Chicago Tribune 2013年3月5日
トリビューンによる炎の連載記事が
ゴールドスミス賞を獲得


情報源:Chicago Tribune, March 5, 2013
Tribune flames series wins Goldsmith Prize
By Ellen Jean Hirst/Tribune reporter
http://www.chicagotribune.com/news/watchdog/flames/
chi-tribune-flame-series-wins-goldsmith-prize-20130305,0,2610603.story


訳:野口知美(化学物質問題市民研究会
掲載日:2013年3月10日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/kaigai/Kaigai_13/
130305_.Chicago_Tribune_Goldsmith_Prize.html


 シカゴ・トリビューンの記者パトリシア・キャラハン、サム・ロウ、マイケル・ホーソーンは、有害な難燃剤とこの化学製品を売り込むために2つの有力な産業界が行っている不正なキャンペーンを調査する連載記事を書いたことにより、栄誉あるゴールドスミス調査報道部門賞を獲得した。

 ハーバード大学ケネディ行政大学院付属のジョーン・ショーレンスタイン報道・政治・公共政策センターは火曜日の夜、25, 000ドルの賞金をキャラハン、ロウ、ホーソーンに授与したと発表した。

 トリビューンの記者が書いた「危険な火遊び」と題される連載記事(Tribune Watchdog Playing with Fire) (訳注1)は、米国の大手タバコ会社と化学製品メーカー業界による難燃剤の売り込みキャンペーンは間違っている―この化学製品は約束どおりに機能しないばかりか、有害でさえもある―ということを明らかにしており、こうした調査がきっかけとなって、米上院での有害物質規正法の見直しの動きや(訳注2)、カリフォルニアは難燃剤がほとんどの米国家庭に入り込む原因となった規定(訳注3)を廃止する動きがでてきた。そのため、近いうちにこの化学製品をメーカーが家具やベビー用品に添加することもなくなるかもしれない。

 「今年の審査員たちが特に感銘を受けたのは、ソファーのようになじみがあり脅威など感じないものに深く根付いている大変重要な政策問題を見極めていく中で示されたイニシアティブである」と、ショーレンスタイン・センター所長のアレックス・S・ジョーンズは声明の中で述べた。「ただ見ているだけでなく、理解し行動することの大切さを証明することになった」。

 ゴールドスミス調査報道部門賞は1991年以来、掘り下げた綿密な監視(watchdog)ジャーナリズムに対して栄誉を与えてきた。火曜日の夜に発表された声明によれば、「過度の秘密主義や不正、不始末を暴露することによって、政府の効果的で道徳的な管理、公共政策の立案、政治慣行を促す」著作物に対してこの賞が与えられるということである。


訳注1
 連載記事「危険な火遊び」(Tribune Watchdog Playing with Fire)は、2012年5月から始まった一連の記事とビデオにより、難燃剤の有害性、喧伝されるほどに効果がないこと、化学産業とタバコ産業による難燃剤使用の不正なキャンペーンなどを精力的に報道し、現在も難燃剤の問題をフォローしている。
 下記は、当研究会が紹介した一連の記事のひとつである。
Chicago Tribune 2012年5月6日 難燃処理発泡材はなんら火災安全の便益をもたらさない

訳注2
Chicago Tribune 2012年5月10日 化学産業のロビーイストら化学物質規制の強化を阻止

訳注3:カリフォルニア州家具可燃性基準 TB117
 子ども用製品及び布/皮革張り家具中のポリウレタン・発泡材に対して、小さな裸火(open flame) への12秒間の耐火性を求めるもの。1975年の同基準の実施以来、ハロゲン系難燃剤は、火災安全の効果が証明されていないのに、発泡材の重量の約5%のレベルでカリフォルニア州で売られている発泡材家具に加えられている。
アーレン・ブルム博士/有害で不必要な難燃剤の使用を止めることは 我々の健康と環境を保護することになるであろう



化学物質問題市民研究会
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