⑤〔東大〕:『【東京大学/所蔵】草雙紙目録』〔日本書誌学体系67・近世文学読書会編〕
〈初代の国貞は弘化元年(天保十五年)正月に豊国(自称二代目)を襲名している。したがって、以下、弘化三年以降の国
貞は二代目ということになるのだが、嘉永五年の改名説もあるので、この間のデータを今後の検討課題として一括した〉
☆ 弘化三年(1846)
◯「合巻年表」(弘化三年刊)
歌川国貞二世画
『松鶴賀操諸声』表紙「国貞画」 五蝶亭貞重画 美図垣笑顔作
『都鳥花の魁』 見返「門人国貞画」一陽斎豊国画 万亭応賀作
〈この一陽斎豊国は三代目豊国。その門人国貞は二代目にあたる。弘化2年には国政から改名していたことになり、嘉
永5年改名説とは異なる〉
☆ 嘉永元年(弘化五年・1848)
◯「合巻年表」(弘化五年刊)
歌川国貞二世画『梅雨濡仲町』「梅蝶楼国貞画」柳水亭種清作 蔦吉板 ①
☆ 嘉永二年(1849)
◯「合巻年表」(嘉永二年刊)
歌川国貞二世画
『教草女房形気』
六編「歌川豊国画」見返「門人国政画」袋 豊国門人国貞画 山東庵京山作 山田屋板 ⑤
七編「豊国画」 見返「門人国貞画」袋 立斎 京山作 山田屋板 ⑤
『怪談春の雛鳥』四編「一陽斎豊国画」見返「門人国政 門人国貞」袋 国政 万亭応賀作 川口板 ⑤
『竹取物語』 十二編「豊国画」 見返・袋「門人国貞画」 京山翁作 森治板 ⑤
『白縫譚』 初編「豊国画」 見返「門人国貞画」 種員作 藤慶板 ⑤
〈この「豊国」は三代目豊国で初代の国貞。そして「門人国政」は三代目国政。しかし「豊国門人国貞」とは誰であろうか。
『怪談春の雛鳥』の見返しには「門人国政 門人国貞」ともある。この国政と国貞は別人なのであろう。三代目国政が二
代目国貞を襲名するのは嘉永五年とされている。するとこの国貞は一体誰なのか〉
◯「百人一首年表」(本HP・Top)(嘉永二年刊)
歌川国貞二世画『贈答百人一首』〔跡見1753〕
巻末「口画 葛飾為斎 肖像 一勇斎国芳 一猛斎芳虎 玉蘭斎貞秀
肖像 梅蝶楼国貞 一陽斎豊国」〈国貞は二代、豊国は三代〉
緑亭川柳序編・序「嘉永二癸丑新春」山口屋藤兵衛版 名主二印「衣笠・村田」
☆ 嘉永四年(1851)
◯「艶本年表」(日文研「艶本資料データベース」)(嘉永四年刊)
歌川国貞『正写相生源氏』色摺 大本 嘉永四年頃「東都 女好庵主人著」
〈合巻の署名に「国政改国貞」が登場するのが翌嘉永五年から。すると国政の国貞襲名は嘉永四年と考えられるので、
この艶本は襲名直後の作品ともいえようか〉