Top浮世絵文献資料館浮世絵師総覧
 
頭 光(つぶりのひかる)全狂歌その他-江戸
 ☆ 天明三年(1783)    ◯『巴人集』〔江戸狂歌・第二巻〕四方赤良・天明三年(1783)詠   〝つふりの光におくる      夕顔のやど屋の軒におつぶりの光源氏とあやまたれぬる〟    ☆ 天明四年(1784)
 ◯『狂歌すまひ草』〔江戸狂歌・第二巻〕天明四年(1784)刊   〝山家客   山々の酒にて友を呼子鳥おほつかなくは見へぬかくれ家  つむり光〟   〝上水御祓  さばへなす神田にかゝる御祓して八百よの町をきよめ玉川 つむりの光〟   〝豊島屋田楽 田楽のくしげの露は涙かもみそめてこかれくらすとしまや つむりの光〟   〝石原菊   菊咲てあらたに垣を組やしき折へからすとかたき石原   つむり光〟   〝立役    ゑんあらばかさねて合んそれまではさらばとおしき閨を立役 つむりの光〟   〝連子窓月  身あかりの琴のしらべもすみわたる想夫れんじの窓にてる月 つむりの光〟   〝三月尽   花ちりてしまひしよし野川葛籠かたげて春の暇乞哉     つむりの光〟   〝不遇恋   いぼ結ひにむすぶの神の結てや今に一度もとけぬ下紐    つむり光〟   〝述懐    たらちねの我黒髪を烏羽玉のよる昼なでゝかくははげけん  つむり光〟   〝畳さしゝ  さしつけていはねば胸に畳やの思ひをつむやひとり寝の床  つむりの光〟
 ◯『栗花集』〔江戸狂歌・第二巻〕四方赤良編・天明四年(1784)九月十五日詠   「神田祭 隅田中汲がもとにをくれる也」   〝笛の音もふけて日和もよい桟敷星もかん/\かんだ祭礼〟    ☆ 天明五年(1785)
 ◯『狂言鶯蛙集』〔江戸狂歌・第二巻〕朱楽漢江編・天明五年(1785)刊   〝三月尽  花ちりてしまひし吉野かはつゝらかたけて春のいとまこひ哉 つむりのひかる〟   〝不逢恋  いほ結ひにむすぶの神のむすびてや今に一度もとけぬ下帯  つむりのひかる〟   〝早乙女恋 早乙女のさみだれ髪をとりあげてせめて一夜はなびき玉苗  ひかる         早乙女のさみだれ髪をとりあげてせめて一夜はなびき玉苗〟
 ◯『徳和哥後万載集』〔江戸狂歌・第二巻〕四方山人編・天明五年(1785)刊   〝郭公   一日に八千八声うけあふて山ほとゝぎすあはぬとぞなく つむりの光 〟   〝旅宿郭公 夏の夜のみじかき夜着に足引の山ほとゝぎすきく旅の宿 つむりの光〟   〝歳暮   年波のよするひたゐのしはみよりくるゝはいたくおしまれにけり つむりの光〟
 ◯『俳優風』〔江戸狂歌・第三巻〕唐衣橘洲・朱楽菅江・四方赤良編・天明五年(1785)八月成稿    挿絵・署名「つむり光画」「光画」   〝馬役 身のをもき役者をもちに月影やあはれ栗毛のもゝ引のこま つむりの光 四方〟
 ◯『夷歌百鬼夜狂』〔江戸狂歌・第三巻〕蔦唐丸主催「百物語」会・天明五年(1785)十月十四日詠   〝長髪   長髪の女の姿は川柳どろ/\/\に裾や引ずる      つふり光〟   〝殺生石  ばけのかはの玉藻を狐いたゝいて櫛笄となすの原かも   ひかる〟   〝肉吸   傘のあばら骨のみ残けりあらにくすひの夜の嵐や     光〟   〝猪熊   草摺をくはへて空へいかのぼりいと目もすごくみゆる猪熊 光〟   〝一つ目小僧 雨ふりてふり出したる一つ目の小僧はろくろ首のうら目歟 ひかる〟   〝大入道  すむ穴も大広袖の入道が名にはおはざるなまくさき風   ひかる〟   〝越中立山 魂返す薬の出る国なればなき人にあふ越のたて山     ひかる〟   〝皿屋敷  ひと二つ三つよもふけて七つ八つ九つわつとよぶ皿の数  光〟   〝あやかし ぬいてかすそこきみわるきひしやくさへあぶなき玉か舟のあやかし 光〟   〝大座頭  身のたけも高き利足の座頭坊金のたゝりのおそろしき台  ひかる〟
 ◯『下里巴人巻』〔江戸狂歌・第三巻〕四方赤良・天明五年(1785)詠   「十一月十九日 顔見世霜」(四方赤良の狂歌会)   〝つむり光 木々の葉の色の手際に顔みせの隈筆染る明ほのゝ霜〟    ☆ 天明六年(1786)
