藤沢市・長後 送電線直近の2階に中庭のある2世帯住宅 げんばルポ

近くに送電線がはしり建築制限のある場所に建つ2世帯住宅の現場の様子をご覧いただけます。 敷地の半分が送電線による建築不可エリアとなっているため残りの半分で計画する必要があります。 道路斜線も厳しく天空率を用い規制をクリアしています。

SS試験

現在は駐車場となっている敷地の地盤の状態をスウェーデン式サウンディング試験で調べます。キャタピラの付いた小型の自走式機械で簡単に調査することができます。5箇所計って半日の仕事です。結果は良好でした。

擁壁

道路と敷地に約1mの段差があります。既存のブロック土留がありましたが解体して鉄筋コンクリートの強固な擁壁を作ります。

地陣祭

擁壁が完成し新しい地盤が完成しましたので地鎮祭を行いました。この敷地の端上空に275000ボルトの送電線が通っています。 送電線直下から3mの範囲は建物を建てることが出来ません。

ギリギリの計画ですので建築可能な範囲を再度測定しました。

根伐り(ねぎり)

前回行った建築可能範囲に基づいて基礎が来る部分を掘っていきます。因みにこの機械は一般的にはパワーショベル、現場ではユンボ、バックホーなどと呼ばれています。

配筋

べた基礎の配筋状態を確認しました。設計通りの鉄筋がきちんと入っているかチェックです。

型枠

型枠が組み上がりました。コンクリートを流し込んで基礎の完成です。

土台

基礎の上に土台を敷きます。4寸角(12cm角)ヒノキの土台です。良い香り。

上棟

いよいよ上棟となりました。作業位置が送電線下のため大きなクレーンが使えません。 途中で折れ曲がったクレーンを使ってあまり高くまで伸ばさずに荷揚げをします。

骨組

主な部材が組み上がりました。

北側には斜線制限があるため一部桁下げをして屋根を折ります。その分天井が低くなりますが変化のある空間になるようデザインしてあります。

洗面脱衣室は壁に窓を設置することが難しいのでトップライトを設置します。

外壁構造面材

この建物は筋違のみでもつように構造設計がされていますが構造面材も用いて余裕を持たせています。大きな地震が立て続けに来ても耐えられる様に配慮してあります。

中庭

1階の親世帯は庭に面していますが2階の子世帯には庭がありません。ご主人は植物を育てるのが好きでその想いを実現する為 屋根のない中庭をデザインしました。自然の光が入ってきて気持ちのいい空間になると思います。

屋根断熱

最上部の断熱は天井面ではなく屋根面で行っています。建物全体の熱環境は天井断熱と比べるととてもよくなります。

構造金物

建物の構造壁にまつわる柱には地震時などに引っ張られる力が働きます。その際に柱が抜けてしまうと倒壊につながりますので計算上必要な引っぱり抵抗金物を設置します。この金物は約1トンに。

この金物は約1.5トンに

この金物は約2トンの引張り力に抵抗できます。どれも15cm程度の小さい金物ですがにいい仕事します。

間柱を加工

壁の中には間柱と呼ばれる薄い柱が約45cm間隔で入っています。でもデザイン上どうしてもそこに取り付けたいものがある場合間柱を加工補強してもらいます。取り付けるものを間柱のないところに移動すれば良いのですがこだわりのある部分については大工さんにも協力してもらっています。

送電線

最初はちょっと邪魔に思っていた送電線もだんだん景色の一部になってきました。送電線直下の建築制限のおかげでその部分の景色は遠くまで見渡せます。

中庭

2階の中庭も下地の工事が進んでいます。屋根には仮設のブルーシートがかかっていますがここから空が見えるはず。楽しみです。

電線に注意

現場には東京電力がおいていった「電線に注意」とかかれたのぼりが立っています。現場にはいろいろな職人さんが出入りしますので「上に危ない電線がありますよ〜注意してくださいね〜」という事のようです。何しろ27万5千ボルトですからおそらく触らなくても近づけば感電するでしょう。

メインの排水口と万が一そこが詰まったときのための予備の排水管を設置します。

中庭の防水

2階中庭には屋根がないので雨が降れば濡れます。その下は1階の部屋になっているためFRPで防水を施します。

隠ぺい配管

リビングのエアコンは壁際ではなく中央部分に設置されます。配管を天井や壁の中を通して隠します。

ポスト

外壁にポストの口が付いています。
天気が悪いときでも家の中から手紙などを取ることが出来ます。 郵便物がスムースに入ってくるように大工さんに通り道を加工してもらいました。
養生テープのピンク色が枠に反射してきれいです。 この雰囲気を次のアイディアにつなげたいと思います。

浴槽の裏側

ユニットバスの裏側はこんな風になっています。浴槽が断熱材で囲まれていてお湯が冷めにくい様工夫されています。

壁掛けTV

壁掛けTVを設置する部分には石膏ボードの裏側に合板の下地を入れておきます。大きなテレビになりますとかなり重量もありますし取付ビスがしっかり効くようにしておきます。ある程度位置を替えることができる様少し広めに入れておいてもらいました。

フローリング

1階はわんちゃんがいるため汚れに強く滑りにくい合板ベースのフローリングを用いていますが2階は雰囲気重視の無垢のフローリングです。張ってしまうとわかりにくいですが断面をみると年輪が見えて無垢であることがわかります。

腰折屋根

北側斜線をクリアするため屋根を途中で折って角度を変えています。あまり考えずにただ折ってしまうと雨漏りの原因になりますし一般的な工法で加工すると見た目が良くありません。そこで一番端の板金加工に工夫をして見た目と性能を両立できるよう加工してもらいました。

横から見ると何気なく一続きの屋根としてカクッと折れているように見せる事ができました。

玄関ドア羽目板

玄関のドアはレッドシダーの幅違いの羽目板をランダムに張って作ります。カンナのかかっている面と製材したままのラフ面がありますが今回はカンナ面を表にして使うこととなりました。

SUS金物

趣味のプラントを下げたり日除けのタープを取り付けたりするためのフックを外壁に取付ます。その下地となる金物をワンオフで作ってもらいました。錆びにくいようにステンレスを用いています。

パネリング

1階のリビングとキッチンを隔てる壁にはパインの羽目板を張りました。節もありますがやはり天然素材はいい感じです。

中庭の工事が進み仮設のブルーシートもとれました。予想通り青空と日差しが気持ちいいです。

中庭の穴

屋根に登って2階中庭部分を見てみました。四角く切り取られた屋根から中庭に自然が入っていきます。

丸環

外壁に日除けタープを取り付ける丸環を付けました。以前に製作した下地金物を使っているので壁に穴を開けても漏水の心配は少ないです。

タイル

2階の洗面脱衣室の床はコンクリート風のタイルです。洗面台にも白色タイルを貼って仕上げます。

完成

外構の工事もほぼ終了しいよいよ完成間近です。お家づくりに協力していただいた方々に感謝いたします。ありがとうございました。

雨水の仕掛け

この敷地周辺には雨水を処理する排水管が設置されていません。そこで地面にしみ込ませるために底に砂利が敷いてある雨水浸透桝を設置しました。

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