7月24日 晴れ
2時に起床。外を見ると、2年前にチャレンジしたときと同じような大快晴。風がほとんどないのが違うところだ。エスプレッソパスタに餅を入れて食べ、サブザックに防寒着や水筒、食料を詰めて出発。4時出発、6時登頂、8時までに帰着、テントを撤収して10時までに出発。できれば今日中に鏡平まで、双六で情報収集して鏡平山荘が混んでいそうなら双六止まりという大雑把なプランをたてた。
4:15 出発

小屋の前から北に、人ひとり分くらいの幅のハイマツの間の道を行く。登りで暑くなることを想定し下半身はスポーツタイツに短パンといういでたちでいた。ハイマツの朝露がタイツを通して染みてきて冷たい。
道は、山頂から一直線に張り出した尾根の東斜面をトラバースするように鞍部まで下り、そこで稜線に出る。そしてそのまま尾根を直登するわけである。少しザレてはいるもののよく踏まれて歩きやすい道を、ジグザグを切りつつ登ってゆく。
4:40 夜明け

「ヤリ、ゴロー、」のジグザグを過ぎると、稜線の少し西側を進むようになる。2年前は西からの強風で吹き飛ばされるんじゃないかとひやひやしたあたりだ。今日は東からゆるい風が吹いているだけで、眺めもいい。祖父岳や、3日前にこの鷲羽を眺めた黒部源流の急登も見える。やがて五郎は真後ろになり、槍は尾根に隠れてしまい、今度は「レンゲ、ジー、」になった。
続・夜明け

5:18 鷲羽池分岐

相棒も途中の景色にはいたく感動していたようだ。今こんなんじゃ、頂上に着いたらいったいどうなるんだろう。あんまり期待するとかえってがっかりすることが多いから、あまり期待しないで地道に歩いていこう。そんな話をした。
5:39 鷲羽岳登頂

東は朝日がまぶしてよく見えなかったが、360度の大展望が広がっていた(ぐるぐる写真)。日が強くなりはじめたので意外に暑かった。しかし日陰に入ると寒い。テルモスで持参したお湯で紅茶を淹れて飲む。あたたかく、甘かった。至福のひとときであった。
6:40 下山開始

往路をそのまま下った。登りの人が増えてきて、行き違いで結構時間を食った。「ヤリ、ゴロー、」のあたりから駆けるように下っていった。
7:38 三俣山荘着

さて、腹が減ったが食料が残り少ない。いつも余り過ぎるので、今回は軽量化という意味も含め少なめに持ってきたのだ。そこで山荘で食事をとることにし、テントを撤収しパッキングを済ませてから、展望レストランに行ってざるそばを食べた。営業小屋がない地域だったら残りの食料から行動を計算するところだが、北アルプスのメジャーコースはこういう点での緊張感がちょっと足りない。
9:29 出発

10:45 三俣蓮華岳

11:30 丸山

休憩しながらここで再び作戦会議。最終日を考えると少しでも下山口近くにいた方がいいには違いないが、この見晴らしのいい気持ちいい稜線を急いで通り過ぎてしまうなんてもったいない。というわけで、今日はもう鏡平に行くのはやめて、この稜線をゆっくりと楽しむという結論に達した。すると、我々が鏡平に行かないことを察したらしく、槍ヶ岳の雲が晴れてきたのだった。
道はよく歩かれているので歩きやすい。高原状で眺めもよいし、楽しい道だ。日差しは強く暑いが、時折吹いてくる風が冷たく心地よい。
12:40 双六岳
双六止まりが決まり思いっきりペースダウンしてゆっくりの到着。笠と穂高以外の周囲の山は全て見えた(ぐるぐる写真)。山頂は日を遮るものがなくまさに酷暑と言えた。風もなくなってしまった。
13:56 双六岳発

時間はたくさんある。昨秋訪れて気に入っている稜線のなだらかな道で、相棒と写真を撮りあったりしながらゆっくりと歩いていく。巻道との分岐近くに雪が解けたばかりで不明瞭なところはあったが、なんと言っても視界が良好なので迷うこともなかった。
15:10 双六小屋着

双六小屋にて
受付を済ませて、小屋前のベンチのひとつに陣取り、名物のおでんを食べた。美味である。また、体調を考え、これまでアルコールは控えていたが、ついにビールに手を出した。天気もいいのでそのまま夕食に移行。今日の夕食は遅ればせながら土用の丑にちなんでうな丼。また、隣に座った女性から牛タンスモークを1枚と、きゅうりをもらった。明日の食料が乏しいので、小屋でクッキーやらを買い込んで行動食を補充する。食後にテント場に移動。やたらと怒鳴り声でしゃべる高校生のやかましいパーティが2つもあったので、彼らから一番離れた、双六池のすぐそばにテントを張った。双六は何度目かの幕営だが、こんなに風もなく穏やかなのは初めてだった。よほど疲れていたのだろう、高校生の叫び声も苦にならず、19時には眠ってしまったと思う。