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No.79 小太郎山 |
北岳の小太郎尾根は以前から知っていましたが、その先に小太郎山(2725m)があることを知ったのは、比較的最近です。南アルプス北部の山々の好展望地とのことなので、一泊二日で北岳登山と兼ねて小太郎山に登りました。 日時 2006年(平成18年)9月28日(木)〜9月29日(金) 天候 9月28日 晴 9月29日 曇り一時晴れ 同行 なし 所要時間 9月28日 広河原(7.35) ←35分→ (8.10)大樺沢分岐(8.10) ←2時間10分→ (10.20)白根御池小屋(10.40) ←2時間→ (12.40)二俣分岐(12.40) ←20分→ (13.00)小太郎尾根(13.20) ←40分→ (14.00)肩ノ小屋(14.30) ←55分→ (15.25)北岳(15.35) ←30分→ (16.05)肩ノ小屋 9月29日 肩ノ小屋(6.00) ←20分→ (6.20)小太郎山分岐(6.20) ←1時間35分→ (7.55)小太郎山(8.10) ←2時間→ (10.10)小太郎山分岐(10.20) ←10分→ (10.30)二俣分岐(10.35) ←20分→ (10.55)昼食(11.25) ←40分→ (12.05)二俣(12.15) ←1時間45分→ (14.00)広河原小屋(14.05) ←10分→ (14.15)広河原 山行概要 9月28日
北沢峠へ通じる林道のゲートをくぐると北岳が望めます。空に雲ひとつ無い快晴の中を歩き始めました。野呂川にかかるつり橋を渡り、広河原山荘で荷物を再確認して山道に入りました。大樺沢分岐で道を確認して尾根道へ入り、とりあえずの目標の白根御池小屋を目指しました。白根御池小屋まで標高差約600mの登りが続き、その後更にこれも標高差約600mの草すべりの急坂が待っているので、オーバーペースにならぬよう、最初のうちは意識してゆっくり歩きました。この尾根道には途中2箇所に休憩場所がありベンチが設置されています。2番目の休憩場所を過ぎ、道が左に向きを変えて山腹を巻くようになると、道はほぼ平坦になり、白根御池小屋まで一息つけるようになります。やがて目の前に白根御池小屋が現れましたが、その立派さと大きさに目を奪われました。 小屋の前のベンチでインスタント味噌汁とおにぎりを食べ、一息入れました。一息入れて、いよいよ草すべりの急坂です。最初は丈の高い草の生えた草原状の中の道が続きます。後ろを振り返ると眼下に小さな白根御池とその向うに鳳凰三山が眺められます。やがて白根御池が見えなくなって落葉樹林の中を歩くようになり、これがしばらく続きます。頭上が開けてきて、森林限界を過ぎると大樺沢の二俣へ下る分岐が現れました。ここまで来ると小太郎尾根の稜線まではあと僅かです。更に歩くと木の梯子が現れ、これを越えた先が小太郎尾根の稜線でした。 稜線に出ると景観が一変し、目の前に広がる景色に目を奪われます。ここで小太郎山へ向かうか北岳へ向かうか、思案をしていると、運よく小太郎山から戻ってきたパーティと一緒になりました。挨拶がてら、少し雑談をして小太郎山のことを聞くと、ここから往復4時間かかったと言われました。ここから4時間かけて小太郎山へ行って戻ると、今日宿泊する予定の肩ノ小屋の到着が遅くなり過ぎます。今日はこの後北岳に登り、小太郎山は明日行くことにして、取り敢えず肩ノ小屋へ向かいました。 肩ノ小屋に着いて受付を済ませ、2階の自分の寝場所を確認してから、水筒とウインドヤッケをぶら下げて、北岳へ向かいました。午前中雲ひとつ無かった天気も、この時間になると雲が涌いていて、周りの山々は殆どが雲の中です。北岳の頂上で形どおりの写真を写し、肩ノ小屋に戻りました。小屋の夕食は味噌汁とご飯のお代わりが自由とのことでしたが、ご飯は盛り付けの半分程しか食べることができませんでした。宿泊者は20人ほどで、食後何人かの人はストーブの周りで恒例の山自慢をしていましたが、それには加わる気がせず、2階の自分の寝場所に戻ってうとうとしていました。消灯は8時で、幸いいびきは殆ど聞こえず、いつの間にか寝込んでいました。 9月29日 一人当たりの寝具は毛布5枚だったので周りの人達と同じように半折にした2枚を下に敷き、3枚を上にかけて寝ましたが、いつの頃からか足が冷えているのが気になり、ウトウトしていました。そのうち誰かの携帯の目覚まし音が部屋中に響き、これで完全に目が覚めました。寝る前は、小屋の標高が3000mを越えていたので、高山病が気になっていたのですが、今回は強いて言えば食欲がないぐらいで、顕著な症状は無いようです。 ![]() 朝食は5時半とのことでしたが、日の出が5時40分頃だったので、これを見てから食事になりました。昨晩同様、食欲は余りありませんでしたが、それでもどんぶり1杯分のご飯を無理やり口に押し込みました。食事を終え、小屋の関係者に挨拶をして小屋を後にしました。風はありませんが曇天で、外気温は2℃ぐらいです。小太郎山とその先に甲斐駒が良く見えます。