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シンハラ語の名詞も活用する、を学ぶ A『日本語とその文法」の助詞論 2005-11-18 |
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「日本語とその文法」の助詞論
2005-11-18 2008-01-18
前回の最後に触れた日本語教育副読本「日本語とその文法」Japan bhaashaava haa vyaakaranaya / thalangalle somasiri/に次のような助詞に関する問題文が掲載されています。p.135
phw q#k\@vn v`k&vl a#w] h]s\wn\ vlt s[q[s[ n]p`w pq @y`qn\n. |
パハタ ダェクウェナ ワーキャワラ アェティ ヒスタン ワラタ スドゥス ニパータ パダ ヨダンナ 下に 示された 文に ある 空欄に 適当な 助詞を 入れなさい。 (下の文の空欄に適当な助詞を入れよ) 1あの人__なに__食べますか。 4この えきで 汽車__乗ります。 |
ニパータ・パダの穴埋め問題は日本語試験でのクライマックス。
次の例文に現れる「ので」もニパータとして紹介されています。
雨がふっているのでしごとが出来ません。 | p162 |
「ので」はニパータのn]s`nisaaと対応すると指摘しています。「ので」は接続助詞ですが、シンハラ語でもこの単語の文法的な名称はサムッチャヤ・・ニパータ・パダ。これは、つなぐ(サムッチャヤ)助詞(ニパータ・パダ)ということですから日本語の接続助詞と同じです。
sm[c|cy n]p`w pqsamucchaya nipaatha pada
n]p`w pqvl]n\ v`k&`vl v]v]E v]pr~y`suk\ a#w]krn[ l@b|. |
ニパータによって 文章に さまざまな 変化を もたらす ことができます |
日本語文はニパータ・パダで構築されるとソーマシリ僧は解き明かしているのです。
ソーマシリ僧は「そして」などの接続詞もサムッチャヤ・ニパータ・パダとして紹介しています。シンハラ語では接続助詞も接続詞も不変化詞なのでニパータでくくることになってしまうのです。複数の文をつなぐか、日本人としては複文をつなぐかという違いで接続詞と接続助詞に分けたいのですが、次のような例文に出くわすと、接続助詞と接続詞の相違にどう決着をつければいいか、分からなくなりそうです。
![]() jpn~ x`;`v h` v&`krNy / wlAgl~@l~ @s`~msQrQ hQmQ Japan bhaashaava haa vyaakaranaya / thalangalle somasiri/2001 |
ここは寒いです。でもあそこはもっと寒いです。 | p163 |
e@hw~ | そうだけれども→でも(接続詞) |
文をつなぐ接続詞としての「でも」。この接続詞にはシンハラ語のe@hw~eheth(そうだけれども)が当てられています。
e@h+w\ | エヘッ |
ehe + th 其処/指示代名詞+けれども/ニパータ・逆接の表示 |
そうだけれども→でも |
「日本語とその文法」はここまでの説明で終わっているのですが、日本語の「でも」は逆接の接続詞としてばかりではなく、助詞としてのいくつもの使い方があります。
「誰でも出来る」「呼んでも応えない」「矢でも鉄砲でも持って来い」「それでもいい」「それでもいや」などなど。「でも」の文法解析はともかく(日本語文法では文法解析が多岐にわたっていて理解しがたい)として、これらをシンハラ語で言うと、
日本語文/ シンハラ文(カタカナ表記) | シンハラ表記文 | 英語の意味 |
誰でも 出来る カウルトッ プルワン |
kv|Uw\ p[Uvn\ | also |
呼んでも 応えて くれない カンダワナウォトッ ウッタラ デンネ ナェー |
kQvn@v`w\ uw\wr @qn\@n n$ | even |
それでも いい エーカパワー ハリ |
e\kpv` hr] | even if |
それでも いや エーウナトッ バェー |
e\ v[nw\ mt b$ | yet |
でもォ、かまいませんか エヘトッ カマック ナェッダ |
e@hw\ kmk\kO n#q\q | but (why) |
のようになります。「誰でも」「呼んでも」「それでも」「でもォ」はシンハラ語に変えるとそれぞれ言い回しが少しづつ違ってきます。これは同じ「でも」という言い方ながら、実際の意味からすると同じではないということを表しています。英語の意味として表の右端に加えた英単語は「でも」の意味の違いを単語の違いとして表しています。シンハラ語の場合は言い回しが少しづつ異なりますが、基本的には「トッ」という助詞(ニパータ)に動詞語幹や指示代名詞が先行して付いた形ですから、日本語の語形にすこぶ近いことが分かると思います。
ここまで来るとシンハラ語と日本語の接辞(助詞とニパータ)には似通った文法関係があることに気付かれることでしょう。さらには、日本語が一つの助詞に収束させ固定化させた(単純化を図った)多用な意味が、シンハラ語を通してみるとそれらが多様な言い回しのニパータで表されていることも分かります。シンハラ語の言い回しも単純化を進めて来ていますが、日本語の硬直的で単純すぎる変化からすれば、まだまだ古代的な言語の無駄にあふれていて、それが時に言語の優雅さにも聞こえてくるようです。
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