米会計検査院(GAO)報告書 2007年11月(概要)
有害化学物質排出 EPAの措置は多くの地域社会が入手可能であった環境情報を制限する ![]() GAO Report to Congressional Requesters TOXIC CHEMICAL RELEASES EPA Actions Could Reduce Environmental Information Available to Many Communities November 2007 http://www.gao.gov/new.items/d08128.pdf 訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会) http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/ 掲載日:2007年12月15日
有害物質排出目録(TRI)データは、任務を果すためにほとんど全ての環境保護庁(EPA)計画室によって、そしてその他の連邦、州、及び公共の機関によって、広く使用されている。例えば、米内国歳入庁(IRS)はそのデータをクロロフルオロカーボン(地球のオゾン層を破壊する化学物質)を排出している会社を特定し、会社がその使用を廃止するのを促進するために税を課すために使用している。州は、TRIデータを様々な用途の中で例えば、汚染防止の取り組みを設計し、排出施設への賦課金を計算し、また緊急計画を立案するのに使用している。公共での主要な使用者は、TRIデータを汚染削減のための環境政策と戦略を評価するために使用する研究者や、地域社会に排出される有害化学物質のタイプと量について知るために使用する個々の市民や地域の活動家などがいる。 EPAは主要な規則を最終決定する前に、適切な科学的、経済的、政治的分析を実施し、関連するEPA計画室から適切な情報を受け取ることを確実にするよう設計された同庁の指針に規定される主要なステップを踏んでいなかった。これは、EPAが2006年末までに負荷の低減を実現するという行政管理予算局(Office of Management and Budget (OMB))に対する約束を守るための努力の中で政策決定手続きをはかどらせるために生じたということがひとつの理由である。EPAはスケジュールに合わせる必要があっために、経済的分析を完了させる:規則の変更によるコストと便益を評価する、あるいはTRIデータに大きく依存ししているEPA計画室に適切な情報求めるという指針の規定を満たすことができなかった。例えば、EPAは、提案された規則に関する計画室の立場を述べる最終EPA検討会(Final Agency Review)を開催したにもかかわらず、その検討書類一式の中には、提案され採択された負荷削減のための選択肢と分析を説明する資料が含まれていなかった。 EPAはその規則が全国の総排出量の1%以下の部分についての報告に影響を与えるだけであると推定したが、この全国推定総量は、この規則が全国の個々の地域社会に及ぼすであろう不釣合いに大きい影響を隠した−とGAOは結論付けた。GAOの分析では、EPAのこの規則は、3,500以上の事業所に有害化学物質の排出と廃棄物管理の実施についての詳細な情報を最早報告しなくてもよいとするものである。その結果、90,000近いTRI報告書のうち22,000以上の報告書が全国の州の数百の地域社会で最早入手できなくなる。さらに、12の州の司法長官とEPA科学諮問委員会を含んで、多くの批評家がこの変更は有用なTRIの情報量を著しく低減するであろうと述べた。 EPAの見積りであるTRI規則に関連する報告負荷の低減−年間の全負荷時間の3%、年間約600万ドル(約7億円)−は過大なに見える。EPAが見積った節約額、フォームRとフォームAを全て記入することとして行政管理予算局が承認した負荷時間の見積りに基づいているが、これらの見積もりは時代遅れのデータに基づいている。フォームRとフォームAに関するデータを収集し報告するために必要な時間の体系的な検証から得られたEPAのもっと最近の見積もりは、現在のTRI報告に関連すす全体負荷はもっと低く、その結果、新規則による節約負荷より25%低いことを示唆している。 訳注:関連記事
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