Top浮世絵文献資料館浮世絵師総覧
 
☆ くにまる うたがわ 歌川 国丸二代?浮世絵師名一覧
(国麿参照)
       〈一円斎・歌川国丸は文政十二年(1829)没とされるので、以下の一円斎国丸を二代とみた〉  ※〔切附本〕:「切附本書目年表稿」   『観物画譜』(朝倉無声収集見世物画譜『日本庶民文化史料集成』第八巻所収)  ☆ 天保二年(1831)    <三月 籠細工(一田庄七郎)大坂四天王寺>  ◯『観物画譜』33   「【春のにぎわい/浪花のながめ】籠細工 天竺大人形 口上(略)    籠細工人 一代目一田庄七郎 初代門弟一田吉兵衛」摺物 署名「歌川国丸画」板元未詳    <八月 子供力持 東両国広小路>  ◯『観物画譜』34   「【大坂子供】力曲持 太夫本綾川猪平 番付(略)」摺物 署名「歌川国丸画」板元不明    ☆ 天保十三年(1842)    ◯『花紅葉錦伊達傘』(合巻 天保十三年刊 早稲田大学「古典籍総合データベース」画像より)   (一栄斎芳艶画 美図垣笑顔作 笑顔の序に)   〝今世の中の流行ハ国丸が鞠、国芳が猫に見立し百面相男の助の大当(り)〟    ☆ 嘉永二年(1849)  ◯「【俳優画師】高名競」嘉永二年刊(『浮世絵』第十八号  大正五年(1916)十一月刊)   (国立国会図書館デジタルコレクション画像)(21/25コマ)   (番付中央)    上段(行事)  秋津島 坂東三津五郎 漫画 前北斎卍翁 三国志 玄龍斎戴斗    中段(年寄)  千里鏡 歌川国丸   兼  尾上梅寿  摺物  葵岡北渓    下段(勧進元) カネル 中村歌右衛門 一陽斎豊国    〈初代豊国の門人の初代国丸は文政十二年没だから、この国丸は初代ではない。嘉永四年刊の読本『宮本無三四二刀傳』     (梅亭金鵞作)の画工・国丸、あるいは刊年未詳の読本『名臣烈婦傳』(欣堂閑人作)の一円斎国丸と同人らしく思われ     る。飯島虚心の『浮世絵師便覧』には「国麿(ママ) 歌川、三世豊国門人 二世一円斎」とあるから、この番付の国丸     も二代目と見てよいのであろう。この番付作成者は同じく年寄格である北渓の摺物に匹敵するものを「千里鏡」に求め     ているようだが、その「千里鏡」なるものが何であるか分からないから、妥当か否かの判断のしようもない。それにも     まして不自然なのは勧進元にある一陽斎豊国(三代目・初代国貞)との関係。これでは弟子と師匠が同格扱いになって、     釣り合いが取れないように思うのだが、当時の人々には腑に落ちたのだろうか。なおついでに云えば、井上和雄の     『浮世絵師伝』はなぜか二代目国丸を設けていない。いずれにせよこの国丸については後考を俟ちたい。本HP「浮世絵     事典」【う】「浮世絵師番付」嘉永二年の項参照〉      ◯『藤岡屋日記 第三巻』p523(藤岡屋由蔵・嘉永二年(1849)記)   ◇国丸画「山水遊覧行列之図」    〝七月廿六日より浅草茅町高野屋友右衛門板、国丸之画ニて、山水遊覧行列之図、三枚ツヾき。    是ハ今度西丸ぇ姫君、京都一条家より御下向ニ付、右之御行列、木曽山中固之図出し候得共、一向不売、    大はづれ〟    〈この国丸は一円斎歌川国丸と同一人物ではない。一円斎は文政十二年に死亡していた。では二代目国丸であろうか。     しかし『原色浮世絵大百科事典』第二巻「浮世絵師」に国丸二代はない。すると藤岡屋はあるいは国貞門人の歌川国     麿を、国丸と表記したのだろうか、よくわからない〉    ☆ 嘉永四年(1851)    ◯「読本年表」〔切附本〕(嘉永四年刊)    歌川国丸画『宮本無三四二刀傳』国丸画 梅亭金鵞作    ☆ 刊年未詳    ◯「読本年表」〔切附本〕(刊年未詳)     一円斎国丸画『名臣烈婦傳』一圓齋國丸/國盛(外題)画 欣堂閑人作     ◯『俗曲挿絵本目録』(漆山又四郎(天童)著)    国丸画『勢獅子劇場花罾』(常磐津)国丸画 坂川屋板〔嘉永04/05/15〕    ☆ 没後資料    ◯『浮世絵師便覧』p223(飯島半十郎(虚心)著・明治二十六年(1893)刊)   〝国麿(マロ) 歌川、◯三世豊国門人、二世一円斎、又菊武と号す、横山氏、俗称近二、錦画、◯明治〟    〈この国麿は二代目か〉    ◯『浮世絵備考』(梅本塵山編 東陽堂 明治三十一年(1898)六月刊)   (国立国会図書館デジタルコレクション)(89/103コマ)   〝二世 歌川国丸【明治元年~三十年 1868-1898】    横山氏、通称近二、一円斎、また菊武と号す、三世豊国の門弟にて錦絵を画かり〟  ◯『浮世絵師人名辞書』(桑原羊次郎著・教文館・大正十二年(1923)刊)   (国立国会図書館・近代デジタルライブラリー)   〝国丸 三世豊国門人、歌川氏、二世国丸と号す、国麿を見よ、同人なり〟