小太郎山分岐から3時間で小太郎山を往復できれば、広河原発12時25分のバスに間に合うので、今日は少し先を急ぎました。 小太郎山への分岐まで一緒に下ってきた夫婦連れのパーティーに別れ際励まされて、小太郎山へ向かいました。しばらくは下りの気持ち良い稜線歩きが続き快適です。こういう稜線歩きは大好きなので、調子に乗ってドンドン歩き、国土地理院の地形図の2646mの鞍部の少し手前で、何の気なしに稜線を左側に下りました。ガレ場を下って、ハイマツ帯へ入ったところで道が無くなり、道を間違えたことに気がつきました。稜線まで戻り、稜線上に踏み跡があるのが分かりましたが、丈の低い木立に隠れているような感じで分かりにくく、逆に左へ下るトレースがはっきりしているので、これにつられて下ってしまいました。この後は少し慎重になりましたが、似たように左側へ下り易い所がこの先にもありました。小太郎山へ向かう場合は、稜線上を歩くのが鉄則で、左側へ下っては絶対いけません。 このあと一度樹林帯へ入り、この樹林帯を抜けると小太郎山の一つ手前のピークに着きます。ここまでで、小太郎山の分岐から1時間ほどかかっていました。小太郎山は目の前ですが、それでも10分や15分で行ける距離ではありません。この時点で12時25分のバスはあきらめ、その後の午後4時のバスに乗ることにし、急がずあわてずに気持ちを切り替えました。そうと決まればで、このピークで少し長めの休憩を取り、目の前の小太郎山へ向かいました。小太郎山へ着いて、早速周りを見渡したのですが、残念、最も見たかった甲斐駒は雲の中です。それでもここからは、仙丈ケ岳や北沢峠へ向かう林道、両俣小屋へ通じている道が良く見えます。 どう見ても5分や10分で甲斐駒の雲は取れそうもありませんし、戻りの小太郎尾根の稜線に雲が涌いてきているので、頂上には長居をせずに戻ることにしました。小太郎山の手前のピークまで戻ったところで、薄着に着替えをし(朝は寒かったので冬用のカッターシャツを着ていました)、下山に備えました。帰途は周りの景色を楽しみながら少しのんびり歩きましたが、小太郎山分岐の手前の登りが結構きつく感じられました。このあと草すべりの途中で大樺沢へ向かい、二俣の手前で湯を沸かしてカップラーメンの昼食をとり、広河原へ向かいましたが、二俣から広河原山荘まで、その長さにうんざりさせられました。 広河原のバス停に着いて乗合タクシーの切符を買ったら、車の中で時間まで待っても良いとのことだったので、車の中で出発時間まで約2時間半、時間待ちをしました。芦安で自分の車に乗り換え、立ち寄り湯の白根天笑閣に寄って2日間の汗と垢を流し、自宅に午後9時前に戻りました。 「山の花」に写真を収録した花:キツリフネ、ノコンギク |
9月28日 広河原〜肩ノ小屋〜北岳 |
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広河原からの北岳 北沢峠へ向かう林道のゲートを越えると左手に見える ここからは遠く、また高い |
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大樺沢分岐 ここで大樺沢をたどるルートと尾根道を登るルートが分かれる この日は、尾根道ルートを登った |
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休憩場所 尾根道ルートには休憩用のベンチが設置されている休憩場所が2箇所ある |
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尾根道が山腹を巻くようになると左側が時折開け鳳凰三山が見えるようになる 写真は観音岳と薬師岳 |
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白根御池小屋 雪崩で潰された小屋を最近建て替えられた 新しいためか、まだ周りの雰囲気に溶け込んでおらず、妙な違和感を覚えた |
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草すべり入口 尾根道を登ってくるとここで、草すべりを登る道と大樺沢へ向かう道が分かれる ここから小太郎尾根の稜線まで、標高差600mの南アルプス屈指のきつい登りが始まる |
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草すべりを登りだすとしばらくの間、白根御池とその向うに鳳凰三山が望める 左から高嶺、観音岳、薬師岳 地蔵岳のオベリスクは見ない |
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草すべりの樹林帯 ダケカンバが主体の樹林帯で、すでに葉が色付き始めていた 登りがきつくなければ、楽しい散策コースだが、何せきつい登りで、周りに目を向ける余裕はなかった |
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二俣への分岐 導標の大樺沢方向へ進むと、二俣に出る ここで草すべりの樹林帯は終わる |
