◯『古画備考』三十一「浮世絵師伝」中p1376(朝岡興禎編・嘉永三年(1850)四月十七日起筆)
〝水鷗[署名]水鷗筆[印章]「元吉之筆」(方印)甚見事、菱川ニ能似タリ、時代モ同ジ
(補)美人花見。[署名]水鷗筆[印章]壺印「(一字未詳)信」〟
◯『浮世絵画集』第一~三輯(田中増蔵編 聚精堂 明治44年(1911)~大正2年(1913)刊)
「徳川時代婦人風俗及服飾器具展覧会」目録〔4月3日~4月30日 東京帝室博物館〕
(国立国会図書館デジタルコレクション)
◇『浮世絵画集』第二輯(明治四十五年(1912)五月刊)
(絵師)水鷗(画題)「花観」(制作年代)元禄頃(所蔵者)東京帝室博物館〟
◇『浮世絵画集』第三輯(大正二年(1913)五月刊)
〝水鷗 「庭の眺」 元禄頃 東京帝室博物館〟
◯『浮世絵師伝』p104(井上和雄著・昭和六年(1931)刊)
〝水鷗
【生】 【歿】 【画系】 【作画期】元禄~享保
田村氏、卯観子水鴎と落款せる肉筆人物画あり、印文に「千山」とあるは俳号なるべし、画風菱川派に
似たれども、衣裳の線を能く単純化し、独特の表現を試みたる点は、凡手に非ざることを証するに足れ
り〟
△『増訂浮世絵』p70(藤懸静也著・雄山閣・昭和二十一年(1946)刊)
〝田村水鷗
水鷗筆と署名のある肉筆美人画が往々ある。流暢なる描線の使用と、穏雅なる色彩との技にその伎倆の
優秀なることがわかる。然し惜いことには、その閲歴を明かにしない。武岡豊太氏の蒐集品で、令息忠
夫氏の襲藏せらるゝ美人画には、田村水鷗筆といふ署名があるので、田村氏を称するものなることが推
察される。この画は水鷗の傑作と称すべく、帝室博物館の藏品も優れたものである。その画風を見るに、
菱川流を汲むものなることが窺はれるが、その手法は更に土佐派の技法によるものなることが考へられ
る。その画風から見て恐らく、京都の風俗画家であらうと思ふ〟
◯「日本古典籍総合目録」(国文学研究資料館)
伝田村水鷗画「婦女舟遊図」一軸