◯『狂歌四本柱』〔江戸狂歌・第三巻〕桑楊庵あるじ(つふり光)序・寛政四年(1792)刊
〝氷 泉水の氷のはりの強きゆへ軒のつらゝも棒ほどにみゆ 胡金あつ丸〟
◯『狂歌桑之弓』〔江戸狂歌・第四巻〕桑楊庵光編・寛政四年(1792)刊
〝川の瀬へめはり柳の枝たれてかせのをしへにぬふか糸ひく 故兼厚丸〟
◯『太郎殿犬百首』〔江戸狂歌・第三巻〕桑楊庵光編・寛政五年(1793)刊
〝葵 鍋やきのふた葉あふひをとりみればさてうまさうなねぎにかも山 故兼あつ丸〟
◯『狂歌上段集』〔江戸狂歌・第四巻〕桑楊庵頭光・尚左堂俊満等編・寛政五年(1793)
〝春月 また年は若葉の春の月ながら兀山のはにやがてふけゆく 故兼厚丸〟
◯『狂歌晴天闘歌集』〔江戸狂歌・第四巻〕後巴人亭つむりの光編・寛政八年(1796)刊
〝恋 番匠の手斧かつらき仇人にいまは命もはつるばかりぞ 小金厚丸〟
◯『柳の糸』〔江戸狂歌・第五巻〕浅草庵市人編・寛政九年(1797)刊
〝見ればみな長者となりぬ巳のとしのしりくめ縄をはるの日のあし 神田庵厚丸〟
◯『狂歌東来集』初編〔江戸狂歌・第五巻〕酒月米人編・寛政十一年(1799)刊
〝あしの浦の氷もとけて春の日の霞にむくる沖のかも船 神田庵厚丸〟
◯『狂歌萩古枝』〔江戸狂歌・第六巻〕浅草庵市人編・享和二年(1802)刊
(桑楊庵頭光七回忌(享和二年四月十二日)追善集)
〝片思 とり得てし鼠の皮もわか胸ももゆる程なほかたおもひなり 神田庵厚丸〟
◯『狂歌武射志風流』上之巻〔江戸狂歌・第六巻〕四方真顔、森羅万象編・享和四年(文化元年・1804)刊
〝軒燕 ひちりこをはこふちまたをかけりてははねをあけ来る軒の燕 小金厚丸〟