-シュリ ネタバレ感想文-

以下の文章にはネタバレが含まれておりますので、未見の方はご覧にならない方が良いかと思います。

*配役表*
(背景色を公式BBSと同じシュリブルーにしてみました)
OP情報部室長
 ユ・ジュンウォン ; ハン・ソッキュ
OP情報員(ジュンウォンの相棒)
 イ・ジャンギル  ; ソン・ガンホ
アクアショップ経営のユ・ジュンウォンの婚約者
 イ・ミョンヒョン ; キム・ユンジン
OP情報員(コネ入社)
 オ・ソンシク    ; パク・ヨンウ
北朝鮮第八特殊部隊長
 パク・ムヨン   ; チェ・ミンシク
北朝鮮工作員
 イ・バンヒ    ; パク・ウンスク
北朝鮮第八特殊部隊員
 ス(女性)

 パク・ヨンサン

作品の作りの甘さは俳優陣の演技でカバーされていると思います。
ハリウッド映画の真似だという指摘もありますが、確かに形は借りているものの、逆にハリウッドにこの映画が作れるかというと疑問ですね。(もっとエンターテイメント色が濃くなるでしょう) まして、日本映画は全く無理でしょうね。
それぞれのキャラクターに感情移入して観ることが出来るので、何度観ても新しい解釈ができます。
私はどうしてもチェ・ミンシク氏に目がいってしまうのですが...(苦笑)。
一番好きなのは、パク・ムヨン隊長が北の惨状を訴えるシーンとスタジアムでのクライマックスシーンですね。
以下ストーリーにほぼ沿って解説・感想などを書いてみました。...長いです(ごめんね)。

<冒頭部>
北朝鮮特殊部隊の訓練風景。
精鋭を育てるためとはいえ、仲間ですら殺し、政治犯を使って何の感情もなく殺人が出来る訓練をする。(赤い×印を書かれた人々は政治犯と思われる)
その中の1人の少女イ・バンヒ。反動分子として公開処刑された父を持つ彼女は、家族のためにも厳しい訓練を乗り越え隊員として活躍しなければならなかった。

...ただ圧倒。でもこのシーンがあって後々つながるシーンもあるので...。
貧しい食事にがっつくバンヒの食缶に無口無表情ながらハムを投げ入れてやったり(位によって食事内容に差がある)、バンヒの銃の訓練の楯に自らなったりするパク・ムヨン隊長。
渋い〜。
ノベライズではあからさまなえこひいきがもっとありますが(笑)。
バンヒはこの後のミョンヒョンとは違う女優さんが演じています。最初全然気が付かなかった...。


<らぶらぶ〜>
ミョンヒョンの部屋のシーンと観劇後アクアショップ前でのラブシーン。
ジュンウォンのマンションで洗濯物を干しながら、「小鳥をつがいで飼いましょう」。
ちょっとこそばゆくなるようなセリフが多いような(笑)。
でもこのときは本当にミョンヒョンになれると思ってたんだよね...。
後半の展開を考えてわざとらぶらぶにしたのかも?

箸の使い方が下手で食べ物を飛ばしてしまうシーン。
日本の箸だと想像しがたいのですが、韓国の箸は金属製の平たいものなのであり得るかも。
実際私も飛ばしました...。


<コネ入社くん>
オ・ソンシクは漢字で書くと魚聖植。だからお魚係なの。
コネ入社を俗語で落下傘といいます。字幕の時に聞いてみて。


<シュリ作戦開始-CTX奪取>
南へ潜入した第八特殊部隊。
地下鉄から降りて一度後ろを見てからカメラの方に振り返るムヨン隊長。かっこいー。
ジュンウォン&ジャンギルがヘリからロープで降りてくるってのは、なんだか「あぶない刑事」っぽくないか?


<障害物除去命令>
「工事に障害物発生」
「対象は?」
「キッシンググラミー 竣工までに除去して欲しい」
「請負完了」
「祖國統一万歳」

上官の命令は絶対。
愛していても任務は遂行しなくてはならない。
でも彼女は失敗してしまった。照準はジュンウォンに合っているのに引き金が引けない...。
5発装填できるのに2発しか銃にこめないのは、それだけ腕に自信があるということらしいです。.


