05.すぐできる人、そうでない人
大抵どこの教室にも2、3人くらいリズム感の優れた、パソ(ステップ)をとるのがすごく早い人がいます。そういう人と一緒にレッスンを受けていると、
「あ〜自分には才能がないんだなぁ」と、ひどく落ち込んだりします。才能に恵まれた人は、複雑なパソ(ステップ)や、三連符の足や、コントラティエンポなど、何をするのもすぐできてしまいます。本当に羨ましい限りです。それに比べてぜんぜん出来ない自分自身に腹が立ってしまいます。
先生はそういう才能ある人に目をつけて、将来に期待をかけます。しかし、不思議なことに、そういう才能に恵まれた人はレッスンしている時は目立っても、肝心の舞台の上では群舞に埋もれてしまってその才能を発揮できないことがよくあります。逆に、レッスンでは落ちこぼれていた人が、舞台の上ではハツラツと踊り、才能のある人の存在を打ち消してしまうのです。
そういえばある本に、「ピアノの素晴らしい才能に恵まれながら、それを体系化するための努力が出来ない人は、その才能をまきちらして終わってしまう。」と書かれていました。
これはピアノに限らず、フラメンコでも同じことがいえると思います。下手に才能があって努力しなくてもすぐできてしまう人は、努力することをくだらなく感じてしまうらしいのです。そういう人は、難しい振付けをすぐ踊れてしまうと、そこから先に進む努力をせず、次の曲に行ってしまいます。本来なら、そこで追求しなければならない大切なものを見落としたまま、表面だけをひろい、どんどん先に進んでしまうのです。
つまり私がいいたいのは、どんな才能に恵まれた人でも、そうでない人も、ひとつのことを努力して追求していかないと、決して上手くはならない、ということです。
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