さて、小学生になった和郎。

さぞかしピアノに夢中になっているのかな?と思いきや、和郎もすっかり
世の中の華やかな音楽に惹かれていってしまいます。



そう、世間では、グループサウンズの花盛り!
和郎少年も例にもれず、タイガース、テンプターズに
夢中になっていました。
しかし、そんな時も和郎はピアノ教室を辞めることはありませんでした。

和郎は、ショーケンの「エメラルドの伝説」を一生懸命コピーして、
学校の友達に自慢げに弾いて聞かせ、
ちょっとした人気者になっていきました。
すっかり調子にのった和郎。

そのころ、映画「ある愛の詩」のサウンドトラックのピアノ譜が
発売されたと同時に、和郎は「ぴん!」ときました。
そうして、その3日後、その曲は和郎少年の「おはこ」になったのです。
家にお客さんが来るたびにいつもその「ある愛の詩」を弾いて聞かせ、
さらに近所の評判になっていきます。


 

 

 

しかし、その和郎に、最初の挫折がやってきました。
友達と遊んでいて、腕を骨折してしまったのです。

ピアノの練習ができなくなった和郎・・・。



自分とピアノとが、きっても切り離せないものだと気づくのはそのときでした。
和郎は、練習できなくなった手で、「ベートーベン」、「モーツアルト」、
「バッハ」、「シューベルト」などの偉大な音楽家達の伝記を読み漁りました。
そして、和郎はそのとき気づきました。
「みんな、一筋縄ではいかないんだ。
          壮絶な人生を歩んでいるんだ・・・」

「骨折によりピアノを練習できない」この経験は、和郎にとって、
これからのピアノ人生の大切な試練になったのです。

骨折が治った和郎、あらたな気持ちでピアノに向かいます。
そのころ、学校の音楽祭で合唱の伴奏者と器楽合奏のピアニストの募集があり、和郎は器楽合奏のピアニストに応募します。

そこで、合格した和郎は、
アンサンブルの楽しさを覚えます。

つらい経験をして、再び立ち直った和郎・・・。
しかし、和郎には重大な欠点がありました。
それは、ちょっぴり世の中に流されやすいこと。
・・そう、世間ではエレクトーンなるものが流行り始めていたのです・・・