和郎は、ある日、母に連れられ
高級住宅街にある、「ピアノ個人指導」と書かれたお宅を尋ねた。
先生と母が何やら話しているあいだ退屈した和郎は
始めてみるグランドピアノにふらふらと近寄りそうっと触ってみた。
『汚い手で触らないで!』
和郎は、M先生に怒鳴られました。
それが和郎のピアニスト人生の始めの一歩だったのです。
ちなみに、その時触ったグランドピアノは
その後発表会の前の2,3回のレッスン以外は
一切触らせてもらえない、大事なピアノだったのです。
さて、和郎は、学校が終わるとまっすぐ帰宅し
ピアノの練習をする日々が始まりました。
ピアノを習いはじめて三年、7歳の頃
和郎少年は、練習曲をすっかり退屈に感じるようになってきました。
BACHは好きだったのですが、モーツアルトは苦痛だった和郎。
「ここはこうした方がおもしろいな!」
和郎は、好きに和音を変えてメロディーをくずして
リズムをロック調にしたりして喜んでいました
『自分流に音を作る』その快感を初めて覚えた和郎。
7歳でした!