2004年9月某日、忠男Rの清水さんから「宣伝用の写真を撮りたいので来てね」とのメールが届きました。かつてメインの開発車を提供していた常連の方がFazerを手放したので、私の愛車に白羽の矢が刺さることになったのです。
ではでは、とりつけましょう。(ワクワク)
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これが新作のツボ、R1タイプのタンデムステップ装着のためのブラケットです。見比べるとサイドカバーをそのまま小振りにしたような形です。 製品版ではブラックアルマイト処理になりました。 |
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こんな感じでR1タンデムステップが付きます。 純正タンデムステップだと、かな〜り不自然な角度にしないとサイレンサーがアップマウントにならないのですが、R1用は小さいので、すっきりとした配置になります。 しかも、荷かけフックまで付いています! |
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左側(オプション)も同じスタイルになります。 FZS純正より軽いしデザインもすっきりしてます。タンデムしない場合でも、転倒時のスライダー代わりにあったほうがいいんですよね。 |
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クリアランスは、スイングアームがあたらずサイレンサーが張り出しすぎずの微妙なところ。スペーサーで調整することに。 この写真は、テールパイプにバッフルが付いている状態です。バッフルは外側内側ともにちょっと凝った形をしています。 テールパイプの「カチあがり度」は、ウィンカーを交換しないなら、このあたりがちょうど良い高さじゃないでしょうか。 |
さて、日が落ちる前に写真撮影のため屋外へ。
ちなみに、忠男Rの宣伝用写真は、また別のカメラで撮影されました。
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なかなか心憎い位置に納まっています。シートレールの下側パイプ〜テールカウルのラインとサイレンサーが平行に配置されているのがわかりますか? しばらく見ていると...ほ〜ら、これが純正デザインのような気がしてきます。 |
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このセンターパイプのS字が欲しかったんですよ! これが実用的なタンデムステップ位置をあきらめずに出来たのは嬉しいです! サイレンサーが少し上がるだけで、スパルタンな印象が強くなりますね。 |
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今回はチタンパイプ&カーボンサイレンサーの組み合わせのみのようです。ワタシはカーボン派なのでこれでOKです。サイレンサーまでチタンの地色だとちょっとデザイン的に浮いた感じになるんじゃないでしょうか。 恒例の目玉ステッカーは白黒の配色です。 |
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逆光になってしまったのでわかりにくいかもしれませんが、左側の見た目もR1タイプタンデムステップと荷かけフックのお陰でメカっぽさが強くなりました。 リアタイヤが良く見えるようになるので、リアインナーフェンダーを付けていればより引き立つのでは? |
さて、製品版はこの後最終加工のため取り外されましたので、以下はステンレスパイプの試作品で。
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センターパイプを上から見ると、こんなカーブを描いています。バックステップも大丈夫だと思いますが、位置を低めにセットする人は、靴のかかとがパイプと当たるかもしれません。アップめのバックステップやノーマルステップなら大丈夫です。 |
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センタースタンドも、ちゃんとゴムがパイプに当たって止まります。センスタないほうが美しいんですが、駐輪場所の都合で無いと不便なのです。 ちなみに、ワタシはステンレス派でもあるので、実はこの試作版のほうが気に入っていたりします。でも、製品版のチタンと比べるとちょっと重いです。 |
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この角度。良い雰囲気ですね〜。 |
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レオビンチとの比較です。 なるべく近い角度の写真を探したのですが、位置の違いがわかるでしょうか? 上の写真のほうがノーマルサイレンサーの位置に近いのですが、下のほうがFazerのデザインが活きるような気がしませんか? タンデムステップの位置を見比べると、高さはほぼ同じで3〜4センチ前方へ移動しています。実際に座ってみると、標準的な男性の体格ならこちらの位置のほうが乗りやすいんです。もともとパッセンジャーの着座位置とステップとの距離が近く、膝の角度がきつめだったのが、ライダーのと同じくらいの位置関係になるからでしょう。 |
まず、バッフル付きでエンジンをかけると、一昔前のメーカー純正サイレンサーくらいの音です。そのまま、空き地でチョイ乗りした感じでは極低回転のトルクとレスポンスはレオビンチのときより良い感じです。
バッフルを外してみると、パイプ径がだいぶん太くなっているにもかかわらず、意外にレオビンチと音量が変わりませんでした。住宅地でもそれほど気にならないレベルです。低音が力強くなるかわりに中高音はやや静かになって音の迫力が増した感じです。楕円−>真円の変化に加えて、サイレンサーが長い(上の写真で見比べてください)のが効いているんでしょうね。
実際には、かな〜り何度も、サイレンサーをとっかえひっかえ、たぶん10回以上計測しました。
でも、全部比べてもわけわからん状態なので、まずは結論ぽいのから...
