吹き付けてしまうと厚さの確認が出来ません。
そこで足の長さが20mmのピンを突き刺して確認します。
トイレの配管はなるべく曲がりを少なくしてあげることが理想的です。 だた、マンションの場合は共用の配管が決まっていますのでその位置を変えることが出来ません。
そこでなるべく緩やかな曲がりのパイプをスムースにつないでもらいました。
下地のプラスターボード(石膏ボード)を張っていきます。
今までは骨組みだけでしたがこうして面材が張られていくと 空間がはっきり見えてきます。
柱型に張る石材の確認です。
タイルのように見えますが天然石を小さなピースにカットしたものです。
唯一外光が入らない部屋となるトイレは閉塞感を無くすため 壁から天井へかけて楕円の1/4の曲面で構成します。
大型のプリンターで原寸大の型紙をつくりました。
エイジング加工の施された190mm幅広のフローリングです。
合板ベースのフローリングですが4mm単板で質感も十分です。
寝室は床壁天井ともに総桐造りです。
桐というと「たんす」を思い浮かべる人も多いかと思いますが 調湿作用があり柔らかな肌合いで建築の素材としても魅力的です。
成長も早く自然に優しい建材でもあります。
石モザイクが張り上がりました。
白い目地を入れてエッジを強調します。 ラフカットがいい味を出しています。
天井のクロス貼りが進んでいます。
壁の左官材と色あわせをしてあります。
左官や作りつけ家具の工事も進みほぼ完成です。
監督さんをはじめ現場の工事にご協力いただいた皆様ありがとうございます。 マンションの管理人さんや住民の方々にもご協力いただけましたこと感謝します。
マンションの最上階に位置するこの住戸は一戸のみの戸建てと同様の状態で東西南北ほとんどの面が外部と接しており日射の影響がとても大きい。夏の暑さはかなりのもので昼間コンクリートに蓄えられた熱が夜になってもじわじわと湧き出てエアコンの効きもいまいちとのことなのです。
外部に面する部分の断熱を見直し天井裏の空気を換気扇を使って排出することで解決を図ります。 ここで問題点がひとつ。規約により共有部分をさわることが出来ない。新しく換気扇の穴を開けることが出来ないのです。
天井裏の熱気に関しては浴室の換気扇を枝分かれさせ天井裏部分の空気を排気することとしました。
さらなる問題は屋根に貯水槽が乗っているためにそれを支える梁が大きく出っ張っているのです。 柱型もかなりの存在感です。
そこで柱型は家具と馴染ませ一部の柱のみ素朴なテイストのタイルを貼ってあえて主張させる手法をとろうと思います。 梁型については設備のライニングスペースと組み合わせ、さらに間接照明を仕込んで演出することとしました 。
今までのプランは外部に面する位置にLDと個室が並びその間にキッチン、残りのスペースに水廻りを並べた典型的な配置でした。 当然玄関から廊下にかけては昼間でも暗く洗面脱衣室なども暗室のような状態です。
そこでトイレ以外の水廻りをパウダールームとして外光が差し込む位置に配置し寝室とL両方からアクセス出来る様に計画しています。廊下部分を通らずとも行き来が出来ます。トイレは排水の都合上元々の位置からあまり動かすことが出来ませんが天井を曲面として柔らかな空間にしています。
玄関から廊下についても屈曲部を無くしLとの間仕切にはガラス戸を設けて光が差し込む様に計画してあります。廊下には各部分にアクセスするためのドアを設置しますが壁と同じテイストで仕上げて存在感を無くそうと思います。