※『黄表紙總覧』(棚橋正博著・日本書誌学大系48)角書は省略
☆ 天明四年(1784)
◯『黄表紙總覧』前編(天明四年刊)
千代女画
『年始御礼帳』 署名「哥麿門人千代女画」序「四方赤良」 蔦屋板
〈備考、浜田義一郎氏の「千代女は歌麿自身」の説を引く〉
『金平子供遊』 署名「哥麿門人千代女画」序「不工面侍四方赤良」蔦屋板
◯『年始御礼帳』黄表紙(四方赤良作・千代女画・天明四年刊)
〝へたてつる年一枚絵草双紙あけてめでたき空の青本 朱楽漢江〟
〝錦画 雲楽斎
あらたまのとしの初の一まい絵二枚屏風にはるのいへづと〟
〈一枚絵や草双紙(青本=黄表紙)は江戸の正月を彩る風物詩になっている。家への手みやげに買い求め、二枚屏風に
張り交ぜて楽しんだのである。下出の二枚屏風の画像には「清長画」の署名が見える。「風俗東之錦」のような絵柄
である〉
張り交ぜ絵 千代女画 (東京大学附属図書館・電子版霞亭文庫)
〈『黄表紙總覧』前編、天明四年刊『年始御礼帳』の備考によると、この挿絵を担当した「哥麿門人千代」とは歌麿自
身とのこと(浜田義一郎氏説)である〉
◯「日本古典籍総合目録」(天明四年刊)
◇黄表紙
千代女画『金平子供遊』『年始御礼帳』
☆ 天明五年(1785)
◯『稗史提要』p368(比志島文軒(漣水散人)編・天保年間成稿)
◇黄表紙(天明五年刊)
作者の部 喜三二 通笑 京伝 全交 三和 恋川好町 蓬莱山人帰橋 夢中夢助 二水山人 鳴瀧
録山人信鮒
画工の部 清長 重政 政演 政美 春朗 哥丸 勝川春英 旭光 道麿 千代女 勝花 柳交
〈千代女の作画は、天明四年は四方赤良序の『金平子供遊』とやはり四方赤良作の『年始御礼帳』二点、同五年は桜川
杜芳作『嘘皮初音鼓』・唐来三和作『莫切自根金生木』・恋川好町『元利安売鋸商内』の三点〉
◯「日本古典籍総合目録」(天明五年刊)
◇黄表紙
千代女画『嘘皮初音鼓』杜芳作・『元利安売鋸商内』好町作・『莫切自根金生木』三和作
☆ 寛政元年(天明九年・1789)
◯『黄表紙總覧』中編(天明九年刊)
千代女画『樽酒聞上手』署名「哥麿門人千代女画」蔦屋板
〈天明四年刊『金平子供遊』(哥麿門人千代女画・不工面侍四方赤良作)の改刻改題再板本〉
☆ 没後資料
◯『増補浮世絵類考』(ケンブリッジ本)(斎藤月岑編・天保十五年(1844)序)
「喜多川歌麿系譜」〝(歌麿門人)千代女 いまそうし有〟
◯『古画備考』三十一「浮世絵師伝」中p1403(朝岡興禎編・嘉永三年四月十七日起筆)
〝行麿 哥麿門人
千代女 共に草双紙画〟
◯『浮世絵備考』(梅本塵山編 東陽堂 明治三十一年(1898)六月刊)
(国立国会図書館デジタルコレクション)(37/103コマ)
〝千代女【天明元年~八年 1781-1788】喜多川歌麿の女か、なほ考ふべし〟
◯『浮世画人伝』p69(関根黙庵著・明治三十二年(1899)刊)
「喜多川歌麿系譜」〝千代女(歌麿門人・名前のみ)〟
◯『浮世絵師伝』p121(井上和雄著・昭和六年(1931)刊)
〝千代女
【生】 【歿】 【画系】歌麿門人或は妻 【作画期】寛政
其の名を聞くのみにして、未だ作品あるを知らず。寛政末頃に出版せし『絵本笑上戸』(春画)の序文
に、「麿内より松禄樣」としたる手紙を掲げ「扨は麿事よん処なき御方樣より誘はれ急に江のしま参け
い致しまゐらせ候に付御絵本のさいしき及ばずながらわたくしより改め差上まゐらせ候」また「夫の下
絵に妻のさいしき」云々としたるは、歌麿の戯れならむと思はるれど、或は其が妻(千代女と同一人か)
に画道の素養ありしものやも知るべからず、姑く記して後考を俟つ〟
◯「日本古典籍総合目録」(国文学研究資料館)
作品数:6 (「作品数」は必ずしも「分類」や「成立年」の点数合計と一致するとは限りません)
画号他:千代女・喜田川千代女
分 類:黄表紙5・咄本1
成立年:天明4~5年(5点)
寛政1年 (1点)
〈寛政元年本は天明四年の改題本の由、したがって作画期は天明四~五年である〉