青系の色がレオビンチを付けた状態、赤系の色がNew KING Cobraです。
計測前は、実はレオビンチのほうが特に中低回転でトルクが出てるのではないかと、ちょっとだけ思っていました。(清水さん、スミマセン。)なにしろ、レオビンチを付けてさんざんセッティングを出してきたのですから。
でも、結果は、見てのとおり。よ〜く見ると(っていうか、矢印がついているので、イヤでも見ていると思いますが)、極低回転と高回転でNew KING Cobraがわずかに上回っています。(誤差範囲では?と思われた方、「えっ!パワーリミッター!?」で清水さんが計った2回の計測結果を見比べてください。プロがやるとここまで一致するんです。今回は、そのときよりさらに室温やエンジン温にすごく気を遣われてましたので、この差は有意だと思っています。)
参考までに、付属のバッフルありなしでの差はこうなります。
赤−ピンクがバッフルあり、青−水色がバッフルなし、緑−黒がストックFazerです。
バッフルを入れた状態では全回転数でちょっとずつパワーダウンでしたが、それでもノーマルサイレンサーよりははるかにパワーが出ています。また、実際に乗った感じではバッフルなしより低速が扱いやすくなる印象なので、ゴーストップの多い市街地を静かに走りたい人なら、バッフル付きでまったく不満なく使えるのでは?
レッドゾーン手前の差は、サーキットでも走らない限り影響出ないでしょうから...
もいっちょう、旧KING Cobraとの比較(いわゆる当社従来比?^^)です。
赤−ピンクが新型+Ivan'sキット、青−水色が旧型+バクダンキット、緑−黒がストックFazerです。
キャブセッティング同じ状態でのデータが無いので、旧型ではバクダンキット使用時のものを並べてもらいました。ムフフ、ですね〜。(^^
全域のトルクがアップしていますから、はっきり言ってへたなフルエキより速いかも!
低回転での差はキャブセッティングによるものも大きいと思いますが、中〜高回転はセンターパイプ〜サイレンサーの違いが出ているのではないかと思います。
デザイン、音、トルク感、すべて満足なのですが、レオビンチよりパイプ径が大きくてヌケが良いはずなのに、高回転でパワーアップがごくわずかだったのが解せません。そこで、KING Cobra用にセッティングを微調整していきました。
まず、第1弾!
1,4のみ#122.5から#125に大きくし、エアクリーナーの吸入ダクト内側のエリ(これの名前知らない...)を約1cm短くカット。あと、キャブを外したついでに、多少のクリーニングと、パイロットスクリュー4回転戻しから4+1/4回転戻しに。
メインジェットは、前々から試そうと思っていたものの一つです。Ivanさんはすべて同じにするポリシーのようですが、直4で内外のジェットを変えるのは少なくとも日本では常套手段ですし、ゴーストップに巻き込まれることが多い日本の交通事情にもなんとなく合っているんじゃないか(「4連キャブも怖くない!?」でこのあたりにふれています。)と思っていたからです。ちょっと薄くしすぎじゃないかと疑っているので、まずは足す方向で。
吸入ダクトの加工ですが、これもIvanさんがFZ1で実証済みで、フルエキのときに指定の範囲をカットするとピークあたりで1psくらいアップするらしいです。ただ、ワタシの場合はフルエキじゃないので、ちょっと遠慮したカットにしました。
PS戻しは、低回転でスロットルオンオフしたときのレスポンスを調整する意味です。
3、4時間いろんな道をお散歩したところ、中〜高回転が良くなったようです。
2速全開怖かった...(^^;
あと、これはKING Cobraにしてからの変化ですが、3000rpm付近がIvan化後にノーマルサイレンサーに戻したときの印象(「あれま、低回転ではスリップオンよりノーマルのほうがレスポンス良いんとちゃう?」と感じました ^^;)に近いです。
全体的に、低速から高速まで、コーナー半ばからスロットルを開けてトラクションをかけるのが楽しみなバイクになった感じです。
ただし、PSは失敗でした。スロットルオンオフのつながりはやや悪くなっています。これは絞る方向で調整していきます。
次、第2弾!
