私がトレアのクルシージョを受講し始めて、いろいろ悩

んでいた時、運命のような偶然の出会いが私を待ち構え

ていた。 いつものようにトレアのレッスンを終え、たま

たまEl Flamencoに行こうとしたら、携帯電話がなった。

「まりちゃん、久しぶり!東京の加藤美香です。ねぇ、

今私どこにいると思う?大阪にいるのよ。これからEl

Flamencoに行こうと思うんだけど、まりちゃんも来な

い?」 加藤美香さんは東京で活躍中の若手舞踊家で、

私がフラメンコ留学したときスペインでお世話になった

人だ。加藤美香さんの踊りはスペイン人も認める実力の

持ち主で、特に優雅で繊細な身体の使い方は見ている者

を魅了する。彼女は踊りも上手ければ、人間性もすばら

しくいい。踊りが上手だからといって高ぶることもなく、

私のように踊れない人間でも普通の友達としてお付き合

いをしてくれる。 そんな加藤美香さんが、偶然にも、

今私が行こうとしているEl Flamencoに行こうとしてい

たなんて。 そこで、私は彼女に悩みを聞いてもらった。

最近の近況報告から自分の目指す方向性まで、そしてお

金がかかりすぎることへの不満など、他の人には言えな

いことも、彼女には素直に話せた。そして、その悩みに

対してひとつひとつ丁寧にアドバイスをもらった。今で

もはっきり覚えているのが

・舞踊家になるには舞台経験を積むこと
スタジオでどんなに練習しても舞台経験をふまないと上手にはならない。最初は発表会でソロを踊り、それからライブや公演で経験を積むこと。

・ある程度の投資は必要
ソロを踊ろうと思ったら、個人レッスンを受けながら、かなりの練習量が必要となってくる。その為に、レッスン代、スタジオレンタル代だけでもかなりお金がかかってくる。今活躍中のプロは皆自分自身に投資して現在の地位を築いている。それが出来ない人はプロにはなれない。

・いつでも踊れるコンディションを整えておく
踊りの依頼は突然やってくる。依頼が来てから振り付けを始めたり、練習をするようではプロ失格。いつ依頼がきても踊れるよう、いくつかの振りを必ず持っていること。

このアドバイスをもらって、甘い考えの自分が恥ずかし

くなった。彼女はきっと私が想像する以上の努力と苦労

と投資をしてきたんだろう、と頭が下がる思いをした。

このアドバイスをもらって、私はかなり吹っ切れたし、

はっきりした目標もできた。 そして加藤美香さんのレッ

スンを受けに大阪から東京まで通う決心をしたのである。

旦那に何て言うか悩みつつ。。。

2000.09.12.

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