Top 浮世絵文献資料館 浮世絵師総覧 ☆ とよきち いっきゅうさい 一休斎 豊吉 浮世絵師名一覧 〔未詳〕 ◯「六芸の内 御」(刊年未詳) 署名「一休斎豊吉画」吉原の遊女絵 近江屋平八板 改印「極」六芸の内 御 吉原の遊女絵一休斎豊吉画 (画像はペペレマンセ ギ氏の提供です) 〈六芸(りくげい)とは士大夫として身につけるべき六つの技能のことで、礼(礼節)・楽(音楽)・射(弓術)・御(馬術)・ 書(書道)・数(算術)を指します。この吉原の遊女絵にはそのうちの「御」が割り振られている。するとこれは六枚組の一 つと考えられます。この図柄には仕掛けがあります。画中の左手「誰(たそ)や行灯(あんどん)」のところと遊女の帯に 蝙蝠(こうもり)が画かれている。この当時(天保の頃)、江戸の人々は、蝙蝠と言えば、誰しもがその図柄を流行らせた という七代目の市川団十郎を連想したに違いありません。しかもそれを促すかのように、花魁の帯には市川家の家紋で ある「牡丹」があり、「御」の字もまた三升の紋の中に配されている。つまりこの錦絵は、吉原の最高級花魁(おいらん)と 歌舞伎界の第一人者とを組み合わせたものなのです。ところで、画工の一休斎豊吉については全く分かりません。紹介 されるのもおそらくこれが初めだろうと思います。豊吉の読みについても、今かりに「とよきち」と読んではみたのです が、「とよよし」なのかもしれず、いまひとつ確信が持てないでいます。ともあれこの画像を提供してくださったペペレ マンセ ギ氏にあらためてお礼申し上げます〉