☆ 元禄五年(1692)
◯『万買物調方記』(『諸国買物調方記』所収。花咲一男編・渡辺書店 昭和47年刊)
(別書名『買物調方三合集覧』・元禄五年刊)
〝京ニテ 当世絵書
丸太町西洞院 古 又兵衛
四条通御たびの後 半兵衛
江戸ニテ 浮世絵師
橘町 菱川 吉兵衛
同 吉左衛門
同 太郎兵衛〟
〈京都では浮世絵師と呼ばず、当世絵書と称したようである。下出のようにこの又兵衛を斎藤月岑の『増補浮世絵類考』
は当世又兵衛と呼んでいる。「古」は故人の意味であろう。なお、山東京伝はこの又兵衛を浮世絵又兵衛と呼んでい
る。(本HP「浮世又兵衛」参照)また半兵衛の方は斎藤月岑が吉田半兵衛かとしている。江戸の浮世絵師では菱川
吉兵衛が師宣、吉左衛門が師房、太郎兵衛が師重である〉
☆ 没後資料
◯『増補浮世絵類考』(斎藤月岑編・天保十五年(1844)序)
(( )は割註・〈 〉は書入れ・〔 〕は見せ消ち)
〝 当世又兵衛
同 半兵衛(名を似せたるものなるべし)
欄外〈按るに吉田半兵衛なるべし〉
元禄五年板買物調方三合集覧に、京にて当世絵かく、丸太町西洞院古又兵衞とあり。是等も岩佐又兵衛
が名を似せたる物なるべし。又是にならわせて、四条通〈御〉旅所のうしろ半兵衛とあり。是等も京の
浮世絵師なり。(以上浮世絵類考追考山東庵考証、杏花園蔵書)〟
〈「元禄五年板買物調方三合集覧」は上出『万買物調方記』のこと。斎藤月岑は杏花園(大田南畝)の蔵書であった山
東京伝の「浮世絵類考追考」を引用したのである〉
◯『古画備考』三十一「浮世絵師伝」中p1366(朝岡興禎編・嘉永三年(1850)四月十七日起筆)
〝当世絵又兵衛
元禄五年板、買物調方三合集覧に、京にて当世画書、丸太町西洞院、古又兵とあり。是等は岩佐又兵衛
が名を似せたるものなるべし。又是にならはせて、四条御旅の後半兵衛とあり、これら京の浮世絵師な
り 浮世絵類考〟
◯『浮世絵師便覧』p224(飯島半十郎(虚心)著・明治二十六年(1893)刊)
〝又兵衛 当世絵又兵衛と称す、京師の人、一に又平、三合一覧に見えたり、◯元禄〟
◯『浮世絵備考』(梅山塵山編・東陽堂・明治三十一年(1898)刊)
(国立国会図書館デジタルコレクション)(22/103コマ)
〝当世絵又兵衛【元禄元~十六年 1688-1703】京都の人、其の伝詳ならず〟