 ◯『新玉狂歌集』〔江戸狂歌・第三巻〕四方赤良編・天明六年(1786)刊   〝伯楽連 死にたくもありし去年にはひきかへて命ながくと思ふ春かなつふり光〟   〝ひかる 銭金はたまらで過る月日にもことしののびのみゆる子のたけ〟    ☆ 天明七年(1787)
 ◯『狂歌才蔵集』〔江戸狂歌・第三巻〕四方赤良編・天明七年(1787)刊   〝春歌上 ちよろ/\とひきあけ方白鼠ちいさな宿も春は来にけり つふり光〟   〝春歌下 花の山色短冊酒さかな入相のかねにしめて何程     つふり光〟   〝夏歌 氷室 とけさせはつかまつらしと氷室守をのれもかたくゐてついている つふり光〟   〝恋の歌とて みすもあらすみもせぬ人の恋しきは枕草子のとがにぞ有ける つふり光〟   〝述懐    母のちゝ父のすねこそ恋しけれひとりてくらふ事のならねば つふり光〟   〝芝居のかほみせの日  つふり光      花道つらねに幕をおくりける人々とをなしくよみてつかはしける      我等代々団十郎をひいきにて生国は花の江戸のまん中〟   〝不殺生戒  をのが身のあかとはしらであさましや虱くすりをはたにふるゝは つふり光〟   〝伊勢に詣て侍りける時  つふり光      天てらす神の教の道すくに日本橋より百二十余里〟
 ◯『狂歌千里同風』〔江戸狂歌・第三巻〕四方山人序・天明七年(1787)刊   〝伯楽の人々と俳優の心もてよみ侍りける  つふり光      春霞たちやあがれへはみんなうそおたちあそばせ四季の座かしら〟    ☆ 天明八年(1788)
 ◯『鸚鵡盃』〔江戸狂歌・第三巻〕朱楽菅江編・天明八年(1788)刊   〝立春   梅にしる山家の春に引かへて暦て覚ふ里のさるどし     つふり光〟   〝年内立春 かざり藁茸あはせすの年のうちしきりに春の来るぞせはしき つふり光〟
 ◯『狂歌数寄屋風呂』〔江戸狂歌・第三巻〕鹿津部真顔編・天明八年(1788)十月序   〝とこ山は我名もらすなとみかどのよませ給ひけんいとおかし        花くさの明ほのさむきとこのやまわがなもらすな俎板の上  つふりの光〟   〝(長文の詞書 全略)      仏には遣はれまいと歯かためをすればめでたき今のゆづり葉〟     ☆ 寛政三年(1791)
 ◯『狂歌部領使』〔江戸狂歌・第三巻〕つふり光序・寛政三年(1891)序   〝恋   難波江の風にもまるゝ汐なれや忍戸口にあしのふるふは  つふり光〟   〝恋   待ちかねて気ををとしたる小夜中に君のお出は拾ひもの也 つふり光〟   〝恋   千巻の経にもまさる御返事にうれし涙ぞ先うかみぬる   つふり光〟   〝恋   一つ家の鬼ともならで石よりはおもき枕にふせる恋やみ  つふり光〟   〝納涼  ゆあみして払ふ衣のちりひちやつもりて涼し庭のつき山  つふり光〟   〝荒和祓 飼にあさる鴨の川瀬の夕めしのおはち払ひの水の白ゆふ  つふり光〟   〝恋 君まてば尻もすはらで一夜さへさらにもゝ夜のこゝ地するかな つふり光〟      楊貴妃にたとへし故か呉国ほど君のことばの違ふ約束〟      くどけどもとかくに君はかた法華我に思ひの数珠をきれとや〟   〝萩  庭もせの萩に臥猪のなきものを鉄砲垣はきつい用心 つふり光〟   〝野分 元日の御用心より野分の夜我をねさせぬ杖も大徳  つふり光       すみふるす家はゆがめど杖つきののわきの風にかくは崩れき〟   〝恋  鐘の声此あかつきはひゞくなと閨にたてたき禁制の札 つふり光〟   〝雁  光陰の矢根なるかも春のまゝかりまた見ゆる中秋の空 つふり光〟   〝九月尽 をしめども脚半の色の白露をしもに結びてけふかへる秋 つふり光〟   〝恋  しのび逢ふ身には守もうの時にかへれとつくる七ツ目の鶏 つふり光〟   〝初冬 池水に氷の敷居はしりよくなじむ鴨居の冬の入口 つふり光〟   〝雪  いたづらに作れる雪の大達磨とけてさて/\尻くさらかし つふり光〟   〝歳暮 塩鮭のはらにはりたる竹弓に矢をいるごとく年はくれにき つふり光〟   〝更衣  ぬきかふる衣び帯はあまれども春の日数はたらで過ぎけり つふり光〟
