Ivanさんのページを見ると、2006年からPod filter kit(Part # FZ-POD)というやつと、加工済みインシュレーター(Part # FZ-PB)というやつがラインアップに加わっています。
加工済みインシュレーター(hand ported intake boots)には、なんと、「8000rpm以上で5馬力アップ。他のどの回転数でも馬力ロスはない。」とかいてあります!
これだ!
Pod filterってのは、パワーフィルターのようにエアクリーナーボックスを外してキャブのインテイクに直接付けるフィルターです。こいつ単体ではピークパワーのゲインはないそうです(それならなぜ単体で売る?)。ただし、加工済みインシュレーターと、Pod filterあるいはフルエキ用のキャブキットを組み合わせることでピークパワーがアップするそうです。
彼のフルエキ用のキャブキットでは、エアクリーナーボックスの「襟」をカットする加工やフィルター交換が入るので、要はキャブの前後で吸気抵抗を減らすことが重要なのでしょう。
Pod filterにすれば、スリップオンでも効果があるそうです。
幸い、ワタシのFazerはエアフィルターを
パイパークロスに交換してありますし、New KING Cobra!で「襟」もカットしてエアクリーナーボックスの抵抗は減らしてあります。これなら、インシュレーターの加工だけでもピークパワーの増加が見込めるような気がしてきました。(^^)
問題は、いったいどう加工するのかです。
困ったときはFZ1OA、ということで、あちこち探してみたら、やっぱりありました。
自分で加工した人が加工後のインシュレーターの写真を出していました。
また、何人かの人が加工のノウハウやインプレッションを書き込んでいました。
よしよし、だいたいわかったぞ。( ´ー`)
早速、インシュレーターをウェビックで注文しました。
注文したパーツは:
まず、加工するための道具ですが、リューターは不可欠です。
こんなやつです。
以前DIYショップで買ったやつです。ちょっと大型なので細かい作業には向かないですが、いっぱい削るときにはパワーがあって便利です。
リューターには電動とエア(圧空)駆動のものがあって、エンジン関係のプロはエア駆動のを使ったりします。電動のものには、この写真のようなモーター一体型の小型電動ドリルみたいなものと、モーター別体でフレキシブルワイヤで回転を伝達するものとがあります。
エアリューターの超高速版は、みなさん歯医者さんでお世話になってますよね?(^^;
前から疑問に思っていたのですが、リューターの英語でのスペルはrouterです。これをカタカナにすると「ルーター」だと思うのですが、大抵「リューター」と呼びますね。なぜでしょう?
ちなみに、「ルーター」でググるとコンピューターネットワークのルーターばっかり出てきます。
さて、ともかくやることは削るだけです。
とはいっても、相手はゴム。どんなコレット(いわゆるヤスリ)を使えば良いのか良く解りません。工具屋さんでも、金属用とか木工用とかガラス用はあってもゴム用なんてのは売っていません。
結局、めぼしいやつをいろいろ使って、次の2つでうまく削れることがわかりました。
![]() | これがあら削り用です。 もったいないことにダイヤモンドビットですが、この丸みと粗さが荒削りにはちょうどよかったです。 |
![]() | これが仕上げ用です。 金属用のヤスリですが、これも先端の大きさと形状が重要です。円筒などの角が立った形や、Rの小さいコレットではでこぼこに仕上がってしまいやすいので要注意です。 |
どんな加工をしたかは、加工前後のインシュレーターを同じ角度でキャブレター側から撮った写真を見比べてください。
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こちらが加工前です。指で触ってみるとわかるのですが、結構きついRで下に曲がっています。そこを重点的に広げます。また、キャブバランスをとるときにつかうパイプが上から刺さっていますが、その出口のところでゴムがゆがんで出っ張っています。ここも削ります。 | こちらが加工後です。下側の真ん中を前後に広く、両脇下よりはRのきついところを緩くするように削ってあります。上の出っ張りについては、金属パイプまで少し削って、ともかく出っ張らないようにしました。 |
削ったところが表面やや荒れていますが、これ以上の仕上げはしませんでした。FZ1OAでは、さらにバフがけしている人もいるようですが、ゴムをバフがけしてもあんまりきれいにならないと思います。
仕上げは、指でこすって出来る限りカスを落とし、洗剤と水で良く洗い流しました。なんとなく、元々添加剤でオイルっぽかったのが抜けたような気がしますので、シリコーングリースを全体に薄く塗って終了です。
お待たせしました〜!
ようやく休日と晴れがかみ合ったので、梅雨の合間を縫って、いつものごとく忠男レーシングにて比較実験となりました!
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まずは、交換前にダイノで確認。これまでの経験から予想はしていたのですが、2月に計測したときよりかなりパワーが落ちています。基本的に気温15〜20℃くらいでベストが出るセッティングになっているようです。体感的にも、春なら1、2速でスロットルあおるとフロントアップするのが、夏はしないんです。 まあ、交換前後の比較が出来ればいいか、ということで、作業続行しました。 |
Fazerをダイノにセットされたまま、着々とキャブが外されインシュレーター交換となりました。交換作業は完全にプロにお任せして、その合間にエアクリーナーを掃除しておきました。
パイパークロスは、何回も洗って再使用できるのですが、洗剤と水で洗った後、乾かすのに時間がかかります。今回は、手で振り回した後、エアガンで乾かしました。以前、本当に洗濯機で脱水したことあります(笑)。
さて、結果は如何に.....
「!」「?」
効果、あったんですよねぇ.....?
赤が交換前、青が交換後です。交換前後で、それぞれ3、4回計測して、真ん中くらいのやつを選んで表示してありますので、トルクが全域で増えたことは確かです。
+3.5PSは、キャブキットを組み込んだ時を除くと、最大の変化だったと思います。ただ、気になるのは、低回転から差があることなんですよね〜。
どこも落ちずにパワーが上がったわけで、単純に喜べばいいんでしょうけど、予想していた変化と違うのでちょっと戸惑っています。
エアクリーナーの掃除効果だという説も....(^^;
帰り道に、いつものテストコースで乗った感じでは、各回転数でのフィーリングに妙な変化は全くなく、7000rpmくらいからのフロントが浮く感じは強くなりました。また、120km/h前後からの加速感も良くなっています。つまり、まったくネガはなく、確かにトルクアップしたんだと思います。メデタシメデタシ。
結論!
インシュレーターを交換する予定があるなら、ついでにやるのはお勧めです!
ただ、加工と交換などの作業の手間(削りも含めてまるまるショップにやってもらうと、4〜5万円はかかるかも)を考えると....