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名演2005年10月例会 加藤健一事務所公演 

作/バリー・コリンズ 訳/青井陽治 演出/星充


10月16日(日)3時30分
   17日(月)6時30分
   19日(水)6時30分
   20日(木)1時30分
  
アートピアホール
(名古屋市青少年文化センター)

  1 会費     
 月額 2600円 
 22歳以下  2000円  
 高校生以下 1300円

2 入会金 
 2900円 
 22歳以下  2300円 
 高校生以下 1600円


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配役・スタッフ一覧

関連サイトリンク   

 1980年、俳優・加藤健一はこの作品の上演のために加藤健一事務所を設立。2時間半にわたる出演者たったひとりのモノローグ芝居。技術・精神力・体力、全ての面で俳優にとって過酷な作品が、加藤健一事務所25周年記念公演のラストを飾る作品として再登場!!
 1980年の初演以来、何度もの再演を行ってきた加藤健一が、その主役・ヴァホフとして証言台に立ったのはなんと213回!!そしてこの秋、その記録はさらに更新されることとなる。

 一人の男が証言台に立っている。 軍事法廷で裁かれるロシア軍陸軍大尉アンドレイ・ヴァホフだ。陪審員席に向かい「審判」を問う彼は、休みなく延々と喋り続ける。それは自分の罪を軽くするための証言なのか、いや彼は自らを有罪と断定している。一体何が起こったのか、戦時下で彼が体験したおぞましい60日間の全容が明らかにされようとしている。

 第二次世界大戦中、南ポーランド、カトワイス国境の聖ピョートル・ラビノヴィッチ修道院において、ドイツ軍に追われ捕虜となったロシア人将校七人、彼らは全ての衣服を剥ぎ取られ、修道院の地下室に閉じこめられたまま置き去りにされた。水も食糧も与えられず、助けを呼ぶ手立てもいっさいない。鉄格子つきの高い小窓から現れる太陽で、時を知ることができるだけだ。
 救出を待つしかないのか…。来る日も来る日も、この状況と戦い続けなければならない。そしてこの戦いに予定された終わりはないのだ。
 
 監禁から60日目。攻め戻してきた若い中尉が彼らを発見した。生存者は二人。ルービンとヴァホフ。ルービンは完全に発狂していたが、ヴァホフは奇跡的にも正気であった。
 この出来事に関する証拠は、今やヴァホフの言葉以外に何もない。そこで何があったのか、彼は何をしたのか、何が彼をそうさせたのか!耳を塞ぎたくなる彼の証言。
 でもあなたは、それを最後まで聞かなくてはならない。何故ならば、彼に『審判』を下すのはあなたなのだから……。



座談会を開催しました。
10月例会運営サークルで座談会を開催しました。
今までみた加藤さんの芝居や一人芝居の感想、『審判』への期待など話しました。終わったあとは、皆さん芝居に対する期待が高まったようです。
(発言者名は仮名です。)

一人芝居の魅力
 では、まず今まで観た一人芝居の感想からお願いします。
 『壁の中の妖精』が良かったですね。岸田今日子の一人芝居も観ました。一人芝居は役者の力量による所が大きいですが、素晴らしい役者だと良いですね。『審判』も期待しています。
 『壁の中の妖精』や、中西和久さんの『しのだづま考』 を見ました。
 中西さんの一人芝居を初めて観た時、感激しました。他の一人芝居はまだ見たことが ありません。
 『しのだづま考』を観ました。舞台の前にテレビで見て感動したので、舞台もぜひ観たいと思って観ました。語りが響いてきて、感動しました。『壁の中の妖精』も役がどんどん変わっていく様子に感激しました。
 『唐来参和』を初めに観て感激しました。『しのだづま考』を見た時、ひとりでこれだけやれることに驚いてしまいました。
 『壁の中の妖精』や白石加代子さんの芝居とかも観ましたが、間のとり方や表情の変化に引き込まれました。それぞれの役者によって雰囲気は変わりますが、楽しめますね。大勢の役者が出て来るより、ある意味落ち着いて見られます。
 一人芝居は誰も助けてくれませんから、その点では大変ですね。
 日経新聞の『審判』の紹介を呼んで、楽しみになりました。
 市村正親の『海の上のピアニスト』や『クリスマスキャロル』を観ました。一人芝居は、その役者と向き合って、自分がどう見ているかを楽しめます。じっとその世界に浸りきれるのが魅力ですね。その芝居にのめり込めるという感じですね。今まで出た話では、一人の人が色々な役を演じ分けるのが魅力としてあがっていましたが、今回は同じ役を演じ続けます。一人の人が審判を仰ぐために語り続ける芝居です。
 『審判』の本を読んだのですが、よくこれだけセリフを覚えられるなというのが第一印象です。芝居も以前観たのですが、加藤さんはその本に人間の体温を加えてくれて いると思います。本では、読んでいて辛い部分も、人の体温で聞くと、「ああ・・」と 思える。もともと実話で、二人とも気が狂っていたのです が、それを一人が正気だったらという設定にしたものですが、そういった想像力がすごいなと思いました。人間て素晴らしいなと思える作品です。
 加藤さんは個性の強い俳優さんですね。
 一人芝居だと、その役者しか観るものがないから、ずーっとのめり込める感じです。役での変化もないから、どう なるのかなと期待しています。
 動きはあるんですか?
 ありますよ。でも『しのだづま考』のような動きではありません。
 ある意味、怖さもありますね。
 一人芝居は普通の芝居より 想像力をかきたてられますよね。『審判』は登場人物は他にもいるんですけどね。観 客は判事としてその場に存在しますし。死んでいった人達もいますし、もう一人の生存者もいます。どうしてこんな ことになってしまったのかを観客の判事に語り続け、言葉の魔術で他の登場人物を浮かびあがらせて行きます。
 舞台の上でひとつの物語が創りあげられていく、それが観客の想像力なんですよね。