  ◇「狂歌とこりつかひ 附録」   〝立春  節料理相かはらずにけさ春のたつくり鱠うちかすみけり  つふり光〟   〝恋   逢ざればとかく八卦をおきふしに人の心を唯うらみぬる  つふり光〟   〝恋   夏痩と人には隠すくるしさよ我むねの火のあつさまけをも つふり光〟   〝漸傾月 照まさる時も子の時うしの角さすや八月十五夜の影    頭光〟   〝落葉  寝てきけば落るはおとのしさまじや頃は鼠のかみな月とて つふり光〟   〝恋   蜘の糸くるにきはめて来ぬ人の心はねからよめぬからうた つふり光〟    ☆ 寛政四年(1792)
 ◯『狂歌四本柱』〔江戸狂歌・第三巻〕桑楊庵(つふり光)序・寛政四年(1792)刊   〝立春  春たつと女子供にしれ安くこほりを風のときをしへたり   つふり光〟   〝梅   邯鄲の枕とあちらこち風にさめて万花の梅のあけぼの    つふり光〟   〝恋   あだ人はとかく氷のうはすべりひるはとけるも夜はとけぬ也 つふり光〟   〝五月雨 五月雨のふるは卞和か泪かもいたく玉江にあしをかられて  つふり光〟   〝七夕  一夜でもから付たらみにならん此夕顔のつるのたなばた   つふり光〟   〝恋   くどけどもととかくに君はかた法華我に思ひの数珠を切とや つふり光〟   〝歳暮  書出しのたまれば年の芥川るすとこたへてきえなまし物   つふり光〟
 ◯『狂歌桑之弓』〔江戸狂歌・第三巻〕桑楊庵光編・寛政四年(1792)刊   〝きのふよりけふはかくべつ青柳に見ほれてふかき春の色哉  桑楊庵光〟    ☆ 寛政五年(1793)
 ◯『太郎殿犬百首』〔江戸狂歌・第三巻〕桑楊庵光編・寛政五年(1793)刊   (序) 〝寛政五丑のとし 桑楊庵主人いふ〟   (刊記)〝寛政五癸丑歳正月吉日      馬喰町三丁目 若林清兵衛                   江都書肆 浅草諏訪町  山中要助板〟
 ◯『狂歌上段集』〔江戸狂歌・第四巻〕桑楊庵頭光・尚左堂俊満等編・寛政五年(1793)   〝梅  冬あれし手のひらほどの我庭もきめこまかにぞ梅の咲ぬる 桑楊庵〟   〝鶯  身をかろく木伝ふために鶯のやがて酢になる梅を好む歟  桑楊庵〟   〝万歳 万歳の素襖の鶴もたちしほにやつといふたる徳若の浦   桑楊庵〟   〝西行忌 上人をとへる泪歟しろかねの猫の耳こすけふの春雨   桑楊庵光〟
 ◯『四方の巴流』〔江戸狂歌・第四巻〕狂歌堂真顔編・寛政五年(1793)刊(推定)   〝交張にはるは屏風の絵の如し松の日の出に梅に夕月  桑楊庵光〟    ☆ 寛政七年(1795)
 ◯『四方の巴流』〔江戸狂歌・第四巻〕鹿津部真顔編・寛政七年(1795)刊   (四方赤良(後の蜀山人)が狂歌堂鹿津部真顔に古今伝授めかして判者をゆずるを寿ぐ狂歌集の詠)   〝いさ折ていひわけにせん我妻のとがむばかりの梅のうつり香  桑楊庵光〟
 ◯『二妙集』〔江戸狂歌・第四巻〕唐衣橘洲序・寛政七年(1797)刊   〝時鳥  一声も丸てはきかぬほとゝぎす半分ゆめのあかつきのころ 桑楊庵光〟    ☆ 寛政八年(1796)
 ◯『狂歌晴天闘歌集』〔江戸狂歌・第四巻〕後巴人亭つむりの光編・寛政八年(1796)刊   〝春月  大空に霞の底やいれぬらん軒端をもらぬ春の夜の月 桑楊庵〟   〝寄能恋 つゝめども能の面の名に立て痩男とや人のうたはん 桑楊庵〟   〝更衣  脱かへていかにかゝるもはづかしや釣する海士のはりめ衣は 桑楊庵〟   〝寄相撲恋 思ひ川床の海とは角力にもいまだ名乗ぬ我涙かな 桑楊庵〟   〝蚊火  けぶしてもまたうたかひの蚊の声に二のあし火たく難波人哉 桑楊庵〟   〝蓮  御仏の器の蓮のまろき葉に随ふ水も友によるなり  桑楊庵〟   〝稲  穂波うつ稲負をのこかりしほにかたもみへねばあしもかくるゝ 桑楊庵〟   〝神楽 明ちかき夜の神楽のにはつ鳥をとりもをどれめんもきて舞へ  桑楊庵〟   〝寄魚恋 片おもひ鯛の骨なる鍬鎌よほれてもくれすかりねをもせぬ  桑楊庵〟    ☆ 文化六年(18019)
