7月23日 晴れ

サブザックの中身は昨日とほとんど変わらないので準備にそう手間はかからない。4:40、トイレに行くと夜明け前の黒部五郎岳の上空の雲がほんのりと朝のピンク色に染まっていた。よい一日になりそうな予感がした。
5:02-9:45 雲ノ平散歩
小屋泊まりの人たちも活動を開始したようだ。山荘方面に向かって歩き出すと早速おじさんに話し掛けられた。「あのうスイス庭園はこっちでいいんですか」「は?・・・ここはキャンプ場ですよ」「ええ」「上の分岐から行くんじゃないですか」「こっちからでも行けますか」かつりんは呆れて「地図でも見たらどうですか」「はい、どうも」続いておばさんに話し掛けられた。「あのう、はしば山はここを真っ直ぐ行けば登れますか」「はしば?・・・」ぴんときた。「鷲羽ですか」「あっ!そうです、たしか鷲羽」雲ノ平というとどの登山口からでも1泊以上しないと到達できない、北アルプスでも最も山深いところだと思っていたが、こんな連中がひょこひょこと歩いているなんて、ずいぶんと俗化しているのだなあと思うと少し悲しかった。気を取り直して散策開始。アラスカ庭園は遠いので寄らず、そのかわり祖母岳などで必要以上にゆっくりした。スイス庭園からの水晶岳はきりっとして立派だった。夕焼けの水晶も見たくてもう1泊しようかとも思ったが、鷲羽に登りたいという相棒Kの意見を採用した。この時間から、重装備での鷲羽越えは我々の実力では無理と判断し、今日は最短ルートで三俣に行って翌朝サブザックでピストンすることにした。2日前、急登から見上げて登りたいと強く願った鷲羽に早くもアタックできると思うとわくわくしてきた。
遭難事故があったらしく、山荘にはひっきりなしに無線連絡が入り、どことなく空気がぴりぴりしているようだった。
(散策時の写真集はこちらへ)
11:24 雲ノ平発
散策を終えて9時半過ぎにテントに戻ってきたときにはすでに日は高く、閉め切ったテントの中はひどい暑さであった。幸いにも沢が近かったので、タオルを冷たい水にひたしてよくしぼり、汗を拭いながら撤収作業を進め、11時半頃には出発できた。ところで、撤収作業をしていると、沢から人が登ってきた。そこに富山県警のヘリが飛んできて、我々の目の前でその沢ヤさんをピックアップして飛び去っていった。県警の隊員だったのだろうか。遭難事故は沢で起きたのだろうか。なんとなくもやもやとした不安を残したままの出発となった。12:02 分岐通過

12:38 祖父岳登頂

山頂からは穂高が雲に隠れている以外は周囲はよく見渡せた(ぐるぐる写真)。昨日「ピークはいらない」と思ってしまった怒りは解けたようだ。
13:01 祖父岳出発

ここ以外は快調に下っていった。
13:50 岩苔乗越

この沢が黒部川の本当の源流なのだと思い、最初の1滴目を見たかったのだが、上流部はどこも残雪だらけでよくわからなかった。往きに、源流分岐の周辺にも雪が大量に残っていたのを覚えていたので、それが見えればあと少しだろうと思ったのだが、実はそれからも結構長かった。
15:22 源流分岐

16:15 三俣キャンプ場着
予想以上にテントは多かった。目をつけていた隠れ家も入居者がいたので、仕方なく水場の近くの砂州に陣取った。水流の跡を見ると、ぎりぎりテントの広さだけ陸地があった。しかし不安なので雲ノ平に引き続きここでも治水工事をすることになった。ここの砂利は質がよく加工しやすいのでたいへん楽しかった(要するに子どもの砂遊びと同じなわけです)。三俣にて
今日の夕食はナスのぴりから炒め、ひじきサラダマヨネーズ味。この夜、時計の電池が切れてしまい、ウンともスンとも言わなくなってしまった。今まで記録してきた温度や高度がパァになってしまった。そういえば前はここでカメラの電池が切れたんだったっけ。