さて、和郎の肝心の受験勉強のほうは・・・というと、
和郎は音楽教科の「ピアノ実技」「和声学」「コウリュウブンゲン」
「聴音」「楽典」には自信がありました。
しかし、和郎が音大を受けようとしたその年は、「共通一次試験」
なるものが導入された年でもありました。
和郎は5教科を必死で勉強します。
しかし、和郎の夢は現実とならず、音大受験に失敗してしまいました。
「音大にいかなくたって、ピアノを職業にすることはできる」
和郎はその後、本格的にジャズの勉強をするために、
大塚善章さんのところへ弟子入りします。
和郎が弟子入りした大塚善章さんのピアノは、和郎にとってすごく格好いいものでした。
大塚さんは、「ホレス・シルバー」というピアニストに強く影響を受けていて、当時では最先端の「ビーバップ」のリフを奏でるアーティストでした。
モダンジャズしか聴いていなかった和郎は、彼の演奏に感激して、
どうしても弟子にして欲しい、とお願いしたのでした。
弟子入りが認められた和郎、大塚先生にさっそく週1回のピアノのレッスンをお願いしに彼の家を訪ねます。
しかし、大塚先生はこう言いました。
「あせるな。月に2回のレッスン以外は自分で練習しろ。」
和郎は少し物足りない気持ちでしたが、そこでこう思いました。
「必ず大塚さんの格好いいプレイを盗んでやる・・・」