 ◯『新撰狂歌百人一首』〔江戸狂歌・第七巻〕六樹園宿屋飯盛編・文化六年(1809)刊   〝北むきはいづれも毒としりながら堪忍ならむ河豚と吉原  光〟   ☆ 文化九年(1812)
 ◯『万代狂歌集』〔江戸狂歌・第八巻〕宿屋飯盛編・文化九年(1812)刊   〝春歌   ちよろ/\とひきあけかたの白鼠ちひさな宿も春はきにけり  つふり光〟   〝屠蘇の酒くみて          おほかりし酒屋のかけのこりずまにけさとりあくるとその盃  つふり光〟   〝題しらず まぜはりにはるは屏風の画のごとし松の日の出に梅の夕月   つふり光〟   〝七草の日に なゝくさのあけほのさむき床の山わかなもらすな俎のうへ  つふり光〟   〝霞をよめる 一筋の霞や春のひたち帯冬とはそらもうらかへりたり    つふり光〟   〝題しらず  春のたつ東山より諺のかすみの衣きたふれの京       つふり光〟   〝鶯をよめる 身をかろく木つたふために鶯のやがて酢になる梅をこのむか 光〟   〝柳の枝に鶯のなきければ         つふり光          はゝきゝをさかさにしたる青柳にほつたて尻の鶯ぞなく〟   〝山間鶯を  をちかたの親類よりも山すみはちかくのたにの鶯ぞよき   光〟   〝若菜を   葛飾の春の川辺に初荷舟江戸をさしてやわかなつむらん   光          春の野の御製の若菜冥加なや手もぬらさずに一把三文〟   〝余寒を   槌やすむ鉄たくみほと春さむみとけんともせぬ雪の下水   つふり光〟   〝雪のこるりるを 岩かげの雫となりてはぬるなり兎をみえしこぞのしら雪 つふり光〟   〝柳を    五もとの冬かれ柳春くれば枝も若葉にかへんなんいざ    つふり光〟   〝柳靡風をいふを 五もとの冬かれ柳春くれば枝も若葉にかへんなんいざ  つふり光            青柳の糸より引て系図ほど千筋に枝のわかる春風〟   〝山蕨を  よし野山谷間をのぞくさわらびはおのれかあくのざんけするかも つふり光    〟   〝帰雁を   よみやすき文かも雁のかへり点句をきり星のみゆる暁    つふり光〟   〝花を    田楽の味噌をば人にまかせつゝ花にこゝろをつくる頃かな  つふり光〟   〝志賀山越を ちりかゝる花の衣を狼のきてはたまらぬ志賀の山越〟    つふり光〟   〝雛を    雛棚の花を見すてゝあたゝかな風に砂糖のかへる雁〟   〝汐干にいきて 尋ればこゝにあり/\汐干潟(ママ)まりのつまみの紫の貝〟   〝桃の花のさきけるを           ねかはくは三千とせをへて春死なん王母か桃の花のもとにて 光〟   〝藤の花のさきけるを           松の木の股もさけぬとみゆるなり夏へまたきし藤の花房   つふり光〟   〝春の日菅神の御社にまうでゝ    つむり光          菅原の北の方にて南より紅梅とのゝ花はひらけり〟   〝郭公を   ほとゝきす自由自在にきく里は酒屋へ三里豆腐やへ二里   つむり光          きゝし事尻へぬくればほとゝきすいつも初音のこゝちこそすれ〟   〝酢を    早漬のおしにおくのゝ大石をとるや真田の与一夜のすし   つむり光〟   〝月前網を  てる月に魚のみえすくよつ手網かゝらぬ物は雲ばかりなり  つむり光〟   〝題しらず  虫の音のたえたる霜のさむき夜になく物とてはこれきり/\す  つむり光〟   〝鴛鴦を   つるき羽のをるゝばかりの冬風にみけんじゃくほどめくるをし鳥 つむり光〟   〝霙を    酒の名のみそれふる日はたへかねて下戸も雪解雫ほどのむ    つむり光〟   〝懐旧を   元結をくひきりたるもむかしにて歯にいとたのむ口をしの世や  つむり光〟   〝釈教歌 高野にまうでゝ          元結をくひきりたるもむかしにて歯にいとたのむ口をしの世や          鳥ひとつとらせぬ山をたかのとは仮名でかいたる筆のあやまり〟