公共の健全性センター(CPI)2013年6月7日
ローテンバーグ化学物質法案 懐疑を呼び起こす サム・ピアソン 情報源:The Center for Public Integrity June 7, 2013 Lautenberg chemical bill drawing skepticism By Sam Pearson http://www.publicintegrity.org/2013/06/07/12776/lautenberg-chemical-bill-drawing-skepticism 訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会) http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/ 掲載日:2013年12月23日 このページへのリンク: http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/eu/usa/congress/CPI_Lautenberg_chemical_bill_2013.html
しかしこの法案が実際には安全基準を弱めることを恐れるいくつかの環境団体及び州行政官から深い懐疑を呼び起こしている。 2013年6月3日にウイルス性肺炎で89歳で世を去ったニュージャージー州選出民主党ローテンバーグ上院議員は、公衆が汚染を追跡することを可能とするデータベースである米環境保護庁(EPA)の有害化学物質排出目録(TRI)を生み出した1986年の法律を含んで様々な環境法の立法に数十年間尽力した。 ローテンバーグの最新の提案である化学物質安全法(Chemical Safety Improvement Act)は、共和党上院議員デービド・ビッター(ルイジアナ州)との妥協案であった。5月22日(水)に議会に導入され、9人の共和党上院議員と、影響力のある産業界団体である米国化学工業協会(American Chemistry Council)の裏書きを得た。 米国化学工業協会の報道官はその法案についてプレスリリースの中で、”化学物質安全規制を更新するためにバランスのとれた包括的なアプローチであり、それは消費者に化学物質の安全性についてもっと自信を与え、一方同時にアメリカの製造者には革新、経済成長及び雇用の創造をもたらす”と述べた。 以前に提出したもっと厳しい化学物質安全法案−ローテンバーグ上院議員が2005年以来上程した法案[訳注1]−は、共和党の支持を得るのに失敗した。 ローテンバーグ上院議の最後の法案は上院の環境・公共事業委員会に回されたが、公聴会開催のスケジュールはまだ決まっていない。 一方、天然資源防衛協議会(NRDC)のような有名な環境推進団体は不安を表明した。 この法案は、”公衆の保護についてはまだ多くのギャップがある”とNRDCの上席弁護士ダニエル・ローゼンバーグは5月24日の声明の中で述べた。ローゼンバーグは、同法案はEPAが化学物質をレビューするための法的期限を示しておらず、1976年有害物質規制法をほとんど改善しないかもしれず、化学物質をテストするよう求めることは困難なので、EPAは効果がないとして多くを退けるかもしれないと述べた。 既存の法律は、”有害な化学物質から公衆を保護するというその目標を決して達成したことはなかった”と、ローゼンバーグは述べた。 他の者もこの法案は、環境法の多くが選挙民による投票又は共和党知事による署名により制定された、環境法で有名なカリフォルニアのような州のより厳しい化学物質規制を無効にすることができることを懸念している。 例えば、製品容器での鉛、カドミウム、水銀及び六価クロム使用を禁止した2003年法は、アーノルド・シュワルツェネッガー知事の下で3回更新された。州議員らはまた、鉛を含む宝石(おもちゃ)の販売も禁止しており、この制限に違反した小売業者に科す罰金を強化するために2011年法を制定した。 木曜日(5月23日)の声明の中でカリフォルニア州の有害物質規制局は、”連邦政府法案をレビューしており、その優先が我々の法と規制にどのような影響を及ぼすかを見ている”と述べた。 上院議員ダイアン・ファインスタイン(カリフォルニア州民主党)への5月31日の書簡の中で、カリフォルニア州当局の一人が、同州当局はEPAから得る免除を頼りにしているのだから、同州の政策決定が損なわれることを警告した。 提案されている法案の下では、”そのような免除を適格とする基準を得ることをほとんど不可能である”と同局の立法副局長ジョシ・ タッカーは書いた。 環境防衛基金(EDF)の上席科学者リチャード・デニソンは、同法案はカリフォルニア州が発がん性又は生殖毒性のある化学物質のリストを維持することを求める同州のプロポジション65を無効にすることができると述べた。そして事業者らは、そのような化学物質が製品中に存在する時には顧客に知らせることが求められている。同州の環境健康ハザード評価室のウェブサイトによれば、そのリストは約800の化学物質を含んでいる。 いくつかの州は、食品容器やその他の製品中で使用されている化学物質、ビスフェノールA及び連邦政府の取り組みが遅い難燃剤のあるものを禁止したとデニソンは述べた。 ”そのことが産業側がテーブルに着いた理由である”と彼は述べた。”無効をいくらか拡大する方法があるからで、さもなければ彼らが取り組む理由がない”。 この法案はEPAに当初の化学物質リストをレビューし、安全性をテストすることを求めるであろうが、もしある化学物質が安全であることがわかれば、州はほとんど例外のないその決議により拘束されるであろう。デニソンは、産業側がEPAに言い逃れをして、新たな研究が行われている間、州が規則を保留のままにすることが可能となるかもしれないと述べた。 デニソンは水曜日にブログに、立法上の問題は民主党、共和党及び産業グループの間の交渉で解決できるであろうと書いた。 たとえ同保安が現在のままあっても、”現状の法よりはるかによい”とデニソンは述べた。 訳注1 ■S. 1391 (109th): Child, Worker, and Consumer-Safe Chemicals Act of 2005 (2005年7月13日米上院提出 米子ども安全化学物質法案 子ども、労働者、及び消費者の有害物質への曝露を低減するための有害物質規制法(TSCA)を修正する法案) ■S. 3040 (110th): Kid-Safe Chemicals Act of 2008 ■S. 3209: Safe Chemicals Act of 2010 ■S. 847 (112th): Safe Chemicals Act of 2011 ■S. 696: Safe Chemicals Act of 2013 訳注:参考記事 ■Law360 2012年1月19日 2012年 TSCA改訂とEPAの取り組みの予測 ■エンバイロンメンタル・ディフェンス・ファンド(EDF) 2013年6月5日 TSCA 改革法案の現実性をチェック/リチャード・デニソン(EDF 上席科学者) |