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二俣への分岐が過ぎても急登が続くが、周りの視界が開けてくるので、気分的には楽になる |
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小太郎尾根直下の木製階段 この階段を上ると目の前が小太郎尾根の稜線 |
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小太郎尾根からの眺め(1) 仙丈ケ岳が真正面に見える 仙塩尾根が山頂から左の方にずっと延びている 昨年歩いたばかりだが懐かしかった |
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小太郎尾根からの眺め(2) 写真は小太郎山とその先の甲斐駒 甲斐駒の白い山頂が目に付く |
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肩ノ小屋 2階建てで通常は2階が寝所で1階が食堂と予備の宿泊スペースのようだった 2階の寝具を数えたらざっと60セットあったが、この小屋の公称宿泊定員は150名とあった 150名泊まったら昨年の北岳山荘ではないが殺人的であろう 水は100円/1リットルで売っている 水場は100mほど下ったところにあるとのこと |
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北岳頂上![]() |
9月29日 肩ノ小屋〜小太郎山〜二俣〜広河原 |
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日の出 この日の朝は雲が多く太陽は顔を出さなかった |
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小太郎山と甲斐駒 肩ノ小屋を出てしばらくの間は、小太郎山の向うに甲斐駒が頭を出していた この時、外気温は2℃だったが、風が吹いていなかったので、小太郎山分岐へ付く頃には体が温まってきた ただし手袋はないと、手が凍えてしまう |
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小太郎尾根 小太郎山分岐からしばらくは爽快な稜線歩きが楽しめる 赤く紅葉したウラシマツツジが随所に見られた 夏は高山植物が楽しめそうなところである |
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小太郎尾根から見た北岳(1) 小太郎山分岐から先へ進んで振り返ると北岳がどっしりと聳えている |
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小太郎尾根から見た北岳(2) この辺りまで来ると北岳の山頂方向に延々と伸びている小太郎尾根の長さが良く分かる この写真は小太郎山からの帰途に写した |
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私はここで稜線上の道を外れて左側へ下ってしまった 小太郎山へ向かうルートは手前の岩のすぐ左側にあった 遠景は小太郎山の手前のピーク(左側)と小太郎山(右側) |
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樹林帯 小太郎山の手前の岩峰の手前で、僅かの距離だが、樹林帯の中を歩く |
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樹林帯の終わり 樹林帯はすぐ終わり、樹林帯を抜けると小太郎山の手前のピークの下に出る |
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小太郎山手前のピークから見た小太郎山 ここまで来ると小太郎山の頂上は指呼の間 それでもここから頂上までは30分近くかかる |
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小太郎山頂上 頂上はあまり広くない 山名を記した標識と三角点が設置されており、南アルプス北部の山々が一望できる |
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小太郎山からの眺め 写真中央やや左側のピークが仙丈ケ岳、甲斐駒は写真右端の更に右側の雲の中 |
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二俣 八本歯のコル、草すべり上部、白根御池小屋、広河原の各方向から来た道がここで交差している 沢は広く、休憩にもってこいの場所 この日も数組のパーティが休んでいた |
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二俣のトイレ 動力式で発々らしきものがうなっていた 最近山で多く見かけるバイオ方式では処理が間に合わないのであろう |