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この世の果ての家 |
マイケル・カニンガム(著)/飛田野裕子(訳) |
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映画『めぐりあう時間たち』の原作本が読みたいなぁと思い、 本屋さんで探してたんですけど、まったく見当たらず、 代わりに見つけたのが、同じ作者のこの本でした。
読むのに、とてつもなく時間がかかったわ…。
この物語は、時間がめぐりあうのではなく 人と人が深く濃くめぐりあいながら進んでいきます。 かけがえのない誰か、自分の居場所、 自分の生きる道を探して、登場人物たちは苦しみながら 答えを見つけていくんです。
読んでて納得できるところ、理解できるところ、 そして理解してあげられないところもありました。 でも、こう何て言うんだろう、 毎日がボヤけた風景の中で暮らしてるんだけど、 ある瞬間、すべてがパッと霧が晴れたように 見えてくるってときがあるんだろうなぁ、って思いましたね。
その瞬間ってのは、時には優しく、時には残酷で 思いもよらないものなんだろうな、と。
この本を読んでると、その場面場面の風景が 手に取るように想像できました。 アメリカの地名を書かれても、ピンとこないんだけど、 それでも、そこがどんなところなのか分かるような気が するんですよ。空気と風の匂いがするというかね。
とても絶望的なんだけど、 とても救いのある、いい本だと思います。
p.s. 「この本も映画化される」と、あとがきに書いてありますが、 アリス役は、ぜひジュリアン・ムーアでお願いします。 それ以外ありえないから。ありえない。 |
posted on 2003.07.13 |
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