そんな勉強と仕事との日々を送る中
、和郎に嬉しい誘いがやってきました。

忘れもしない20歳の時、和郎はジャズドラマーのUさんから、
トリオに参加しないか?とスカウトされたのです。
とうとうプロのジャズピアニストとして、
和郎はJazz Pianistデビューすることになりました。

さて、20歳になって、とうとう和郎は念願の「ジャズピアニスト」
としてデビューしました。
ジャズドラマーUさんのピアノトリオは、週に5日間、
心斎橋のジャズクラブにレギュラー出演していました。

和郎はそのメンバーとして、「翌月からきてくれ」と言われています。
和郎は「シャンソニエ」のバイトなど、
当時行っていた仕事を全てキャンセルして、
プロピアニストとしての初舞台に心躍らせながら,
その日を待ち望んでいました。

しかし、またもや和郎にとって試練が待ち受けていました。

・・・ なんと!和郎が演奏することなく、
つぶれてしまったのです。

 

 

 



その日まで、和郎にとって「就く仕事」がない毎日、
というものは考えられないほど、突っ走って仕事をしていました。

そんな和郎が無職になってしまったのです。
それでも、この時期に、ぽっかりと空いた時間を、和郎は無駄にしませんでした。

自分がかねてからやりたかった「曙光」(あかり)という
鈴木和郎のバンドを結成したのです。


オリジナルしか演奏しないグループで、
編成は「エレピ」「サックス」「ギター」「ドラム」「ベース」でした。
彼らは,当時和郎が通っていたヤマハのジャズスクールで習っていた、
ベーシストから紹介されたメンバーが主でした。

和郎はハービーハンコック、チック・コリア、ブランド・X、
などに強く影響され、
「プログレジャズ」に深く傾倒していました。

もちろんそのバンドもプログレジャズを演奏していました。
こうして、お昼間、割り勘でスタジオをとって、
5人で練習を続ける日々が続きます。