PS戻しを3+3/4に絞ってみました。エンブレの効きがやや良くなり、4+1/4回転戻しのときよりは、スロットルオンオフの感じはよさそうです。ただ、PSアウトレットからの混合気がすくなくなる分、バタフライバルブをやや開けてアイドリングを出すので、アイドリングのエンジン音のバラツキが大きくなりました。そろそろシンクロ調整の時期かもしれません。
次に、初心に戻って(?)TPSをサービスマニュアル推奨の方法で再調整。ただ、タイミング進め気味のほうが良いことは実証済みなので、スロットルセンサーを反時計回りに回して、タコメーターの表示が5000rpmから10000rpmに飛ぶ直前のところに固定しました。かすかにアクセル開するだけで表示が10000rpmになるところです。乗った感じは、特に可もなく不可もなく、です。
キャブのシンクロを取って、エンジンオイルを入れ替え(ちょっと反則のレース専用オイルですが)、ちょこちょこと簡単に調整できるところはやってみたのですが、もうあまり変わらなさそうです。
そこで、ダイノ計測!!
実は、前回計測と今回の間に忠男Rのダイノが新型になったので、これまでとはエンジン回転数の読みが少し合わなくなりました。回転数が違うとトルクの値も変わってしまうので、信用できる馬力と速度のデータだけを使って、後から自分でレブリミッターの回転数を12000rpmに揃えて修正しました。([馬力(ps)]=2π/(75×60)×[トルク(kgm)]×[回転数(rpm)]で計算です。ここの説明が解りやすく正確です。さすが!)おかげで、ちょっとグラフの見た目がDYNOJETのものとはちがいます。
黒が以前のKING Cobraにする直前のもの(試乗&ダイノの最初のグラフと同じです)、赤が今回の計測結果です。良くなったみたいですね〜。
期待どおり、ピーク過ぎてからのパワーの落ちが緩くなりました。ようやくKING Cobraが本領を発揮したようです。
実走でのフィーリングも、現状でほとんど不満がなくなりました。これまで、Ivan'sキットに始まり、KING Cobraでの仕上げでダイノの結果もほんのわずかずつしか変わらなくなってきました。そろそろ、スリップオンとキャブセッティング+αでは限界にきたみたいです。
まあ、やる気になればTMRにするとかヘッドまわりをいじるとか、はてはターボまで(^^;)、まだまだディープな世界はあるのでしょうが、エンジン系はこのあたりで十分だと思っています。
だって、この状態で十分気持ちいいんですもの!
その後、車検用にスペシャルバッフルを作ってもらいました。
01モデルは99dBまでOKで、KING Cobraはバッフル無しでも95dBなのでそのままでもよいのですが、ちょっと音量を落としたいなと思っていたので、音質を落とさず音量だけちょっと落とすというのにチャレンジしました。
これが、ワンオフスペシャルバッフルです。05用KING Cobraのバッフルを、ワタシの試作モデルに合うように加工したものです。
忠男Rのノウハウで、バッフルの構造でもパワーを調節できるんだそうです。これを入れると、ピークはやや落ちるかもしれませんが、常用する中低回転のピックアップは鋭くなるようです。さらに、ワタシ独自のノウハウ...というより当てずっぽうで、バッフル特有のばさばさした音がしないように特注断面形状にしてもらいました。
パワーのほうは未計測なので、乗った感じだけですが、以前よりパワーリフトしやすくなったみたいです!
音のほうは、柔らかめの音質はそのままで、ちょっと低音がカットされた感じになりました。なかなかイイ!(^^)v
住宅地の狭い道を走るときにも音が響きすぎないようになりました。何より、ばさばさした音になっていないのが大満足です。
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FAZERism忠男Rオフにて、スペシャルバッフル付きでパワー計測してきました。 青が昨年計測のバッフル無しの状態、赤が今回のバッフル付きの状態です。なんと、バッフル付きのほうがピークパワーが出ています!今日は昨年の計測時と比べて気温が低く湿度も低かったので、補正してあるとは言え条件が良かったというのもあるかと思います。少なくとも、忠男Rダイノでの自車最高記録と比較してフルスロットル時のパワーが落ちている気配がないのはスゴイですね。 |