<なぜ? なぜって...>
ムヨン隊長はOPに電話で爆破予告をする。
「そうだ、おまえの恋人のアクアショップにも(シュリを)送ってやろう」

ゴールデンタワーに仕掛けられたCTXが探知機で発見されてしまうのは何故でしょう?(笑)。
無色無臭で発見不可能のはず...だったのですが、タイマーとかに金属を使ったせいでしょうか?
CTXの設定自体、もう少し普通の爆弾にしてもよかったんではないかなぁ...。
チェ・ミンシク氏も漫画じみた設定はお気に召さなかったようで。

自分の婚約者の危険を感じたジュンウォンはミョンヒョンをあるホテルへかくまうが、彼女は2度と飲まないと誓ったアルコールに手を出してしまっていた。
「何が君を苦しめているんだ?」
「なぜ? なぜって...」

本当のことが言えたらよかったのに!
ホテルを出るジュンウォンを追いかけてすがりつくミョンヒョン。
抱きついてるんじゃないの、本当のことが言えない後ろめたさからか腕をまわせなかったんだね。
そしてこれが恋人同士で会う最後のシーンになるんです...。


<市内銃撃戦>
ジュンウォンはニセの情報を流して、ムヨン隊長達をおびき出す。
追いつめられたスは自爆。
逃げ遅れたアン・ヒョンチョルにたくさんの銃弾が撃ち込まれても、自販機の影から必死に助けようとするムヨン隊長。

スはバンヒが入隊した頃から面倒を見てあげていたお姉さん分だったんですね...。
冷酷で味方ですら切り捨てていくムヨン隊長が、瀕死の仲間に手を伸ばすところに涙。
敵でも血も涙もないような人物設定ではないのです。

ビルの厨房に逃げ込んだムヨン隊長。
確かな腕で応戦するが銃弾がなくなり窮地に陥る。
危ういところでイ・バンヒが登場。
ムヨン隊長に銃を投げ渡し、応戦しつつ厨房から脱出。

一番好きなのは背後からガラス越しに近づいてきたOPを振り向きざまに片手で狙撃するところ!
かっこいー!!
もはやこれまでかというチェ・ミンシク氏の表情もいいですよー。
あのビルはスポンサーであるサムソンの本社だそうです(ヘリもサムソン所有のもの)。
飲料はポカリスウェットね。
エキストラのOP隊員までみんな銃の構えが様になってると思いませんか?
韓国は臨戦体制にあり徴兵制があるため、みんな実際軍隊の経験があるからです。
ここでも基本的にポリススタイル(両手)で撃っているとのこと。

ムヨン・バンヒはOPに取り囲まれるが隙を見て脱出、別々に逃走する。
ムヨンをイ・グアノ(ジュンウォンが捜査協力を頼んだ警察の人)が追い、ジュンウォンはバンヒを尾行する。

この辺のシーンは説明されないとわかりづらいところ。
暗闇でムヨンに刺されたのはグアノです。

<信じたくない現実>
尾行中にバンヒを見失ったジュンウォン。
ふと気が付くとそこは見慣れた場所...ミョンヒョンのアクアショップ前。
まさかと思いながら店内に忍び込むと...。


店に鍵かけないの?とか言わないこと!
箱落として音たてたり、おいおいとつっこみたくなるけど大目に見てね...。
ミョンヒョン=バンヒはある程度読めるので、それよりもジュンウォンのショックの方が大事。

肩の治療も済んだ頃、ミョンヒョン=バンヒの部屋にムヨン隊長が現れる。
「私的な感情から祖国に背くのなら、今ここでやめろ」
しかしバンヒに投げ渡されたのは空の銃。
すぐさまタンスから自分の銃を取り出して自殺しようとする...。
ムヨンはもみ合いながら銃を取り上げる。「任務はこれからだ。」


ジュンウォンとの2ショットの写真を複雑な気持ちで持つムヨン隊長の手。
外見ばかりか中身まで変わってしまったとバンヒを責め、その首に手をかけそうになるがふと冷静に戻り髪をなでる...。
上官・部下以上の感情がムヨン隊長にはあったのですね。(訓練中のシーンからつながる)
バンヒもイ・ミョンヒョンになれるかもしれないという夢から、北朝鮮の工作員イ・バンヒという現実に引き戻されてしまう...。
祖国のため(国を思う気持ちは日本人には理解が難しいかも)家族のために、現実から逃れることは出来ない彼女。
このときに彼女は自分からミョンヒョンを切り離す覚悟をしたのかもしれないですね。


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