加藤健一さんの芝居について

 では、次に今まで観た加藤健一さんの芝居について話しましょうか。
 『煙が目にしみる』は面白かったですね。
 『煙が目にしみる』で加藤さんが演じたおばあさん、評判良かったですね。
 加藤さんはセリフが聞きやすいですね。
 資料を見ると、すごく色々な賞を受けていらっしゃるんですね。
 大勢の芝居じゃなく、出演者が少ない芝居が多いので、そこが個人的には好きです。
 作品を探して来られる力がすごいですね。自分がやれる作品をこれだけ新作で用意できるのはすごいです。しかも海外の翻訳ものだから、どんな風に探していらっしゃるのかなと思います。すごい才能です、ほんとに。
 一人で立ち上げて、初めは一人で全てやられてたんですね。
 今は生徒さんもいらっしゃいますが、所属の役者さんという事では、今も加藤さんひとりなんですよね。
 ひとつの作品を見つけるためにいったい何十冊の本を読んでいらっしゃるんでしょう。それぞれが素晴らしい作品ですし。すごいバイタリティですね。
 エネルギッシュですね。
 初演の時は30才だったのが驚きです。こういった作品をそんな若い頃からされていたんですね。

審判について

 『審判』についは、以前観たのですが、グロテスクな感じは無くて安心して観ることができました。極限状態に陥った男がどうやって生き延びるか、人間の尊厳を深く感じさせられました。
 心の描写がすごく細かいですよね。人に対する思いやりや愛情が伝わってくる芝居です。すごい緊迫感もありましたが、これはホールの大きさにもよるかもしれませんね。 何かに書いてあったのですが、誰も正気の人間がいない状態で役者がのめり込みすぎると役者も発狂する、ある程度の距離が必要だと。その距離があるから良いですね。
 これは現実にあったことなんですよね。
 現実には生き残った二人ともが発狂していて、最後にちゃんとした食事を与えられたあと銃殺されたらしいです。
 現実には銃殺だったと聞いて、むごいなと思いました。
 非情ですね。
 そういった事を知ると、また見方が違ってきますね。
 芝居では、むごさとは別に人間の素晴らしさも表現されていると思いました。今回は「加藤さんを囲む会」が予定されていますから、ご本人に色々お話を伺いたいですね。
 役にのめりこんだあと、どうやってテンションを変えられるのでしょうね。そのあたりも伺ってみたいですね。
 私も以前に観ましたが、2時間30分が短く感じられました。舞台装置は証言台だけでした。話術が素晴らしく、後の黒幕がまるで動いているように感じられる程でしたよ。今まで見ていた加藤健一さんの芝居とは全然違う印象でした。
 今度はジョークも言わないロシアの軍人ですから、それだけでも違いますよね。ある意味、観客を要求する芝居だと思います。
 あらすじを読んで重い芝居かなと思っていたのですが、今日話を聞いていて少し安心しましたし、期待が膨らんできました。
 心地よい疲労感が感じられる芝居だと思いますよ。
 人間の肉体を通すという事はすごいなと改めて感じました。俳優さんの肉体を通す事によって人に入って行き、感動を与えることができるという事、そんな力があるんだなと感じました。
 私も重いかなと思っていましたが、今日話を聞いて楽しみになってきました。参加して良かったです。

座談会に参加して

 では、きょうの座談会の感想や芝居への期待などをお願いします。
 加藤さんは言葉を大事にされている方だなと思いました。
 こういう話をどういった芝居にするのかなと思っていましたが、楽しみになってきました。
 期待が膨らみました。語るということがいかに力強いものかという事を感じました。
 戦争の残酷さと人を信じられるという事が矛盾するように感じられてしまいますが、そのあたりがどう芝居になっているのかが楽しみです。
 人間の極限を人に伝える事について考えさせられました。観たあとの自分自身の感想が楽しみです。
 自分自身が感受性に乏しいのかなと思いますが、芝居が面白いと思った事があまりなかったんです。でも加藤さんの『煙が目にしみる』は無条件に面白いと思いました。だから他の無関心な人達にも勧めてみようかなと思います。


               <出演>        <スタッフ>

アンドレイ・ヴァホフ

バリー・コリンズ

 

青井 陽治

 

演  出

星   充

照  明

黒尾 芳昭

舞台監督

片山 晃也

   


関連サイト

加藤健一事務所ウェブサイト http://homepage2.nifty.com/katoken/

加藤健一事務所ウェブサイト内加藤健一インタビュー
 http://homepage2.nifty.com/katoken/61-interview.htm


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最終更新日 2005/10/10