〔又〕※（よみ）は当館の読み
◯『本朝画家人名辞書』（狩野寿信編・明治二十六(1893)年刊）
（国立国会図書館・近代デジタルライブラリー）
又平（またへい）
〔名ハ久吉、江洲大津ノ人ナリ、世ニ大津又平ト称ス、又兵衛勝重ノ子トナスハ誤ナリ、曾テ又兵衛ノ画ニ倣ヒ、浮
世絵ヲ作ル、元禄年中仏書ヲ作テ業トナシ、其大津ニ住セルトキ、鬼念仏・奴槍持・藤娘ノ図ヲ作テ、之ヲ行客ニ
鬻グ、行客之ヲ携フレバ、途上災厄ニ遇ハズト云フ、即チ大津画ノ開祖ナリ、享保年中八十九ニシテ没ス〟
又兵衛（またべえ）
〔岩佐氏、名ハ勝重、荒木摂津守村重ノ子ナリ、天正七年、村重織田信長ニ叛テ自殺ス、又兵衛、時僅二二歳、乳母
之ヲ抱テ本願寺ノ支院ニ匿レ、後越前岩佐氏ノ鞠養スル所トナリ、因テ其姓ヲ冒ス、慶長年中京都ニ遊ビ、土佐光
則ノ門ニ入リ、終ニ一家ノ風ヲナシ、土佐光輔ト称ス、尤モ当時ノ風俗ヲ画クニ巧ナリ、筆意精緻設色艶麗ニシテ、
世ニ浮世又兵衛ト称ス、遺蹟世ニ伝ルモノ多シ、寛永年中没ス〕
◯『古代錦絵画家人名辞書』（浅野気山校訂 慶文堂書店 大正四年(1915)七月刊）
（国立国会図書館デジタルコレクション）
又平 （またへい）〔大津と云ふ 享保年中の人なり〕
又兵衛（またべえ）〔岩佐と云ふ 土佐光則の門人なり 寛永年中の人〕
◯『浮世絵師人名辞書』（桑原羊次郎著・教文館・大正十二年(1923)刊）
（国立国会図書館・近代デジタルライブラリー）
又兵衛（またべえ）〔岩佐氏、浮世絵の祖、勝以を見よ〕
又兵衛（またべえ）〔当世絵又兵衛と称す、京師の人、一に又平、三合一覧に見えたり、元禄頃〕